よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

単位当たりコストの削減は、生産性向上

 コスト削減には2つのながれがあります。一つは外部コストを削減すること、そしてもう一つは内部コストを削減することです。内部コストにはコスト絶対額削減と単位当たりコスト削減があると説明してきました。

 まずは業者です。薬剤や医療材料、消耗品、そして委託費といったところが外部からの購入により賄われており、彼らへの仕入れ値引き下げの要請です。

 この活動は業者への告知からはじまります。もし20%削減を要請されたら応えていただけますか、無理であればどのくらいの率での削減が可能ですか、といった聞き方をします。もちろん、業績が回復したら取引拡大をすることが前提となっています。

 この段階で、誠意をもって病院の要請にこたえようとしてくれる仕入れ先とそうではないところを峻別する手段でもあります。病院が成り立たなければ業者さんは成り立たないのであり、どこが無駄か、何をしていけばより合理的な仕事ができるのかについての議論を行うことになります。

 一方で、病院全体としての意識改革やコスト削減のながれをつくりあげる必要があります。購入価のところの削減と、利用数の削減、管理の徹底といったとことでのコスト削減に向けた対応を誘導する必要があります。

 各部署にも業者さんと同様にコストを20%削減するとしたら、何をしていくのかについて議論するよう誘導することが必要です。なお、その場合には解答を用意したうえでの指導になります。したがって、
 外部と同じように、対象は消耗品や薬剤、医材が俎上に乗りますし、また療養病床運営があれば、どのように質を維持しながら合理的な医療を行うかが課題となります。時間外についてや日常行動時間の使い方もテーマにしなければなりません。

 病院の経営資源は、人、時間、情報、モノ、カネですが、それぞれがどのようにそれら病院資源を大切にまた最大活用していくのかが各部署、そして病院全体としての運営をうまくやるポイントです。

 病院が方針をだし、各部署がそれらに取り組んでいけるよう誘導することが必要です。現状において④は活動が開始されたと聞きますがその進捗状況を一元管理する必要があり、各部署でどの程度のコスト削減が進んでいるのかについて記録をとり、継続的に経営会議でそのより一層の進捗を指導することが求められています。

 上記管理を行うにあたり、在庫の削減もキャッシュフロー上の課題としてコスト削減とは異なるものの、必要となる項目であることを忘れてはなりません。

 なお、前述したように、コスト削減には絶対額削減と単位当たりコスト削減すなわち医療の質向上による生産性向上という考え方がありますので、留意が必要です。後者についてはタイムマネジメントや個人のスキルアップ、さらには仕事の仕組み見直しがテーマとなります。

 必要なコストを削減しようということではありません。合理的な質の高い医療を志向するプロセスにおいて必ず組織の活動レベルば向上します。あるていどの刺激やインパクトを与えつつ、人を育て組織を成長させる。それが病院トップの役割であることを肝に銘じなければなりません。