よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

マレーシアの医療

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 マレーシアのJCI取得済み病院と、これから取得する病院に訪問しました。

 前者はシンガポールのパークウェイグループの傘下にあるグレンイーグル病院、後者はサンウェイメディカルセンターです。日本のシステムではなく、外部に医師がいて、専門医を紹介してのち、病院に入院するというシステム、すなわち欧米のGP(一般開業医)とspecialist(専門医)というシステムを採用しています。

 まずは予約制(へたをすると2~4週間待たされるそうです)のGPに診てもらい、specialistを紹介され、それから病院に行って治療をして退院するといった感じです。したがって通常GPのオフィースは検査もしない、看護師もいないといったところが一般的であり、基本的には相談を受け、問題があれば、検査機関 (Radiology) へ予約を取り、検査を受けに行き、その結果をまたGPで診てもらいます。めんどくさいですね。

 そののち、specialistに紹介状を書いてもらい、次のステップに進みます。なお、救急の場合には、田立に病院の救急外来 (Emergency) に行く指示がでます。ただ、救急車のなかで診断をしたあと、日本と違うのはそれを病院に伝えないということでした。トリアージが行われます。救急車は、黑、赤、黄色、緑のゲートにいくと、そこに看護師がまっていて、患者を受け入れるというわけです。ただ、緑にいくと何時間でも待たされるということでした。意味がない感じがあります。

 これは断りを防止するためのものだそうです。プライベートな病院においても同様に断ることは一切ないということでした。ただ、救急車が5000円から20000円程度するので、ふつうは救急車で搬送されることはとてもお金のかかること、だからめったに使わないということでの対応を行うようになるということでした。

 問題は医師が育たないこと、あるいは連携においても返事がないことだそうです。
つまり通常の病院であれば、病院の中での先輩や後輩が一緒にカンファレンスをしたり、他職種での議論を通じて経験をつめるという医師がいるわけですが、こちらでは、バラバラでかつ皆コンペティターなので、なかなか技術を教える機会もないし、教えたくもないということでした。

 実際にインド系のマレー人医師でシンガポールに住んでいる方とお話しましたが「俺の仕事は手術をするだけだし、時間もないから、いちいち返書はかかないよ」ということでした…。ゲゲゲ、日本では絶対にうまくいかないと思います。

 いずれにしても制度が異なり、3.1日の在院日数であれば患者がいなければ数百のベッドは不必要であると思います。いかに患者が多いのかが判ります。グレイイーグル病院では全麻患者さんが一日30人とおっしゃっていましたので、8000件以上の手術を行っているのは凄いと思います。

 サンウェイも、100人の医師が所属しており、同様の対応をしているとのこと。また、performanceが悪い医師ははずされて病院にこれなくなるという、厳しい話もありました。

 設備は目茶目茶日本よりもよいですが、医師がどうかという質問には、海外で医師免許をとり、さらに国内でもとりといった優秀な医師はたくさんいて、日本人が思うよりも医師の技術レベルはあがっているという話がありました。

 なお、医療費ですが医師により異なります。したがって、治療の内容も時間のチャージも、どの医師を選択するのかにより大きく変化することがるということでした。手術室のはさみ代や病室のティッシュまで請求書に入っている病院には行きたくありませんが、それがこの国、あるいはこのシステムをとっている国々の常識であり、大きく異なる部分です。
 いろいろな相違はありますが、医療の提供の仕方により、成果がことならないように工夫や創造が行われていればよいなと考えています。

 また、JCIですが、医師が外にいるのでガバナンスがきかず、面倒くさがるのでやりずらいと話すCEOがいました。他の職員にも言えることですが、どのようにJCIのメリットを理解してもらうのかが大きなポイントであると理解しています。

 JCI病院が日本でも増えて、より安全な医療が行われるよう、支援できればよいと考えています。