よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

JCIセミナーに参加して

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 新丸の内ビルディング10階 日本創生ビレッジにて、三菱地所のサポートにより、JMT主催「JCI Made Easy」と題したJCIセミナーがありました。
 当社役員の松田一敬氏の勧めにより、私も参加しました。
 
 CIJoint Commission International)はアメリカの組織による国際病院評価であり、「患者安全と医療の質の改善」を目指す認定制度です。
 湘南鎌倉総合病院のJCI取得のときのJCIコンサルタントであるErwin Dave Gonzales氏からはJCIそのものの説明、湘南鎌倉総合病院のJCIを推進の責任者として担当されたチームリーダーの副院長の権藤先生や、担当したJCI 事務局コーディネーター海老澤健太氏から今回の受審及び認証取得までのご説明がありました。
 
 医療の質をさらに向上させるという目標を設定し、JCIを知るところから始まり、職員の教育、説得、プロジェクト組成、日々のPDCAによる改善活動を行うなど、ほぼ2年間をかけて、多額のコストをかけ、とてつもない作業を行い見事一発でJCIの審査をクリヤーした彼らの活動のお話をお聞きすると、まさに壮絶の一言に尽きます。
 
 すばらしい医師達とスタッフのなせる業であり、「病院のミッションとして、患者さんのためにJCIに取り組め」という徳洲会の方針を徹底した帰結だと認識しました。
 
 「10回落ちても11回目を受審しなさい」というリーダーの言葉で、後に引けないと覚悟を決めた、と権藤先生が話されていましたが、そうした強い意思があってはじめて、こうした成果をあげることができたと思いました。
 
 日本には病院機能評価機構の認証を受けた病院がたくさんありますが、米国のJCIは、世界でも最も審査が厳しく、したがってJCIを取得するということは、世界でも一定の安全基準を持った病院として評価されます。
 
 現在、日本では、やはりこの病院がという7病院が認証を受けていますが、これからも多くの病院が、患者さんの視点に立って、JCIの認証を得ることができるよう期待しています。
 
 後半に行われた質疑には、さまざまなテーマが取り上げられ、とても勉強になりました。メディカルツーリズムとの関連や、病院機能評価との連関、詳細な現場実施事項や、さらにはそもそも論としてそのJCIの目的、さらには米国におけるJC(国内の呼び方)の取得状況や日本のこれからのJCIの取得についての可能性等々、多くの医療関係者やメディカルツーリズムに興味をもつ方々からの質問がありました。
 
 なお、基本的にはメディカルツーリズムのためというよりは、医療の質向上というところに重きを置く病院が現状では多いのではないかという思いを持ちました。
 そもそもJCIを取得した病院は、現状でも患者が溢れており、海外からの患者さんを受け入れることの必要性が薄いということからも、それは明らかです。
  Dave氏は、メディカルツーリズムで海外から患者さんを呼びたいところがあれば、JCIをとってはどうか、と説明しました。海外の患者さんでJCIを取得している病院を探している患者さんがたくさんいるので、それは増患に貢献する筈だという趣旨の話がありました。
 
 ただ、JCIを取得していなくても、特定の治療に対する医師や病院の評判を、よりどころとして来日する患者さんが多く、JCIをとったからといって患者さんが激増するというリレーションはないのではないという感じもします。
 
 しかし、実際にはJCI取得後海外からの問い合わせがかなり増えているという話も別途お聞きし、海外からの信頼を得るためには、このような厳しい認証を受けることも必要だという認識を持ちました。
 
 いずれにしても認証まで2年をかけ、さらにこれから3年後の再審査を受けるという決意を話されていた著名な湘南鎌倉総合病院の取組姿勢をとても素晴らしく感じました。できる限りの病院が、医療の質向上という観点からJCIにチャレンジしてもらえるとよいと思います。
 病院機能評価取得にも、もちろんよい面はありますが、JCI認証をとるということも、これからの日本の医療にとり価値はあることだと考えています。