よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院で会計を学習する理由

 増患と単価アップ、そして生産性向上が正しく実施されているかを常にモニタリングするために会計を学習する必要がある。

 増患のためには新患、新患のためには外来、紹介、救急といった具合に分析するとともに、単価アップのためには、外来でのあらゆる医療行為、入院での対応が必要となる。

 とりわけDPC病院であれば、入院してからの早期退院はそれだけで収益を確保するし、出来高はそのままでプラス。そして医療事故や感染症、リオペ、与薬、検査、撮影といったことはコストアップ要因となることが多い。こうした制度の特徴を掴んだうえで、日々の活動がどれだけの成果をあげているのかを部署別にチェックするために部門別損益計算が必要となる。

 また、患者別の不効率や問題点を発見するためには患者別疾病別原価計算が必要となる。医療機器を購入するときには投資経済計算を行うし、さらに、看護過程やパスやリスクマネジメントは業務改善のツールとして機能させる。
マニュアルは改定を行うことで業務改善のためのツールとして機能することができるし、活用により教育のためのツールとして貢献する。
 
これら全体を数字で把握し、管理するために、財務管理や経営分析、そして関連する指標管理や原価計算を行うということについて理解しなければならない。
 
 増患、単価アップ、生産性向上⇒利益増加を行わなければ、病院を維持できず、地域医療は崩壊する。今回のレクチャーはそうした発想をもって日常化していく必要がある。