最近、病院の不動産投資信託(リート)が脚光を浴びています。特別目的会社をつくり、投資や借入れ、社債を以て調達を行い信託をかませつつ病院の土地建物を運用することになります。
病院は、対価として資金を得て、次の投資に振り向けたり、また借入の返済を行い事業を継続できるようになります。
ただ、前提としてスタート時点で、家賃を支払うための一定額の営業キャッシュフローがある必要があり、業績の維持が見込めなければなりません。
業績が悪いので、キャッシュを作りたい、といったニーズには応えることができません。
あくまで優良病院か、優病院になる可能性があることが、リートに参加出来る要件です。
こうして考えると、日本の財政が逼迫するなか、社会保障費抑制のため医療制度改革が進捗し、医療環境が悪くなる一方の現状において、良い病院は、更に良い病院になり、良くない病院は益々良くな病院になる構造があります。
では、良くな病院は良くないままで終わるのかといえはそうではないし、良い病院がいつまでも良いままでいれるかといえば、そうでもありません。
環境変化に対応し、その時点のスタッフの力を引き出すことができれば、いかようにも組織は変わることができます(私はそう信じているし、また実際、病院に入りそうした事例を現場で多数見てきています)。
リートでは、その組成や運用にはコンサルタントが不可欠だとしていますが、やはりいくらコンサルタントが頑張っても、限界があります。
改革の正否は当該病院のリーダー次第であることが明らかです。
ブロバティマネジメントや、アセットマネジメント、そして医療コンサルタントは、最後は無力です。
本当に地域医療をなんとかしたい。そのためにリートをうまく活用し、生き延びる。あるいはさらに地域貢献したいという、意志をもったリーダーこそ、リートを利用すべきであり、投資家も安心して、資金を投じることができるのだと思います。
リートの組成を行おうとする人々の役割は、そうした病院トップであるのかどうかを確かめることから始まるのかもしれません。