よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

サービス付高齢者向け住宅運営はノウハウの塊

イメージ 1

 いまやDPC病院も50万床を40万床以下に、そして地域一般病床というか非DPCの急性期病床については、DPCとなるかあるいは回復期や亜急性に、場合によれば廃止、そして許可されれば医療療養病床にということになります。

 そのようなときサービス付高齢者向け住宅が脚光を浴びています。厚労省は病院病床を削減したのち、サ高住を受け皿として考えています。介護期の医療を集合住宅で受けてもらうことは、医療提供者にとって生産的であり、一定の医療資源で多くの患者さんを救うことができます。

 地域に点在した自宅に訪問するのであれば、ケアも行き届かないこともありますし、多くの患者さんを診ることが難しくなります。もちろん、地域包括ケアシステムにおいて、施設や集合住宅に入居できない患者さんを自宅で診ることも視野に入れています。

 まさに看護や介護と一体となり、介護期の地域医療が行われようとしています。

  なお、サ高住の運営上リスクには、次のものがあります。
 (1)入居者が常に埋まらないリスク
 (2)支払家賃が高すぎることで賃借(一棟借り)を継続できないリスク
 (3)入居者(利用者)から賃借料を回収できないリスク
 (4)入居者(利用者)から医療費や看護、介護サービスの対価を得ることができないリスク
 (5)診療報酬や介護報酬改定により事業自体が成り立たなくなるリスク
 (6)感染症や医療事故が発生するリスク
 (7)職員が入居者に対し虐待を働くリスク
 (8)熟達した関連施設のスタッフが大挙して退職するリスク
 (9)高い投資をして回収できないリスク
(10)入居者の満足を得ることができない運営を行ってしまうリスク
(11)サ高住だけで採算をとるものの、医療、看護、介護サービスにて利益を出すためには、それなりの専任職員が必要となるリスク

 ココチケアの取締役としてサ高住(平成19年開設、現在2棟)介護事業を垣間見る、あるいは直接認識することができてきましたが、やはりサ高住は上記のリスクをしっかりとヘッジするための対応をしていくことが必要です。これらができなければサ高住はとてもリスクの高い、利益の出ない業態となります。

 今日は広島で日帰りの医療介護についてのセミナーでしたが、サ高住に対する運営ノウハウを存分に説明させていただきました。

 自分でも何度も話ているテーマではありますが、サ高住はココチケアのように実際に運営してからでなければ、課題が浮き彫りにならないという認識があります。

 主催者の今井産業今井太造さんありがとうございました。8月の東京でのセミナー楽しみにしています。