よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

軽んじてはいけないマニュアルの効用

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先日、セミナーを行いました。マニュアルがいかに大切であるのかについての説明を行いましたが、マニュアルに関するチェックシートがあることを思いだしました。

 

チェックシートを使い、マニュアルの作成及び運営の状況について自社の現状を調査してみる必要があります。

1マニュアル委員会など業務を常にウォッチする組織はありますか
2それらは、目的をもって運営されていますか
3マニュアルが必要であることについて全社のコンセンサスはありますか
4マニュアルは、(暗黙知→形式知、個人知→組織知を示す)ナレッジマネジメントのツールであることを理解していますか
5マニュアルを利用して仕事をするという教育が行われていますか
6マニュアルを利用して仕事をすることが文化となっていますか
7現在マニュアルの整備率はどの程度ですか
8各部署のマニュアル件数を把握していますか
9それは何件ですか
10マニュアルの対象となる項目がすべて一覧表になっていますか
11いつまでにどのマニュアルを作成するといったことについて計画がありますか
12計画が円滑に達成できるよう定期的な評価が行われていますか
13マニュアルのフォームは統一されていますか
14複数部署をまたがる業務のマニュアルは、複数部署が協力して作成しているか
15各部署のマニュアル関連する業務について首尾一貫性をもって作成されていますか
16マニュアルを作成するものの権限は明確ですか
17マニュアルは一定の承認をうけてから現場で利用されていますか

18マニュアル改訂の履歴は管理していますか
19改訂されたマニュアルは直ちに開示されるようになっていますか
20マニュアルは手順、留意点、必要な知識能力、そして接遇欄に区分されていますか
21それらは、横に並べられて作成されていますか
22手順は簡潔に作成されていますか
23留意点は、手順を補足するかたちで、すべての手順について書かれていますか
24留意点には、うまいやり方・コツ(ノウハウ)といったものが書かれていますか
25留意点には、疑似体験ができるように失敗したことについても記述がありますか
26留意点には、インシデントが起こったことについて特に記述がありますか
27留意点には、アクシデントが起こったことについて特に記述がありますか
28必要な知識・能力には、関連する知識を記載していますか
29必要な知識・能力には、関連する能力を記載していますか
30必要な知識・能力には、関連するマニュアルNOが記載されていますか
31接遇欄には本来の接遇が記載されていますか

32マニュアルの改訂が頻繁に実施されていますか
33マニュアルの改訂のための改善提案制度など整備されていますか

34マニュアルから職務基準を作成していますか
35個人のスキルをマニュアルや職務基準によって評価していますか
36職務基準はすべてマニュアルにより説明できるようになっていますか
37職場内教育はマニュアルや職務基準によって行われていますか
38職務基準は時代の変遷や環境変化に対応した戦略により常に改訂されていますか

これらをチェックして、不足するところがあれば修正していくことが求められています。

 

マニュアルの作成・運用により、暗黙知→形式知、個人知→組織知への転換が行われ、多くの成果を得られます。各部署の業務が可視化され相互理解のもと部署間の連携やコミュニケーションも活性化します。業務改善による教育による生産性向上が得られます。業務フローや職務基準にも影響を与え仕事の仕組み見直しや個人の技術技能向上への基礎にもなります。

 

マニュアルは本当に奥が深いですね。

 

なお、DX(デジタルトランスフォーメーシ)への取り組みを行うときには業務の現状分析は不可欠です。マニュアル作成、運用プロセスにおいて業務の適切な見直しが行われていればIT化やAI化は円滑に進みます。マニュアルの適切な活用が行われなければなりません。