
組織改革を進めようとするときに、前提となるのは次のものです。
- 組織リーダーの情熱リーダーがリーダーシップを発揮している程度
- 改革のストーリーの魅力度
- 改革のツールの巧拙
- 組織の文化風土・体制
- 組織構成員の意識
- 組織構成員のスキル
これらをすべて充足しなければ、組織改革を進捗させることは困難です。
とりわけ1から順番に整備されていない場合、組織改革はその場限りのものとなりやすいし、仮にうまくスタートしたとしても継続することが難しいと言われています。
多くの組織改革を継続して成長してきた組織が、上記要素を持っていることは間違いがありません。少なくとも、それを持とうとしている、持つことを渇望しています。
人に、こうなりたい、こうしたいという思いがあれば、必ずそうなると私は考えていますが、組織でも、例えば各部署のリーダーがそう考えていれば、いつかは思い通りになるのだと思います。
そうしてみると、中間管理職、すなわち各部署のリーダーが、上記の意識をもてるよう、組織として働きかけ続けることが必要であるという結論になります。
- トップマネジメントは常に思いを伝え続ける
- 課題解決のための経営方針を出し、
- 目標管理制度等により個人レベルにまでミッションを落とし込む
- トップマネジメントの役割として、中間管理職を育成する
- 中間管理職がモチベーションを高められる環境づくりを行う
- 部署間コンフリクトを組織として解消する
- 従業員全員の創造性を高める活動を恒常化する
などがそれらです。
何かを具体的に進めるときには難しいこともたくさんありますが、どのような業種においても、人が働く場面においては必ずここで議論する項目が重要になることは明らかです。
なお、これらを展開するときには、経営管理論や組織論、リーダーシップ論、行動科学論、心理学、管理会計といった知識が求められます。
我々が毎日企業にお伺いしていて気付くことは、当たり前ではありますが、組織運営に必要な上記の考え方を受け入れる素地があるのか、ないのかにより業績が大きく異なる傾向があることです。
ロジックを受け入れたくない、マネジメントがうまくいっていない組織がいかに多いことか。
実務は理論だけではありませんが、組織には、理論も知って、それを実務にどのように活かすのかを考える人たちと、自分の狭い知識や経験だけでものごとを捉え、かたくなにその正当性を主張し続ける人たちが存在します。
経営学は長い間かかって実務界で構築されてきた社会科学です。経験と実験を繰り返し、結果を理論として一定の領域に収斂させたものであり、いわばこのようなときにはこうなる、こうすればこうなるという論理があります。
仕事を熟知し、仕事それ自体に対する高いスキルを持っていることは不可欠ですが、実務を円滑に行うためには、現場で何が行われているのかについて知悉したうえで、そこに理論を重ね合わせなければなりません。
実務を知り、業務フローをみて、どの考え方が使えるのか、当てはまるのか、といったことを常に考えておかなければならないのです。
もちろん、そんなに複雑ではなく、理論から情報を得て人はどうすれば組織において心地よくいれるのか、動くのか、組織は何をメルクマールにして行動すればよいのか、どのような情報を提供すればよいのか、といったことが理解できていれば十分です。
雪が降れば雪かきをして道をつくります。雪かきの標準化された考え方やどうすればうまくいくのかの方法、発生する可能性の高いリスクを予め知っていれば便利ですよね。経験を積むことと先達から学ぶことの両面での対応が必要な理由です。
実務に精通しつつ理論を知り、効果的なマネジメントを行うことが大切です。
宿泊先からクライアントのある場所まで、まだまだ冬の香りが漂う多くの人が関与してつくられたのだろう道を歩きながら、私はそう思うのでした。
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