よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

人がやる気になる理由(1)

なぜ、トップマネジメントが
▽リーダーとしての魅力的な人間性
▽懸命に医療に取り組む姿勢
▽高いマネジメント能力
▽仕事に対する厳しさ、真剣さ
をもつと人がやる気になるのか。
 
 医療に従事する職員は、お金のために仕事をしている人は少ないと考えます。
 もちろん、生活の糧としてのお金は必要であり、他の医療機関と比較して賃金が極端に低ければ、それを補う誘因がなければ雇用は創造されないでしょう。
 しかし、お金儲けを基本的な価値としているのであれば、他の業種でいくらでもそれを得られます。ですから、お金がやる気につながるということについてはここでは埒外におきます(なお、成果に対して評価が行われ、それにより報酬が増加することはモチベーション向上に役立つことはいうまでもありません)。
 
そうであるとすると、職員の価値観として、
▽医療が好きだ
▽スキルを身に着けたい
▽患者さんのために尽くしたい
▽人の役に立ちたい
といった思いで働くことに意欲をもつのだと思います。
 
 まずは、自分の仕事の目的を達成したいと思う職員を対象にしたマネジメントを行い、同時に組織の文化風土をつくりあげます。
 誰が組織の長であり、各部署の長であるのかを考えたときに、彼らが率先垂範していれば、それを目にして職員は心で受け止めますし、自分より優れた者がいれば尊敬し、どうしたらそうなれるのかと考えることが通常です。
 リーダーとともに働くなか、学ぶことがあり、リーダーの指導により何かが成し遂げられるプロセスをみていれば、自分もそのなかで何かの役割を負っていると理解できますし、リーダーが成果をあげているということがみえれば、感化されないわけはありません。
 
 リーダーの働きにより人が変わり、組織が変化するというながれが生まれることは明らかです。毎日の仕事に活気があり、マズローでいえば自己実現の欲求にまで到達したい職員のやる気を醸成することが有効です。
 
 一方社会人として仕事をしていく限りは組織の求める成果をあげなければなりません。
個人目標と組織の目標を合致させなければなりません。
 上記のカテゴリーに入らない、たまたま職場が医療関係になった、楽をして一定の賃金を稼げればそれでよいと考える人たちも、就業している限り成果に対する義務から離れることはできません。彼らも少なくとも、身近にキラキラしているリーダーがいることで、気が付くチャンスをもつことができるようになります(続く)。