よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

街の活気と医療

イメージ 1
 
 詳しく国民意識を調査したわけではありませんが、香港の人々には活気があります。
 九龍の香港島を見渡せる海岸には、香港生まれの映画スター、ジャッキーチェン映画の撮影現場を模した銅像がつくられていますが、これも活気を印象づけるモニュメントです。
 
 もともと小国で特に産業がないなか、中国の貿易港として経済成長してきた香港は、後に金融やITを取り込み、国造りに励んできました。
 
 小さな政府をつくり、無駄なコストをかけず民間に多くの公的事業を委譲し、税金も安く、かつ社会保障は個人の裁量に任せ、国が国民皆保険制度などの導入をしてはいないものの、医療のインフラを整備し、また民間の保険を用意し、一般の国民そして貧困層に対する医療提供システムを構築しています。最高寿命も日本を抜いた、あるいは肩を並べているとも言われています。
 
 暮らしやすさをどのようにつくりあげていくのかが政府の基本的考え方であることは明らかです。以前ここでも取り上げたと思いますが、東アジアサミットがあったときに、各国の来賓がこぞって香港の運営システムは成功して我々各国の範になる、と話していたことがその証拠です。
 
 もちろん、弱者がすべて救われるシステムが日本ほど整備されているものではないために、国民は狭い住居に住みながら(それも土地が少ないために日本よりもとても高い)、懸命に働いています。仕事をすることが国民の生活そのものであり、その真摯な姿勢に感動することすらあります。
 
 子供たちが通学する姿を何度かみていますが、昔の日本の姿を彷彿とさせる景色がそこにはあります。学力もかなり高く、高校生や大学生のレベルにも目を見張るものがあります。
 我々にとって住む場所としてどうかということはありますが、とても魅力的な国であり、経済、社会福祉、もちろん医療システムについても学ぶところが多くあると考えています。
 
 
 医療システムがうまく機能するかしないかは、医療従事者の問題や病院の運営システムの巧拙の問題だけではなく、政府の政策、文化や国民の生き方に依存します。
  したがって、香港の政策やシステムを、そのまま導入することはできませんが、常に目標をもち、どうあるべきなのかについて議論するときに当該国の事例は我々の役に立てる。また、日本の優れた医療システムを海外に伝えるとともに、海外の制度でよいものがあれば、これを模して導入するといった関係ができればよいと考えています。