よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

外来の大切さ

 外来の運営の巧拙により、多くのことが変わります。とりわけDPC病院においては、外来での処置や検査が増加するため外来における業務の円滑な実施が、病院の業績そのものに直結します。部門別損益計算を行っていると、多くの病院の外来は赤字になります。

 一定の分岐点を超えると黒字になりますが、相当忙しい状況をクリヤーしなければなりません。

 急性期病院の外来は再診患者と新患の比率をいつも管理する必要があります。最も適した運営は新患比率が高く、入院比率が高く、手術比率が高い状況をつくりあげることです。

 外来紹介比率、入院紹介比率を高めるために病院として多くの資源を割く必要があります。

 整形や循環器のように、慢性期の患者さんを診ることが、入院比率を高めるために重要であることはいうまでもありませんが、他の診療科においては急性期病院としての機能を果たすため、自院の外来でしか行えない治療や検査のための外来患者さんへの機能提供を維持しつつ、入院をより強化する必要があり、そのための外来政策をとることが求められています。

 最近は、東京の大学病院によく見られるように、自院のスキャニングセンターを保有し、病院外来以外のところで検査を行うことで、早期入院できる機能を強化したり、他の病院の同施設を利用して、早期入院を促進するところまできていますが、自院においても検査の生産性をあげるための投資や工夫を行うことが大切です。

 それぞれのコメディカル業務の最適化を図ることも含んだ意味での、外来における業務手順や、アルゴリズムを使った患者さんのながれを円滑する試みなども有効です。

 もちろん、患者さんの待ち時間を感じさせない工夫も必要となりますが、さまざまな取り組みのなかで、外来治療の心地のよい効率化や対応が求められています。

 受診NO表示はいうまでもなく、問診の効率化、緊急検査体制、患者数に応じた外来診療オープン体制、オーダリング機能強化、自動精算機導入といったことが事例となります。
 
 なお、医師の疲労を避けるための逆紹介体制確立や、医師毎の患者数平準化といったことも視野に入れなければなりません。

 紹介のやりとりや、外部医療機関との円滑な関係をつくるための体制、外来スタッフのスキル向上、彼らへの教育強化、さらには外来機能を支える各部署の連携強化といったことも、実は外来でのながれを円滑にするための重要な要素です。

▽病院としての外来政策

▽連携機能強化及び連携体制確立

▽診療科別の外来戦略

▽業務フローの確立見直し

▽部署間コンフリクトの解消

タイムマネジメント

▽教育体制整備
といったことが外来機能強化のために目標化され、適時実行に移される必要があると考えています。