病院において説遇を考えるときに、もっとも必要なことは患者さんへの思いです。
しかし、思いだけで接遇が完成するわけではありません。そこには、接し方の技術が必要です。態度や言葉遣い、姿勢や対応などは、技術の一部です。今の接遇研修はそこを狙って行われます。
さらに職員が担当している仕事の適切性や速さ、正確性が求められることはいうまでもありません。医療の目的の一つを、患者さんやご家族に早く楽になってもらうことだとすれば、それを達成するための対応(接遇)は、医療全体で捉える必要があります。
そこでは、日常の業務における、それぞれの職員の技術や技能がもっとも問われます。
▽羞恥心を与えない
▽恐怖心を与えない
▽痛みを与えない
▽納得してもらう
▽不快な思いをさせない
▽不便を与えない
▽不利益を与えない
という7つのテーマが与えられます。
それぞれのテーマに対してどのような行動が問われのか、どのようなテーマを持って接遇を行えばよいのかを、一つひとつの行為レベルで明らかにしていきます。
「素敵な笑顔の看護師さんの、注射が下手でいたかった。何とかして下さい」
という投書から明らかなように、従来行われてきた笑顔、挨拶、礼節の接遇教育だけでは足りないことが明らかです。医療、看護、医療周辺業務の質的向上が求められます。
仕事ができる人は、周りが見える、先が見通せる、全体が分かるので、余裕ができます。余裕ができれば相手を思いやることができる。
医療に対する強い思いを持っていれば、自然に笑顔で患者さんに接し、適切な対応ができるという帰結です。
従来の接遇研修を否定するものではありませんが、それだけではなく前述した7つのテーマを一つひとつのクリヤーできるよう、マニュアルや業務改革を以て、病院全体での活動を通じて、手を打っていかなければなりません。
医療における本当の意味での接遇をよく考えて見る必要がありそうです。