よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院における教育の在り方

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(ビッグサイトでの医療機関向けセミナー)


一人ひとりに光を当て、一騎当千の戦士とするためには、病院はいくつかのゲートを開く必要があります。以下について焦点をあて、一人ひとりと胸襟を開いて話し合わなければなりません。
(1)社会人としてのモラル
(2)人生の目標
(3)医療従事者としての思い
(4)地域住民や患者さんに対する思い
(5)仕事のスキルに対する執着
(6)成果をあげたいという思い
 
そもそも人は原則として、組織に帰属したいという思いが基礎にあります。マズローの5段階欲求説から考えます。
一番目の生理的欲求と二番目の安全の欲求は,人間が生きる上での衣食住等の根源的な欲求。
三番目の社会的欲求とは,他人と関りたい,他者と同じようにしたいなどの集団帰属の欲求。
そして四番目の自我の欲求とは,自分が集団から価値ある存在と認められ,尊敬されることを求める認知欲求、他人からの賞賛を求める欲求といえます。
最後の自己実現の欲求とは,自分の能力,可能性を発揮し,創造的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求です。
 
前者3つは低次欲求。後者2つは高次欲求といわれています。ここで明らかなように、人は組織に帰属したい、誉められたい、そして最後には自分らしい仕事をして満足したいという思いに突き動かされて生きている筈だということが分かります。
 
それができないのは、それをできなくする阻害要因がある。やる気をなくす障害があるのではないかという仮説が成り立ちます。人間が本来的にもっている高次元の欲求を満たすことができる組織になるために、何をしていくのかを考えなければなりません。
 
まずは現状がどうなっていのかを評価します。前提として、
(1)達成すべき目標がある
(2)目標を達成すべき方針がある
(3)方針を具体化する計画がある
(4)計画を実行する道具や手法がある
(5)道具や手法を使える環境がある
(6)評価が行われている
(7)課題が明らかになっている
(8)教育が行われている
などが整備されていなければなりません。
 
次に教育に取り掛かります。
(1)簡単でよいので体系をつくる
(2)簡単でよいので道具をつくる
  ①マニュアル
  ②学ぶべき知識のリスト 
(3)所属長が面談して、中間管理職一人ひとりと話し合う
  ①報告を受けていることの確認
  ②持っている印象とあるべき姿とのギャップを埋めるた  
   めの方法論決定
(4)経過をみて、随時関与する
(5)得意分野を伸ばし、他のスタッフに開示する
 
幹部が考えなければならないのは以下のポイントです。
(1)結局は、今いるスタッフと一緒に活動していくことでし   
  か、病院運営はできない
(2)青い鳥はどこにもいないことを知る
(3)人が育たないのは
 ①組織目標に対する執着が少ない
 ②評価・教育を理解していない
 ③自己改革していない
 ④全身全霊で対応していないから
  どんなスタッフでも裏切らない力を発揮できるスタッフ
 に変貌することができるとの確信をもち、対応する。
 
 職場内教育で現場を教え、判らないことがあれば集合教育で力をつけてもらう。そして現場で必要な事項を自己啓発により、身に着けられるよう誘導していくことが大切です。