よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

これからの時代を生き抜くために

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 組織がこれからを生き抜くためには2つのことを実践しなければなりません。

 
 一つは組織の軸を確立するということです。
 
 病院理念を明らかにして、ヴィジョンを設定し、マーケティングやSWOT分析を行い、戦略を立案したうえで事業計画を立てることがなければ組織は力を糾合できません。
 
 どこに進んでいくのかを常に考え、その方向に向けて組織の舵をとることがリーダーには求められています。組織の方向が明確であり、日々の業務を行う意味を皆が理解していることが必要です。
 
 皆が理解するというためには、方向が具体的な仕事のなかに降りていることが必要です。
 
 例えば、方向は知っているけれども自分の仕事はいつもと変わらない、では仕事のなかに、方向性が降りているとはいえません。
 
 実践のなかで具体的に落とし込まれていて、初めて意味があります。
 
 以前と行うことが変わった、という変化が目に見えなければなりません。
 
 新たに初めたこの業務は、〇〇を達成するためのものだとか、これをするために新しい取り組みをしているし、業務フローも変えた。
 
 また、プロジェクトが始まり、それに参加している、とかの変化がなければ具体的な意識変革を行うことができません。
 
 何よりも、新たな方向が打ち出され、自分の仕事が変化した。そのなかで新しい方向について考え、仕事のやりかを見直してみるといったながれができることが求められているのです。
 
 ヴィジョンや戦略は実践につながり、初めて具体性を帯びます。各職員に役割を与えられるかどうかが、マネジメントの基本であるとすれば、まさに
方向の実践はそのことを意味しています。
 
 また、もう一つは現場の仕事の仕組みをしっかりとつくり、その運用を適切に実施することです。
 
 仕事のやり方やルールを明確にするとともに、それをしっかりと守る。そのための評価教育を行い、教育や適切な人材配置を行うことが重要です。
 
 すべてが順風満帆に進むわけではないので決めたことを守るためには、職員の理解や受容が必要ですし、その都度障害が発生するので、それをクリヤーするための調整が必要です。
 
 といっても20%はついてこれないし、60%の職員には不満が残ります。これは、どの組織でも経験することですが、出来るだけ60%のうちの満足いかない職員の課題解決を行う必要があるでしょう。
 
 なぜ、これができないのか、ということを何度も言うことが実勢にはあるとしても、それを言い続けることが必要です。
 
 言い続けることにより、必ずどこかで言い続けたことが定着し、成果を挙げることができるようになると考えます。
 
 なお、記録を付ける、分析する、結果データを理解する、問題点を発見する、行動計画を立てる、実行する、そして成果を挙げることに執着する必要があります(本人に素直さと意欲がなければ諦めることもあります)。
 
 常に現状をモニタリングし、次にどのように行動するのかを決めたうえで、計画的に行動するという癖をつけることが求められています。
 
 ここにすなわち、いまやるべきことの徹底と、モニタリングを行った結果を業務に反映するということを説明しています。
 
 方向を明確にする⇒実践に織り込む⇒従来の業務の徹底をも行う⇒モニタリングを行い先に結果を業務に反映させること、を怠ることなく実行することで、病院は厳しい時代を生き抜くことができると考えています。
 
 上記はもちろんPDCAサイクルのなかに組み込まれています。どのフェーズでも常に考えて、方向を見出し、その実現のために問題解決行動を行うことが必要です。
 
 簡単に書きましたが、組織運営は本当に難しく、うまくいかないことが多いので凹みます。
 
 コロナの時代を迎え、臥薪嘗胆のイメージもありますが、打って出て行き果敢にと挑戦していくことが必須です(ワクチンが3ヶ月しかもたないと英国の研究機関からの発表が報道されていましたが、結局、ずっと収束しないのではないかという、嫌な予感があります)。
 
 いま、現状維持は後退として思い直し、毅然として前に進んでいきましょう。
 
(2020-07-19)加筆修正