組織は人で構成されます。組織がうまく機能するためには、ざまざまな分野の社員が、それぞれの得意分野における技術技能を組織に提供し、それらの連携をもって、成果をあげていくことが必要です。
方向を決め、具体的な手法を設定し、計画を立て、構成員を説得しながら、物事を進めていくことができれば、いわゆる組織力が発揮され、大きな成果をあげることができます。
ここでいう説得は、個々の職員が納得するということだけではなく、職員同士やそれぞれの職員が所属する小さな組織、すなわち機能をもったチーム同志の衝突を回避させ、協力してもらうことも含めています。
上記の作業にはとても大きな力が必要です。
1.ある組織は積み上げて、ミドルアップの改革を進めていましたが、組織の長の一言で、それらが否定され、ミドルアップした幹部はみごとにやる気を失い、組織がネガティブな方向に進んだ例もありますし、
2.いくら檄を飛ばしても、リーダーが信任されていないので、社員の協力を得られない組織、
3.そして逆にリーダーが先頭に立って前に進んでいくけれども、社員に力のある者がいないので、改革の進捗が遅いという組織
など、さまざまな類型があります。
しかし、成功のために組織の活度を維持、あるいは高めていくためには、少なくともリーダーの情熱が必要ですし、そして幹部の高い技術技能がなければなりません。
私は、リーダーの情熱が人一倍であり、合目的であれば、社員は力を発揮する筈だといつも考えています。
したがって、前述したリーダーが先頭に立っても、改革の進捗が遅いというケースは、リーダーの情熱が、社員の心底からの受容を獲得していないため、社員の力が発揮されなかったという考え方も成り立ちます。
まずはリーダーの強い情熱が必要であり、それが組織を動かす原動力になることは間違いがありません。
そしてそれを受けて成果をあげることへの使命感を感じることのできる幹部の存在が大切です。
ただ、人が育つ組織は、まず一定程度の集団がいて、彼らがマスで成果をあげるので、人が育成されやすいという実態があり、力ある幹部が独りもいない組織からは、いくらリーダーが奮起したとしても、スタートを切るまでに多くの時間を要するのだと考えています。
「リーダーの情熱と幹部の力量」が組織の活度を高めるといってもよいかもしれません。
いずれにしても、組織をけん引するリーダーの情熱が組織の運営及び成果獲得には不可欠です。
トップマネジメントにおけるリーダーに情熱がないときに、幹部は諦めてしまうのではなく、
1.リーダーに情熱をもてない理由があるのであれば、それをどう排除するのか、
2.そして情熱をもってもらうためには幹部は、そして全社員は何をすればよいのかを真剣に考えてみることも必要なのかもしれません。
今のファンダメンタルズのなかで絶対に日本の景気は回復しません。
今回の景気化回復政策により、その時期は多少遅れるかもしれませんが、いずれ一度はすざましい経済環境を迎えることは明らかです。
過去の積み上げてきたつけを払わなければならない時期が到来します。
ここから先、組織は何をしていかなければならないのかを考えなければ、10年以内には、とても大変な事実に直面することになります。
医療でいえば、リーダーが情熱をもって自らの使命を果たすため、病院や職員とともに闘い続ける病院だけが存続し続けることを認識しなければならないと、私は思います。