よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

部門別損益計算のレクチャー

 今日は、病院で中間管理職の勉強会をしました。サマリーを書きます。


 部門別損益計算は管理会計の一部です。管理会計には月次決算や、指標管理、部門別損益計算や、患者別疾病別原価計算、投資経済計算、予算実績管理などがありますが、現状を可視化し、何が起こっているのかを発見することを目的とし計算が行われます。
 
 そもそも病院マネジメントの基本は、病院資源を、より効果的に活用すること。そのためには経営資源をよく理解し、経営資源がうまく機能しているのかどうかを管理することが必要です。

 ちなみに経営資源は人、時間、情報、モノ、カネですが、まさに人が正しく成果をあげているか、時間がうまく使われているか、情報がうまく伝達され成果をあげているか、モノがうまく活用されているか、カネが成果をあげるように消費されているかということを考えるだけでも、さまざまな課題が浮かび上がってきます。
 
 まず、そうしたニーズをもって、部門別損益計算や他の管理会計を使う。管理会計があるから何かをするのではなく、現状を判りたい、うまく経営資源を活用して成果を極大化したい、そのために改善をしたいという思いがある必要があります。

2.経営資源の在り方
(1)人
 医療においては、他の仕事でもどうであるように、人が命です。人がどれだけうまく動き成果をあげるのか、そこに尽きるといっても過言ではありません。
 ①役割を果たしているか
 ②期待される成果をあげているか
 ③そのための能力を備えているか
について評価します。  

(2)時間
 時間は、仕事においては有限です。有限の時間をどのように使うのかに興味をもたなければなりません。有限の時間に興味をもつことが人の能力を進化させ、緊張感をもたらし、高い成果を生み出す大きなポイントになります。その人が課題をもてばもつほど、短時間で限界までの多くの業務を行えば行うほど、その人は成長することができます。
 ①時間内に行うべきことが行われているか
 ②時間をロスする要因は何か
が管理される必要があります。

(3)情報
 人は一人で仕事をしているわけではなく、あらゆる情報を基礎として動いています。
したがって情報をうまく活用できるかどうかにより、自分の行動を変容させることができます。
情報がタイムリーに正しく伝わらないことにより、無駄な仕事が生まれますし、時間のロスが生まれます。
 ①正しい情報か
 ②タイムリーに情報が発信されているか
 ③情報を上手く活用しているか
が評価されます。

(4)モノ
 これはいわずとしれたことではありますが、病院にはたくさんのモノがあります。
施設であったり、設備、医材、消耗品等々さまざまなモノがありますが、そのモノについて正しい使い方ができていなければなりません。それほど難しいことではありませんが、丁寧に、大切に、使えているかどうかを評価しなければなりません。
 ①うまく使えているか
 ②無駄を排除しているか
といったこが対象となります。

(5)カネ
 カネは、両面から評価します。
 ①過不足なく使えているか
 ②実態が数値としてタイムリーかつ正確に把握されているか
といったことが評価されます。

3.部門別損益計算の復習
 部門別損益計算を導入することにより、以下が達成される。
 ①各部署別の損益のプロセス及び結果の明確化による実態把握
 ②業務改革による個人技術技能向上、仕事の仕組みの見直し誘導
 ③焦点を絞ったマネジメントの実施
 ④各部署リーダーによるマネジメント力への動機喚起
 ⑥疾病別原価計算の基礎情報提供 

といったところです。ここからさらに具体的な分析に入りましたが、次回に触れたいと思います。