よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

何かを変えていこう

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業務改革を進めるためには、広く社員全員から改善提案を継続して募集していく必要があります。

 改善提案制度を導入するためには、前提として業務マニュアルを整備する必要があります。現状の仕事をすべてガラス張りに(可視化)して、そのなかで工夫すべきものについて改善を行うという方法が最も有効だからです。

 

マニュアルには載らない多くの活動に課題があり、それらを収集することにも意味があります。

そのうえで改善提案制度を活用し、仕事のやり方に問題がある、こうしたほうがよりよい仕事ができる、はやく、やすくできるといった工夫や創造を誘導するための制度として利用します。
 
 マニュアルにない業務の改善提案は、マニュアルの作成から始めます。各部署の責任者を中心とした改善提案評価委員会を組成し、そこでの最終評価が行われ承認されれば業務のやり方は変わり、マニュアルも作成されます。

 なお、改善提案は、①方向を出す、②教育する、③評価する、④報奨するといったプロセスを経て行われますので、そのための仕組みも必要です。

 通常、何かあったら出して欲しいといった投げかけで終わるところや、出してもきちっと対処せず改善もしない。また本人にフィードバックもしないという組織がありますが、それでは改善提案はうまく機能しません。

 上記の4つの要素がしっかりと管理されてはじめて、改善提案が継続的に組織からあがり、考える文化や風土が生まれます。

 

改善提案制度を有効に活用する病院は、常に課題をもった活動を行えます。組織は価値ある仕事を行うことを前提として事業を継続するため、利益を生みださなければなりません。

質の高い仕事が出来ず利益を出したとしても、それは長続きするものではなく、また何のために事業をを維持するのか意味をもたなくなります。この部分に注目した組織だけが永遠の使命を与えられるのだと、私は考えています。

 ただし、いくら価値のある事業を行なったとしても利益がなければ存在し続けることは困難です。職員全員が組織一体となり、頭から血を出すような努力をする必要があります。

 

業務改善提案は、誰でも自分の工夫や創造を行える場であり、自分の考えを仕事に反映できる機会です。その意味で、うまく活用すれば驚くほどの成果があがります。組織にも従業員にも徹底してこれを推進する価値があるでしょう。


 制度を整備した上で改善委員会が改善提案をするための勉強会を開催することや、それぞれの職場で学習を行うことが必要です。

 

改善提案制度の運用においては、毎月の改善テーマを決めて提案を募集するケースもありますし、また、テーマを決めず提案を求めることもあります。

 改善提案に対する教育を行う、提案書の提出を促す、委員会で評価する、提案の整理を行い内容を発表、業務を変え、マニュアルを改訂し、同時に評価を行う、報奨を行う、人事考課へ反映する等の作業を行います。

 報奨制度をつくるのは総務(人事)であり、組織によれば理事長や院長に提案ののち、承認を受け制度として展開することもあるでしょう。何れにしても、改善提案委員会は教育の一環でもあり、また業務改革を通じた改革という意味では戦略として実施するべきことであり、職場にすべてを丸投げするものではありません。

 業務改善提案を、職員の意識を高め、彼らの考えを改革の着眼とする、さらには改革を進める道具とすることが求められています。

 日本を、そして医療を、このままダメにしない。一人ひとりが意識をもち日々努力していくことが必要です。