よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

介護第二世代がはじまった

 65歳以上の高齢者が3100万人を超え、576万人が介護認定者(要支援を含む)となっています。
本来認定が必要な人で認定を受けていない人を含めて20%以上の方々が介護サービスの対象者となっています。このことは日本にとってとても大きなチャンスであると考えています。
 
 高齢者マーケットでは、さまざまな領域で新しい商製品サービス、システムが開発されています。
 簡単な安否確認のための設備や、排泄管理のための機器、食事のデリバリーや、福祉用具介護タクシーやシルバー向けのサービス、簡単なかたちで提供される通信手段の改善など、さまざまな分野での商製品サービス、システム開発などがそれです。
 
 しかし、それだけではなく、さらにこの領域には、一般企業が掘り下げることで、いままでになかった商製品サービス、システムが開発される可能性があります。一般企業は、さらにマーケットを深堀をするためには、もっとより近い高齢者の日常や生活環境にまで入り込む必要があります。
 
 少子高齢化により衰退してく日本の未来の絵がかけていないのであれば、まさしく一般企業による高齢者マーケットの深堀を通じて、いままで誰も考えたことのないような革新を行い、多様な産業の集積による高齢者産業を構築していくことを議論することが必要です。
 
 一般企業が高齢者産業により深く参入することにより、介護専業事業者が直面する保険収入の壁すなわち、介護保険の動向により介護事業の盛衰が左右されるといった現状を乗り越え、介護サービスの保険収入に頼るたけの事業ではなく、他の収益モデルによる介護サービスの維持存続も可能となります。
 
 一般企業が参入することにより、より多くのスタッフ投入が行われることから、不足する介護スタッフの確保にも道筋をつけることができるようになります。
 
 そして、高齢者産業の確立を行った成果は、これから遅れて高齢化を迎える世界各国に伝えられ、また輸出され、肌理の細かい介護サービスとともに、高齢者を世界で支える基盤をつくるために役立ちます。
 これを第二世代の介護といいます。
 
 介護第一世代の10年を超えて、介護事業は、一般企業を交えて拡大する介護第二世代に入いる必要があります。介護第二世代は、介護を通じて高齢者マーケットを変革し、さらにその価値をもって、すべての人類にやさしい商製品サービス、システムを開発することができるようになります。ある意味、産業革命にも類する革新がここで行われると考えています。
 
 既にワタミソニーフィナンシャルホールディングス日立製作所をはじめとしたたくさんの企業が介護事業に参入しており、介護第二世代の萌芽はありますが、まだまだ足りません。この先が続きます。
 
 時代が進化していくなかで、さらに高齢者の懐に入る新しいマーケティングを行うために、介護の質自体をも変革していく一般企業を中心につくりあげられる、この世代のこれからをとても楽しみにしているし、その形成に私たちも関与していこうと考えています。