よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

新年は病室から

 

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 あけましておめでとうございます。今年は新年を病院で迎えています。昨年年末、総胆管結石の疑いで大学病院の救急外来から緊急入院しました。
 
 今回は、いろいろ勉強になりました。
まず、診療所の対応です。胃痛で受診したものの、検査で胆嚢結石から上記疾患が疑われるとみるや、もし正月に再度発症したら入院の可能性があるし、治療を受けるためにはまず入院先確保、ということで、診療所の勤務が休みにも関わらず家に毎日電話をしてもらい、結局、血液検査、CT、そして紹介状を作成、夕方大学病院の救急外来を手配を受け入院できました。
 
 紹介状の内容も、病院で若干みせてもらいましたが、とても丁寧で感動しました。一連のながれは、当たり前じゃないかというむきもあるかもしれませんが、現場をいろいろ見ている私からすれば、理想的な診療所の対応ではないかと思います。
 
 その診療所が病院の医師にとても信頼されていることが、素人目にもよく分かりりましたが、日常的な連携関係があると、これだけスムーズにことが運ぶのか、いうことに驚きました。
 また、病院に入院してからも内科と外科がコミュニケーションをとり、検査結果をチェックしながら内視鏡での処置をするかどうかを、数日間ウォッチ。
公休の内科医は勤務の外科医と電話で方針を決めてくれるなど、年末にも関わらず、よく対応をしてもらいました。数値が改善してはいますが、いままで見たこともない検査データを目の前に、入院できたことはよかったのだと思っています。
 
 なお、DPCからみれば、この入院の仕方はあまり好ましくないし、また、入院してからの期間もパスからはずれているにもかかわらず、患者の安全を考えての対応をしてもらっていることや、大学病院流の合理性な病棟運営に感心はしています。たまたま電子カルテ入替えが年末年始ということで、病棟で看護師さんたちは、若干混乱しているようでしたが、なんなくこなし、適切な処置もしてもらっています。
 
  普段、病院は仕事場であり、こちらか訪問して看護師さんとお話をする、研修をする、という立場から、こうして病院のベッドで看護を受けたり、治療を受けていると、少し妙な感じはしますが、患者の立場からみて、うるさい私の質問にもよく親身に応えてくれる医師や、看護師は、とても好感がもありがたい。
 
 この著名な大学病院は私の生まれた街にあり、以前から知っていたものの、来院したことがありませんでしたから、あまり深い印象はありませんでしたが、今回の入院を通して、医療のありがたさを再認識しました。
  
 たまたま、持ってきたアメリカのメディケイドやメディケアの本を読んでいると、如何に多くの病院が、医療制度のなかで淘汰されていったのかが分かります。
 いまさらですが、DRGを導入するなかで、在院日数が短縮され、そこで自然にベッドが少なくなったということではなく、保険制度そのものの政策により、直接的に病院が淘汰されていった事実を改めて読んでいると、国や社会の事情は大きく異なるものの、医療を受け続けることがどれだけ大変なことかということを再認識できます。
 
 ひるがえって、日本です。
 ここで受けた医療がすべての医療機関で行われている一般的な医療ではないと思いますが、国民皆保険制度があることや、いつでもどこでも比較的ローコストで医療を受けられる日本は本当によい国だと思います。
 しかし、その背景には医療従事者の過度な犠牲や、財政の問題があり、安い医療費と国民の意識に対するしっぺ返しが、間違いなく到来する予感があります。
 
 医療を大切にする、ながく提供してもらえる体制をつくりあげるために我々は何をしていかなければならないのかについて考える機会になりました。
 いずれにしても、まだ、今後の方針や退院日は決定してはいませんが、何十年ぶりに病院に入院して迎えた平成26年元旦のこの日を忘れず、次のステップに進んでいきたいと思います。