よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

人の力を引き出すリーダーシップ

 人の力を引出し、成果をあげてもらうのことはそう楽なことではありません。

 自分の力でできることは限定的です。
 やはり組織の大きさに合わせたシステムが必要となります。そして、そのシステムを運用する人がいる。その人は一定程度の力を持った人、信頼できる人。したがって意志を同じくする、あるいは自分の考えと同じ考えをもって、組織で働いてくれる人だと思います。

 結局のところ、役割として組織全体を管理するリーダーがいて、彼に情報を提供するスタッフがいる。
それを受けて指示をした場合、理解し下におろせる幹部が育成されていなければなりません。

 1.システム
 2.情報管理をするスタッフ
 3.判断した結果、指示すればそれに基づき動く幹部
が必要です。

 これらがそろっていなければ、リーダーは常にその都度動かなければならないし、随時情報を収集し、それをその都度のやり方で下におろす。しかし、それを受け止める人がいないので、結局のところ現場まで下りて自分ですべてを解決しなければならなくなります。

 いわゆる中小組織のプロトタイプ的な動きです。こうしている間にリーダーは疲弊し、年をとり、組織は一定程度しか拡大せず、業務量も増えず、スペシャリティーがあるとしてもそれは敷衍化されず、リーダーが存在する時間や空間だけでしか広がらずにすべてが終了することになります。

 旧リーダーから新リーダーになったときに劇的に改革が進むこともあるかもしれmせんが、それは旧リーダーがいるときに起こらなければならない変革であり、のちに新リーダーだけになったときにそれが起こっても、またぞろ同じ結果に帰着します。それほど一人の力はながく継続しないのですから。

 徐々に上記を整備して、引き継ぐことにより、いま大企業となっている企業は成果を拡大し続けたということができます。一人のアドバンテージのあるリーダーがでたとしても、上記の活動を一定程度に行いその成果を得てから次に進めなかったのであれば、上記で説明したようになるということです。

 病院組織に当てはめてみます。
 
 1.ビジョンを明確にする
 2.戦略を明確にする
 3.事業計画を立案する
 4.具体的な行動計画に落とす
 5.プロジェクトを組成する
 6.PLを決める
 7.実行の方法をより明確に指示する(初期)→モニタリングシステムを組成
 8.成果をあげるよう指導教育を個人ベースで行う→経営企画メンバーを育成
 9.情報収集を適時的確に実施しながら経営判断を徹底して実施
10.組織に随時指示を行い行動計画が達成できるよう徹底支援する(PDCA)

といったながれをつくることです。

 1.経営会議の統治
 2.経営企画室の活動
 3.運営会議の行動
 4.恒常的な幹部育成
 5.スタッフの体系的育成

といった具体的なスケルトンをもつ必要があります。
そして、増患、単価アップ、コスト削減(生産性向上)といったことが基本的な戦術になります。これを達成するためには100通りの企画を動かす必要があります。しかし、この3つにフォーカスし、一つ一つの企画がすべてこの3つに収れんするという意識を全職員がもては、行動様式は変化し、そして意識を変革しながら組織一体となり、成果をあげていこうという協力体制や文化風土が生まれてきます。

 これを実行することでしか、病院は残っていけないと知る必要があります。とりわけ公的病院は送球にこうした考え方を基礎として、自院だけの再生ではなく地域における複数の病院を合体させた戦略を明確にして過去のながれを断ち切り、次のステップに向けた対応を行う必要があります。
 頑張りましょう。