よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

小さい社会に学ぶ


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午前中は医療や介護から離れて、監査のため幼稚園に行きます。

園長は代々幼稚園を運用する学校法人の理事長の養子になり、学校法人を継続している、ある意味貴重な法人です。理事長はすべてを幼稚園にかけるため結婚しない掟があり、代々養子を続けることになります。

この地域でブランドをもつ幼稚園からは過去109年間に数千人の園児が卒業しています。ここは、常時140~150人の園児と20数名の保母さん達が、生活の場を持っています。いわば小さな社会がそこにはあります。

運営方針が出され毎日のルールがあり、規律があり、スケジュールがあります。保母さんがリーダーとなり、組織が一定の方向に誘導され、日々の成果が積み重ねられながら、組織運営が行われていきます。勿論、中間管理職となる保母さんやスタッフの教育体制づくりや運営も怠りません。

小さなコンフリクトは数多くあるものの、これ程統率がとれている社会は珍しい。学校の特性を斟酌しても素晴らしいと思います。

なお、園児がなつく先生となつかない先生がいることや、時々園長がラインを飛び越え園児を指導することもあります。
園長からお聞きすると、なかなか感心する組織運営の機敏を感じるエピソードもたくさんあります。

園児を指導するにあたり、誉めてやらせることや、敢えてやらせてみて上手くいくように仕掛けたり、競争させてスキルを身に付けさせる手法などマネジメントの極意を見いだすことができます。

また、親と幼稚園の関係はクライアントの、そして学亊課との関係はそのまま、監督官庁のそれです。彼らとのリレーションにも長けたノウハウがあり、感心させられます。クライアントをどのようにあるべき環境に巻き込んでいくのか、また、国の方針をどのように取り込み経営に活かすか。

さらに少子化のなかで、近いマーケットにある保育園事業に参入する業者が多く、競争が激しいなかで、独自の戦略を打ち出し勝ち続ける工夫をしなければならないのも医療や介護と同じ。

監査をしながら別の意味で、いろいろなことを学ぶ事ができます。
勉強になります。