よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

権限の行使のためにルールが必要

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権限の行使には4つのものがあります。起案、審査、承認、報告がそれらです。

誰かが、これをします、してくださいと起案し、上司がチェックする、それが決裁されて物事が実施され、その結果が決裁者か、さらなる上位者に報告される。
報告されたこと、すなわち実行された事実に疑念があれば、報告を受けた者は、それについての情報を得て次に活かす、というながれがつくられます。

読んで字の如しではありますが、すべての仕事にこうしたプロセスがあることを意識していないことがあります。

実際に意識せず、業務が行われる場合には権限の4つが遵守されず、何かが抜けている可能性があります。

起案したが、審査なく承認され、報告もされない、といったことがそれです。
その場合には、審査は誰が行う必要があったのか、また、報告権限(報告を受ける権限)は誰がもっているのかといったことが検討される必要があります。

このように、意外と権限の4行使について、しっかりと決めていない病院があります。権限を現場に周知することにより、権限だけではなく、裏側にある責任も明確になります。

責任が明確になっていないと、誰もある行為をしなかったり、また逆に誰でもしてしまったりと、業務が混乱することになる可能性があります。

『え、これって私がするんですか?』とか、『(その行為をしたあとに)報告が必要だったなんて、聞いていません』といったことがそれらです。

なお、ある看護部長や事務部長が述懐していました。『伝票や書類があまりにも多いので、押印がめくらばんになる』これは、例えば承認が無意識に行われていることを意味しており危険です。

内容を確認する、検証する、認識する、理解する、納得する、といったプロセスを経て、押印・サインすることが大切です。
権限は行使されているけれとも形骸化していないかどうかのチェックが行われる必要があります。

求める成果をあげるためには、権限=責任という事実を理解し、正しく決定されたルールを適切に使うことができる組織をつくりあげていかなければなりません。