よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

ベトナム・ホーチミン病院視察

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ホーチミンで一番のビルは(68階建て・262m)の、ビテクスコ・フィナンシャルタワーです。
 
香港のICCが高さ484mで、地上118階建ですから、その半分以上はありますが、まだまだという感じがあります。ビルの高さが国力を示すというわけではありませんが、このビル以外にあまり高い建物は見当たりません。
 
車もそこそこはありますが、やはりバイクにかないません。バイクはホンダやYAMAHAが人気で20万円前後で売られています。月収が3万円以下の国では相当な出費だと思いますが、鉄道は一部にはあるものの他の一般的な公共交通手段がバスしかない国では必需品です。
 
バイクはすごい台数が走っており信号のない交差点では驚くほどの混雑になります。しかし、それでもうまく運転し、ぶつかりそうでぶつからない技は日本では見たことのないものです。我々も道路を渡るときにイナゴのように押し寄せるバイクを避けるのに一苦労します。
 
いずれにしても、平均年齢の低い活気のある国の、これからの発展の速度はとても早いのではないかと考えています。
 
ベトナムの経済をけん引しているのは、社会主義国らしく政治家及びその親戚による国有企業だったりしますが、勢いのあるのは海外留学組であること、また新しい技術が堰を切ったように国内に入ってきていること、英語の堪能なトップが多いこと(日本語についてもよく話せる人がいて、現在は日本語ブーム)などがあげられます。
 
何よりも若い人々が意欲をもって何かを変えていこうという気概をもっていることも重要です。男性はあまり勤勉でもないという南方特有の傾向があるともいわれていますが、それほどでもないイメージはあります。とはいうものの富裕層は勤勉で恵まれた生活をしています。
 
2区や1区と2区の間にあるビンタン区、8区の住宅地の一部には最低日本円で1億円から5億円する邸宅や高級マンションが並んでいて、その景色は日本の高級住宅地とそん色ありません。私は韓国企業や居住地の多い落ち着いた4区、フランス統治時代の名残りのある住宅街の7区がおしゃれで好きですが、これから開発が進み東京と同じような状況になるのは容易に想像できます。
 
さて医療です。パートナーに紹介してもらった政府関係者が小児科健診センターを経営していて、3000万円個人で投資したけれど(日本ではたぶん4億円の価値)、やっと数ヶ月で黒字になったということを聴き、見学にいきました。周りの店舗よりは、綺麗でしたが、小児科診療所の大き目バージョンという様子。医療はまだまだなんだと思い、逆にこれなら先が楽しみという思いもあります。
 
フランスベトナム病院にもいきましたが、いわゆる富裕層向けの病院で、目の玉が飛び出るほど高い診察料(現地の人の弁)という病院ではありましたが、やっと普通の病院ですねという感じです。
 
この病院は設備も整い接遇も最高で、医師毎に予約をとるという欧米型の病院でしたが、落ち着いていて清潔でデザインやセンスは中国や香港の富裕層の病院に勝るとも劣らない、日本の病院と同じ匂いのする病院だと感じました。しかし、患者数は少なく、この大きさで十分な経営はできるのか、については少し疑問符が付きました。
 
整理すると、
(1)一般患者の病院はあまりきれいとはいえないし、日本の病院とは比較にはなりませんが、不足していて、これから益々増やしていかなければならない
(2)富裕層の病院は明確に区分されていて、こぎれいにした日本の急性期病院のイメージがあり、機能もそのような機能を兼ね備えているのだろうと予想されますが、まだアクティビティからすれば、日本の病院よりもパフォーマンスが悪いのではないか
となります。
 
この印象を基礎として、日本の医療の良いところを移植したモデルで、どのように彼らに貢献すればよいのかを考える必要があると考えたのでした。
 
ベトナムではまだ少ない数の病院しか見ていませんし、何十人、何百人の医師とお話したわけではありませんから、単なる印象であることは否めません。さらにマーケティングを進め、最適なプランをベトナム側に提示していきたいと思いっています。