よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院経営で最近思うこと

 病院の経営でもっとも重要なことは何かを考えます。患者さんが来院すること。それが一番です。
 
 そのためにどのような体制を整備するのか。これに尽きます。逆にいえば、患者さんが来院するためには、どのような体制を整備すればよいのかということでもあります。
 
 自院の強みは何かを打ち出し、そのための特徴を明確にする。それがまず第一に必要なこと。標榜科目が第一番目にそれを表すものですが、それだけではなく、当たり前のように何が強いのかをしっかりと明確にすることが必要となります。
 なお、特定の標榜科目の病院が飽和している地域での対応はとても難しい。
 どのように特徴を出せばよいのか判らないからです。
 アメニティなのか、医師なのか、看護スタッフなのか。場所なのか…。それらには限界があります。トータルでみてつくりあげられてきたブランドが支えていることも多く、いまこれからということになれば、相当な努力により優位性をもたなければならないことはいうまでもありません。
 
 ではどうするのか。あらゆる活動を徹底して行うことが必要です。
▽治療に特徴をもたせ喧伝する
▽医師が丁寧に応対する
▽待ち時間が少ない
▽全体として丁寧である
▽治療成果が高い
といった医療マターだけではなく、
 
セミナーを毎月4回実施する
▽連携のために地域にあるすべての病院に訪問し紹介関係をつくりあげる
▽ネットを活用する
▽媒体を活用する
▽特徴のある活動を行う
▽スタッフ全員の意識を変える
▽スタッフの質を向上させる
▽仕事のながれをより円滑かつ高機能なものに転換する
▽患者さんもしくはご家族が口コミで自院のブランドを高めてくれるよう日常すべての質を向上させる
といったことが必要です。
 
上記すべてを完璧に実施することにより、特徴のない、そして飽和状態にある病院であっても、成果をあげていくことができるようになります。
▽統治体制
▽可視化(⇒管理会計導入)
▽質の向上による生産性向上
▽増患対策
▽単価アップ体制
整備のための活動が具体的に行われます。
 
 これらに対し総合的に対応していかなければ、間違いなく成果をあげることはできません。それも、片手間ではなく徹底して実施する必要があります。例えば接遇研修を6ヶ月に1回行うようなことで本当に職員の意識が変わるのかを考えてみる必要があります。
 
 意識を変えるためには、説遇とはなんであるのか。なぜ接遇なのか。なぜそれをしなければならないのか。それは自分にとってどのような意味をもつのか。また、その結果は自分にどのように跳ね返るのかといったことが徹底的に検討され、そして議論されなければ、それ
は成果につながりません。 
 
 同じように、小手先での指示を徹底する、無理やりやらせるといったことにより成果があがったとしても、それは一次
的であり、継続的な成果を得ることは困難であるということについて気付かなければなりません。
 
医療は積み重ねであり、なかなか一朝一夕に成果をあげることは難しい。焦点をしぼり、ターゲットを明確にしたうえで、来院を促す仕組みをつくることが求められます。

地域に残り、医療を継続できることができなければ、本らにの使命を果たすことができないと理解する必要があります。
 
 一生懸命やればなんとかなるという考えも正しいとは思いますが、それだけでは確実性に欠けます。科学的(体系的、継続的)にやるべきことをやるといったスタッフをどれだけ育成できるかが病院勝ち残りの要諦であると考えています。