よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院経営を継続するために

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30年度の一般会計の歳入予算のうち税収が58兆円、残りは公債の発行で98兆円としています。歳出は、社会保障費や地方交付金、そして文教、公共工事、防衛その他の予算そして公債の償還等でもちろん98兆円です。
 
税収58兆円のうち、社会保障費33兆円と地方交付金16兆円を控除するというまでもなく、残りは9兆円で、国の重要な予算を賄えない状況です。結局、毎年公債発行が積み重なり、公債等残高は1300兆円を優に超えています。誰でも理解できることですが、元官僚から、絶対に返済はできない金額であり、何等かの対応が必要だと聞きました。そんななかで診療報酬改定がありました。医療0.55%のプラス改定です。税金が600億円、そして企業と個人の負担増1600億円といわれています。
 
 医療側はよかったと思います。人が足りず現場が大変ななか、心配していたことにはならなかったからです。ある病院で、理事長と院長が交代し、皆が頑張って稼働率をあげたという病院がありました。診療報酬が影響するのは単価であり、増患がなければ収益を維持できないのですから、めでたしめでたしです。病院運営においては患者が来院すれば成果があがります。入院すれば業績は向上します。しかし、地域によっては人口が減り、働き手が少なくなり、家計の可処分所得が30年前を下回った今、この状況が長く続くことはないと考えることが適当です。
 
 患者が少なくなる、職員が集まらない、患者が来院できないといった状況が増加するからです。今の医療を懸命に行うだけではなく、生産性を向上させるための仕事の見直しや教育を怠らず、強みをつくり、地域に広く貢献するだけではなく、病院から外に出て、新しい機能提供を行うことや、医療に連関する事業を取り込み、また新規事業を開始するなど、懸命な活動をしていく必要です。
 
 現状に満足せず、日本の将来を見通したうえで、今行える改革を行うことができる病院だけが地域にながく残れると考えています。不断の努力が求められる所以です。将来戦略を明確にしたうで、目標を定量化し、業務改善や合理的な仕組みづくり、一人ひとりに光を当てた教育制度づくりを果敢に進めていく必要があります。