よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

職員が120%の力を発揮する

f:id:itomoji2002:20220310151354j:plain 患者が集まる病院づくりは病院幹部の永遠のテーマです。

 

立地や設備、アメニティ、病院のブランド、ある診療科の強み、医師自ら評判をつくるなどあれば他に大きなマイナスの要素がない限り患者は来院します。病院はどのような方針をもち患者のニーズに応えるのか、自院の資源を勘案して患者の受け入れを決めていきます。

 

医師が不足するために入院治療をしたくてもできない病院もあるし、逆に医師が多くても、患者が集まらない病院もあり病院の運営は難しいものです。

 

ある病院はその凹凸をなくすために懸命に時間とコストをかけて医師の招聘を行い、また消防署や他の病院を廻り、いわゆる告知活動を行うことで成果をあげています。また、サテライトを強化し、在宅医との連携をとりながら入退院管理を行い、地域になくてはならない病院になっているところもあります。

 

病院は現場の医療資源をどれだけうまく活用し、最大の成果をあげるかということが本来のマネジメントのあり方です。職員が最大限の活躍ができるよう現場を鼓舞し、さまざまな価値観をもつ職員を一定の方向に誘導していくことがリーダーの使命です。

 

ここに成果に頓着しない、あるいは改善や改革に着手しようとしない、さらには問題が分かっていながら手をつけない、若しくは手をつけられないトップが多く存在するのも事実です。

 

トップマネジメントの役割として、まずはどの職員も共感する基本的な考え方や制度を提示し、さらにそのうえで、優先順位をつけた課題を解決するために職員のモチベーションを高めながら活動する必要があります。

 

そこから一歩でも外れることがあれば、どこかに不満や不安が蓄積し、放置し続ければ埒があかない状況になることは間違いがありません。さらに追い討ちをかけて例えば人間関係や処遇に耐えられないほどのネガティブな要因があれば、我慢の限界を超え、職員が少しずつ、あるいは崩れを打って退職していく病院がそれです。我慢の範疇にあるとしても職員は自ら持てる力を発揮できない環境に置かれます。

 

トップマネジメントが「社会の良心が集約された病院」の運営を阻害してしまう結果です。 

 

これは医療だけではなく、あらゆる業種でもいえることではありますが、毎日さまざまな病院を訪問し、トップマネジメントの病院運営の手法をみていると、いろいろなことに気が付きますし、考えさせられます。また我々も関与できない領域の事項も数多くあるのを思い知らされます。

 

職員が120%力を発揮できる病院が増加すればするほど、医療の質は向上し、また地域が守られます。

 

このことを心らか認識し、明確なマネジメントを行うとともに、医療の質を構成する

  1. 仕事の仕組みの見直し、
  2. 個人の技術技能向上への取り組み

といった改革に取り組むトップマネジメントが増えることを期待しています。