先日、銀行及びハウスメーカー共催のサ付き住宅のセミナーを行いました。この類のセミナーは既に20回ほど全国で行っております。
厚労省は、機能分化と平均在院日数短縮により、病院病床の削減を行うということを、医療制度改革の柱としています。
いうまでもなく少子高齢化や財政破たん回避を前提とした国家の威信をかけた、医療を護るためのぎりぎりのところでの攻防が繰り広げられていると言っても過言ではありません。
病院病床を削減するために、すべての急性期や慢性期の業態において、新たな基準やルールをつくり、それらをターゲットとして着実に目的を達成しようとしています。
参考までに、日本の財政ですが、図に示すように歳入がないなか借入に依存して国家運営してきた日本の現状があります。個人で考えれば42~43万円の収入しかない人が92万円以上の生活をすれば、その差額は借金になることは当たり前です。
どこまで借金をしてもよいのか、海外からの借り入れがダメなのか、自分でお札を刷って何が悪いのか、などさまざまな議論がありますが、議論すべきテーマここでは触れません。しかし、大変なことになっていることは間違いがありません。
社会福祉政策を根本から変えなければならないときに、地域包括ケアシステムの一部としてサ付き住宅がでてきています。医療を護るための住宅政策の必要性について考えなければなりません。

結局のところ、
(1)さまざまな理由のなかで、現状の医療が継続できるか疑問
(2)平均在院日数短縮は、強い病院に患者を集める要因の一つとなる
(3)平均在院日数短縮に対応するための多様な病床への転換、他の業態の医療への展開(介護期医 療)が必要となる
(4)自院の患者構造に合せた地域医療を展開するためにサ付き住宅は不可欠
(5)得意な分野や機能をつくり、連携は進めつつ、自院でもできるだけ多様な医療を展開できる仕組みをつくりあげる必要がある
(6)仕事の仕組みの見直しと個人の技術技能の向上=業務改革と教育がこれからの医療の内部戦略 の軸となる
(7)サ付き住宅を各病院の機能や業態に応じて設置し、病院での医療と在宅の医療との連携を行いつ つ、地域を護るための活動が求められる
という結論です。
サービス付き高齢者向け住宅は、病院病床削減の受け皿として期待される、利用者は、医療の必要な患者であり、介護事業者ではなく、医療機関がサ付き住宅の運営を行う必要がある、但し、質の高い介護事業者なくして、医療や看護を支えることができない(しっかりとしたコラボが必要)といったことが浮かび上がってきます。
サ付き住宅の活用は多様であり、どのような業態の病院においても必要なものとなっています。
早期退院のため、病床の代替、合併症患者の術前管理、安定した人工呼吸器患者の早期退院、特徴のある疾患への対応、長期慢性期病床の医療区分1の退院支援、長期急性期病床の整備、社会復帰支援の後の対応、長期ターミナル患者の退院支援、透析患者の入院透析実施、介護事業への参入、
老健の出口、介護療養病床の患者受入、複合的運営、有料老人ホーム等の代替といった活用方法があります。
(1)サ付き住宅が必要なのかないのか
(2)自院がどのような方向に進めばよいのか
(3)そのためには何が必要であるのか
(4)どのようにしてサ付き住宅を自己の計算あるいはリースバックで建設すればよい
のか
(5)どうすれば的確なサ付き住宅の募集ができるのか
(6)どうすれば初期から合理的なサ付き住宅の運営がで
きるのかを十分に検討する必要がある
といったことについての議論が必要です。
(1)高齢者は25年程度から伸びが止まり、30年からは、減少に転じてくる
(2)サ付き住宅の建設コストを15年で回収しようとすればサ付き住宅の建設を行え る期間は短い
(3)飽和状態や競争関係が早期に生まれる地域が多数生まれてくる
(4)財政が不安定ななか、サ付き住宅建設のための補助金の捻出も行えない状況が早 晩くる
したがって、
(1)現状分析
(2)戦略明確化
(3)方向決定
(4)活動開始
(5)サ付き住宅建設
(6)サ付き住宅運営
(7)地域医療及び介護への積極的展開
について、ノウハウを持った組織との連携を行いながら、早期に対応していく必要がある
という結論を得ることができます。
なお、7月23日の火曜日にビックサイトで「医療機能分化と高齢者住宅の役割」というタイトルでのセミナーを行いますので、そこでのセミナーについての、ご報告もさせていただきます。