よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療療養病床のこれから

イメージ 1


医療療養病床の役割として、急性期のあとの患者さんのケアを行うポストアキュートと地域における慢性期の急性増悪さんを受入れるサブアキュートがあります。
とりわけこれからは、地域包括ケア病床ではなく医療療養病床がサブアキュートを受ける主役になる可能性があります。
平均在院日数の設定や、DPC類似病態別医療区分の採用を日慢協では主張していますが、医療療養病床の医療区分によっては在宅での対応が可能になってきていることを考えると、時代のながれとして、医療療養病床の役割を強化していかなければ、生き残りが厳しい時代になってきたということもあります。

一方、現場で日々医療療養病床に入り、実体を垣間見ている立場からいえば、医師の数が不足することや、看護師数不足、慢性期医療に慣れていない看護師が多く存在すること、相談員さんがすべての業務を担えない環境、増患がとても難しい状況から、受け入れられる患者が限定的になってしまう現状があり、なかなか難しい状況であることも事実です。

逆に、住宅での在宅医療のレベルが高くなってきたり、地域における訪問看護の充足している地域においては、在宅での高い成果をあげていることが知られており、病院に依存しない医療が行われていることも事実です。

ということは、サブアキュートにおいて、急性増悪した患者さんに迅速に入院してもらい、安定したら地域で在宅での対応をしてもらおうとういながれができる病院と、できない病院が峻別されてくる可能性があります。前者には高い点数が、そして後者には比較的低い点数が与えられ、前者でなければ残れない医療制度が導入されることになれば、医療療養病床の集約、そして住宅化が行われることになるのでしょう。サブアキュートへの対応ができる医療療養病床は、地域包括ケアシステムのなかで、在宅医療にも進出し、訪問看護ステーションを設置して、地域に根を張りながら、病院の地位を固めていくことになります。もちろん地域連携のなかで関係を造り上げていく部分と独自で展開する領域の比率は病院それぞれであるとしても、自己完結的な活動をする病院は迅速に対応ができるので、結果として地域から訴求されることになり、結局は自己完結的なかたちで活動をするところに分があるのではないかと考えています。

いずれにしても、医師、看護師、コメディカル、そして外と内をつなぐ相談員さんやワーカーさん、そしてプロモーションや地域浸透を行うために活動する病院関係者が協力して、成果をあげられる病院とそうではない病院の差がついてくるのでしょう。誰もが納得できるビジョンと、強いリーダーシップ、そして、医療に強い信念と使命感をもって活動できる職員が数多くいる病院が、崩壊しつつある社会保険制度のなかで、しっかりと残り役割を果たしていくのだと考えています。私たちのクライアントがそうなるように我々もできることをするし、また、多くの医療療養病床が、その方向に進むように頑張っていかれることを期待しています。皆が頑張り、皆が幸せになる医療が行われること、それが私たちの望みです。