病院から地域へのながれを止めることはできません。
今後、政策として国が「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」で提示しているように、すべての精神医療は、
▽精神保健医療体系の再構築
▽精神医療の質の向上
▽地域生活支援体制の強化
▽普及啓発の重点実施
を戦略的に行なう必要があります。
なお、国の精神医療に関しては、診療報酬により精神科医療の方向を誘導していて
▽医療観察法入院対象者入院医学管理料
▽精神科救急入院料
▽精神科急性期治療病棟入院料
▽児童、思春期外来精神入院医療管理加算
▽重度アルコール依存症入院医療管理加算
▽認知症治療病棟入院料
▽精神科訪問看護・指導料
に重点配分するとしています。
これらの点数をとるためには、現状をどう変えていくのかしっかりと見極めることが必要です。
さらに、入院基本料には日数に合せた加算があり、14日、30日、90日、180日という日数がその指標となっています。
患者さんの入院期間が180日を超えると加算はありません。また、退院支援についても種々の点数が配置されています。これはひとえに、精神一般であれ、急性期であれ、認知症であれ在位日数を短縮(=病床削減)すべきであり受け皿としての在宅や外来、デイに力を入れなさいという国の方針の表れです。
背景には他の業態の医療と同様に、欧米との比較による過剰病床削減という思いがあります。他の先進国では人口1万に当たりの精神医療に係る病床数が概ね15以下であるのに対し、我が国では30近くで推移している状況があるからです。この状況の解消のために、あらゆる政策をとろうとしています。
発症間もない患者への早期支援や訪問診療や訪問看護などの体制を組み合わせた早期集中治療体制についての整備を行うとともに、国が在院日数を短縮し、また病床を専門化することにより、病床を削減する動きには、注意を怠りなく、迅速な対応を行うことが適当です。
何れにしても、精神病院を運営するマネジメントサイドは、十分な対策をとる必要に迫られています。
(参考:「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」資料