よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院改革の考え方

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体系的な病院マネジメントの必要性が理解されてきました。

 

それは病院の医師やスタッフを懸命に働かせるためにあるのではありません。病院マネジメントは、

  • 地域のマーケティングを行う、
  • 病院のSWOT分析を行い、どこに進めばよいのかについて強みを伸ばす方法を検討し、
  • 戦略化し、
  • 医師とコミュニケーションを図りながら、
  • 人が人として医療従事者が医療従事者として、心から医療の必要性と自らの使命を感じることができるリーダーシップをとり、
  • 職員全員の力を一定の方向に収斂し、
  • 与えられた社会資源のなかで最大の成果をあげること

などのシステムを意味しています。

 

企画室や事務長が軸となり仕組みを作ったり、プロジェクトをその都度つくり、活動することも有用です。

 

病院としてどのようなマネジメントシステムが必要であるのかを考え、それを具体化していく必要があります。マネジメントシステムは、病院をうまく管理したり、人の思いを具体化する仕組みであり、また、組織の挙げた成果をモニタリングする仕組みです。

 

人は、心のどこかで目標を持ち自己実現したいと願っています。

 

その前に組織に帰属したい、自分が評価されたい、という欲求もあります。マズローです。もちろんマクレガーのXY理論のY理論にいうように「人間は生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」という性善説で仕事をする人ばかりではなく、X理論「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」の性悪説で働く人も多い可能性もあります。

 

でも、私は違うと思います。

 

よほどの原体験があり、どうしても社会に馴染めない人についての議論は別途行うとして、真摯に胸襟を開いて話をすることで、何が仕事の阻害要因なのかを明確にすることや、それをできるだけ解決していくことができれば、組織とともに成果をあげることに積極的に反旗を翻す考えをもつ人は少なくなると考えます。

 

要は、リーダーが本気で価値を生み出そう、良い医療をしようと考えていさえすれば、彼ら変わり、同じ方向に進めます。

 

月並みな話でいえば、過去の環境や教育、体験により人格が形成されている人間が、さらなる経験や体験をすることで自分を変化させることができない筈はないと考えているのです。

 

結局は思いをもって真摯にコミュニケーションをとり、懸命に仕事をする、質の高いものを提供できるよう努力するという一線を外さなければ、皆一緒の方向に進んでいけるのです。

 

組織では、なかなか言えないことも人や組織との衝突もあるでしょう。我々のように外部から組織をみる仕事をしているところからは見えないこともあると思います。しかし、勇気をもって話をすれば相互理解のなかに新しい方向を見出すことは経験上可能だと思います。

 

常に創造し、価値をつくりだそうという意識をもったたくさんの現場のリーダーが育成され、体系的なマネジメントが行われれば、病院改革は必ず成し遂げられると私は確信します。

 

なお、この考えは医療のみならずあらゆる職種のマネジメントにおける基本的な考えです。同様の活動が多くの組織で行われる事を期待しています。