よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

増患ができなければもう生きていけない

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 あるところからのお話で病院が益々厳しい環境に置かれることが判りました。今後、より一層、急性期を減らし、慢性期は維持、そして介護期を減らすという厚労省の方針がみえてきています。もちろん、傾向は以前から理解していましたし、わかってもいました。しかし、具体的な方向までみえてくると、他人事であるということで片づけることはできません。

 我々ホワイトボックス(株)では以前から、これからの医療においては、可視化を基礎として、増患、単価アップ、生産性向上が必要、ということを言い続けてきていますが、実際に増患のところが大きなポイントとなっているこて間違いがないと確信することができました。

 原則的に(整形は別)満患ではなく新患をどのように増加させていくのかといったことについて、多くの病院は行動をしもせず、「それは難しい」と匙(さじ)をなげてしまっています。
 しかし、何もしないのであれば、本当に自然減に身を任すしかできなくなるという結果になります。

 現在、多くの病院で外来患者を減らしており、特徴のある病院がかろうじて患者を増加させているという現状があります。増患=新患増=入院増=手術対象患者増=複雑な治療を増加といったことが生き残る急性期病院の役割であるし、また2018年に長期急性期病床を導入予定で長期慢性期病床においても、在院日数のしばりがでてくる療養病床であれば介護期に早期に進出を図るということが急務であるということができます。

 急性期のなかにも、慢性期病床を購入し、さらに高齢者在宅にまで進出するところがでてきています。地域をまるごと抱えるというこうした戦略はとても重要なものとなるでしょう。

 今日お邪魔している病院では、増患プロジェクトが組成し、大きな成果をあげていますが、この告知やコーナーもその一つです。地域連携を行う地域の診療所のNOとパンフレットや地図がここにはおいてあり、基本的に患者さんがどこに紹介してもらいたいのを明らかにすることがこのコーナーの目的となっています。

 さまざまな医療の質向上を図り、患者さんやご家族の評価を得ることだけではなく、プロモーションを徹底して増患をターゲットとして連携室やプロジェクトが活動しています。
 こうした地道な活動を基礎として、これからこの(すなわち増患をどうするのか、という)事業領域にはとても大きな光が当たらなければならないと考えています。

 なお、単価アップは新患増とともに一定の目標は達成できますが、生産性向上は業務改善活動(パス、マニュアル、リスク、感染症対策等々)や教育、そして明確な目標設定による計画的活動が別途必要になります。
 病院改革を的確に行うことでしか、それも多くの患者さんに来院してもらい、早く退院してもらえる体制をつくらなければ、残っていけないことを多くの病院が認識する必要があります。統合や業態転換をも含めて、まずは戦略としての増患対策を徹底して実行することが求められています。