よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

サ高住は医療制度改革の救世主

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 昨日は、広島で今井産業常務の大造さんと、仕事が終わったあと久しぶりに会食をしました。

 同社近くの焼肉店での一コマです。今井産業はサ高住(サービス付高齢者向け住宅)の建設で成果をあげています。彼らはもうすでに数多くのサ高住を建設してきています。
 現在、今井産業と小冊子を作成しますが、そこにはこんなふうに書きました。

 「国全体の医療政策からみると、サ高住は、もともと医療法人が病床を捨てて軽装備でありながら医療の機能を果たすことができる場として想定されていることが分かります。
病院病床を削減して集合住宅を受け皿にする、といった大きなながれを十分に理解しなければなりません。 
 
 介護が必要だけれども医療依存度が高くない高齢者がサ高住に入居したとしても、何れは介護度は高くなり医療が必要となる状態になります。

 しばらくたてばみな何かしら医療を必要とする患者さんになることは明らかです。サ高住では医療が提供されなければならないし、また看護、介護サービスがトータルで提供されなければならないことを理解しておく必要があります。
 
 国がサ高住を重視する背景には、介護保険における老健やグループホーム等、さらには特養の設置が総量規制のなかで、それほど大胆に増加させることができず、施設基準のない高齢者のための集合住宅を整備して、介護給付を受ける場を提供するという意味あいもあります(一部抜粋)」。

 ということで、サ高住は介護の場である前に、医療業態転換のための受け皿、すなわち病院病床を削減すると宣言している厚労省の戦略のなかで、病院の代替の機能を果たしてほしい、果たすべきであるという位置づけにあるということが判ります。

 今回の介護報酬は、よくお分かりのように、実質減点となり、介護サービスがとても厳しい環境に置かれることになりました。さまざまな増税策が進んでおり、知らない間に日本人の税負担は増加します。ひとえに財政逼迫が起因となっていることは明らかです。

 利用者が増加する患者が増加する、財政はタイトであるという状況のなかでは、社会保障を思うように行えないことは明らかです。

 介護を軸としたサ高住運営はとても厳しく、今後の人口動態を考えると地方によっては継続的に入居者を確保できない可能性があるところが増えてくると想定されます。

 サ高住そのものの事業で利益をだし、さらに訪問診療、訪問介護、訪問介護サービスといったところでの利益をあげていくことが必要ですが、やはり、医療機関が、国の想定している方向で活動するなかで、サ高住をうまく活用するといったながれをつくることが適当であると考えています(利益は患者さんや利用者の評価の証であり、適正利益を得れない事業はながく継続することができません)。

 もちろん、介護サービスは必要不可欠であり、それが必要ないという訳では決してありません。それどころか、介護が医療を支えるといっても過言ではありません。医療と介護の一体化は政策であり介護事業をより盛り上げていく必要があります。
 ただ、介護だけを軸としてサ高住運営を開始するのは、経営上困難であり、医療をもった主体がサ高住を運営し、介護との連携を図るということを申し上げたい。大造さんも介護事業を手掛けており、また、私もココチケアの取締役として毎月介護事業の現状を把握しています。だからこれを言える、ということを理解してください。

 ということで、今井産業は医療機関の業態転換のかたちの一つとしてサ高住をこれからも作り続けていくことになるでしょう。

 「ノウハウを溜め、建設すればすべて終わりということではなく、サ高住建設後もうまく運営できるよう、そして結果として地域医療に少しでも貢献できるよう、仕事をしていきたい」という大造常務の思いを背景に我々も精一杯彼らと一緒に活動していきたいと考えています。

 で、まっこりを二人で1㍑飲み干してのんで、ほんのひと時の間、まっこり(まったり)としていたのでした。