よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

4つの病院マネジメント領域と職員のマネジメント

 あらゆる職業でマネジメントが必要になることはいうまでもありません。マネジメントというととても大きな概念であり、組織における各階層のマネジメントもありますし、個人のマネジメントもあります。
 
 組織におけるマネジメントは多様であり、法的な対応から、はじまり、ビジネスモデルの創造、戦略立案、事業計画立案、アクションプランの設定、そして、人の採用、配置、教育、目標設定、実行、成果獲得、評価、処遇、福利厚生、退職といった人事管理あるいはもっと幅のひろいヒューマンリソースマネジメントが必要となります。
 
 さらに現場においては、それぞれの事業目的に合致した業務フローがあり、それらの円滑な運営と成果獲得を行わなければなりません。人が多くなれば、または部門が多数できあがれば、それぞれの部門が円滑に機能するよう、適切なシステムや業務フロー管理や人の感情をコントロールする一定のマネジメントが行われることになります。部署間コンフリクトをどのように解決していくのかが大きなテーマとなります。
 
 個々人でいえば、求められるスキルを身に着けることや、それ以前に組織目的に対して正しく行動することができること、さらには人としてどうあるべきかというところまで、取り上げられることもあります。時間管理すなわち、一定の時間のなかでどのように多数ある業務を質を担保しながら、そして部下や上司、仲間と協力しながらこなしていくのか、といったことまで個人のマネジメントの対象となります。すなわちタイムマネジメントがそれです。
 
 そして成果を定量化することで可視化を進めることも、マネジメントの重要なポイントです。可視化をすることにより、当該組織が担う業務をすべてカラス張りとして、課題を発見しやすくすることがそれです。もちろん、可視化しても、その分析や課題の発見、それらを解決するための解決策が認識できなければまったく意味がありません。数字だけをみて、あるいは数字を出すことが目的化している病院は数多くあります。毎月、とてつもないデータをとりながら、それをマネジメントに活かしていない組織がどれだけあるのか、計り知れないものがあります。
 
 管理会計が導入されることは病院組織において必須であり、そのことにより多くの問題解決や生産性向上に成果をあげることができるようになります。
 もちろん、定量化は管理会計だけの領域ではなく、クリニカルインディケーターをチェックすることにより医療の質を向上させることにも貢献します。それは帰結としてコストを削減したり、職員の能力を高めたりすることを通じて利益に貢献することになります。マネジメントの対象です。たとえば、救急車で搬送された患者がCTをとるまでの時間や、褥瘡の発生率や治癒率、尿留置ドレーンを外すまでの期間といったことが測定され、どれだけその結果を質の改善につなげることができるのかといったことが議論されています。
 
 物事をすべて定量化することで、日常的な行動すべてを指標化し、先行指標を設定することで、実績指標と比較して、何が不足して目標に到達しなかったのかをチェックすることが徐々に一般化してきています。医療そのものが科学を基礎としているのに対し、職員の行動自体も科学される状況がここにあります。できるだけ組織の行動をつかみ、目標と照らし合わせて実績を目標値に近づけるために何をすればよいのかを検討することこそが、病院トップや職員に求められるこれからのマネジメントであるということができます。
 
 マネジメントを組織、業態固有、部門、部署に区分すること(4つのマネジメント領域)、そして、それぞれが最もうまく成果をあげられるように仕向けていくこと、さらには職員の力を最大限引き出すための活動が病院マネジメントの目的であり、医療をもってより社会貢献できる対象とすることができるようになると考えています。
 
 従来の医療そのもののフローを管理することだけではなく、組織や人が最大限のポテンシャルを発揮することができるよう誘導するためのマネジメントをどれだけ的確かつ適切に行うことができるのかどうかが、どの業態の医療においても不可欠であるということを十分に認識する必要あがりますし、できていないところを発見し、できるだけ早期に体系的な修正行動をとらなければなりません。
 
 機能分化と平均在院日数短縮による病院病床の削減が医療制度改革の柱の一つとして推進されているなか、個々の病院は、自院の社会的責任を全うするためにも、マネジメントというテーマの徹底的理解と実践を行うことが求められているのだと思います。