よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

的確な行動のために

 

 

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ある対象は、すべて定性的か定量的かで認識され測定されます。

 

定性的とは「対象の質的な側面に注目する」ということで、また定量的とは「対象の量的な側面に注目する」という意味で使われています。

 

仕事においては、できるだけ指示や目標設定は定量的に行わなければなりません。

 

例えば「この仕事をしておいてね」という言い方と、「この仕事を30分で、100%終わらせてね」というのでは指示を受けた者の行動が変わります。

 

もちろん、その場合、指示を出す者の見立てにより、必要に応じて手法についてのアドバイスを行うことが多いと思います。

 

指示した者に求められる能力があり、例えば彼ならほぼ20分で終わるだろうとの予測がなければなりません。出来もしない時間を提示しても意味がないですよね。

 

そのうえで指示をされた者が仕事を行う目的や方法を納得して、これは30分でできるな、と受け容れて仕事をすれば確実に成果は上がります。

 

時間内にできなければ、その理由を分析し、次に努力するに違いありません。少なくとも指示側とともに、できなかった原因を分析できます。

 

指示の出し方により、期待する質を担保したうえでその時間が基準となり、成果や仕事の質向上に影響を及ぼすのです。

 

そもそも企業の経営資源はヒト、時間、情報、モノ、カネですが、そのなかでもっとも大切なものがヒト。そのパフォーマンスは質と時間により常に測定されなければなりません。時間軸での思考をもって行動したり、指示を出すことがいかに大切なのかについて、まだよく理解していない中間管理職が多くいると考えています。

 

例えばビジネスホテルで利用客が減っているとします。「宿泊売上が減っているので、営業をかけよう」と指示を出すのと、「今月は利用客が昨年同月対比で12%減少している。それはネット代理店からの申込みが8%、自社HPからの申込みが2%、直接電話での申込みが2%減少していることによる。まずは企画室を中心として課題発見と解決策を検討、経路別の戦略を1週間以内に立て集客プロジェクトをつくり、1日の申込みを30件増加させる行動を開始しよう。成果を挙げる期日は3週間以内。さ、頑張ろう」というのでは、仕事の精度が明らかに異なります。

 

極端な事例ですが、はじめの「現場丸投げ指示」であれば焦点を絞り切れず、現場は余計な行動をとる愚を犯しかねません。

 

物事を数字で表し、数字を使い仕事をしていくことで納得性や成果が高まることは明らかです。

 

もちろん、人は機械ではないので考え方や理解、能力や得意不得意、性格、その時点の体調、環境が異なります。指示を出す上司は、仕事の質量と部下の属性や定性情報を斟酌し指示を出さなければなりません。しかし指示そのものには数字により測定できる成果を求める必要があります。

 

どの業種でも同じではありますが、時間にしても戦略行動にしても、数字をどのように扱うのかについての思考がなければ、あるべき経営はおぼつかないと認識することが必要です。

 

なお、KPI(重要成功指標)が日常化されていますが、KPIがうまく設定されていないことも多くあります。先ほどの例でいえば。30人/日増はKPIではなく、KGI(ゴール)です。

 

例えば営業する代理店の件数や頻度、有効面談回数、親密度がKPIですし、またネット集客であればPV(ページビュー)、CVR(コンバージョン率)、CPA(投資可能な広告費)等がKPIですよね。

 

成果を適切に把握し、的確な行動を行うための指標の設定が求められています。ゴール→成功要因→行動基準→重要成功指標→行動→成果→分析が必要ですね。

 

なお、定性情報を蔑ろにはできません。人の感覚や感性による情報収集力をみくびれないからです。なので指示を受ける側の環境整備や彼らの事情を掌握し機敏に適切な対応を行う事も忘れてはなりません。定性情報をうまく活用しながら定量的に指示を出すし、行動すること。大切ですね。

 

リーダーシップの巧拙が問われます。