よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

一生懸命やるだけでは満足してもらえない

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 何事についても一生懸命になることは大切です。

 

 利害なく、持てる限りの力を使って物事に対峙することは、仕事をするときの基本的姿勢だからです。

 

 目的を達成するために、決めたことは絶対に行う。そして、組織に所属する限り、自分として、腑に落ちないことであったとしてもそれを理解し、受容れることができるよう考え、行動することが必要です。

 

 もちろん不法行為や不適法なこと、正しくないことについては、これを拒否するだけではなく、排除しなければならないことはいうまでもありません。

 また、どうしても仕事そのものが肌に合わないのであれば、仕事を変えることは本人の自由です。

 但し、この仕事をしようと決めたのであれば、懸命に自らの役割を果たさなければなりません。

 

 とはいっても、成果が挙がるかどうかは別の話です。懸命にやっているけれども成果が挙がらないことはたくさんあるからです。

 

 「一生懸命やっているんですが、成果は挙がらないんです」ということは、社会では受け入れられません。例え一生懸命仕事をしていなくても求められる成果を挙げれば、組織では認められます。

 

 本人の力量によっては、懸命にやってもできない人もいるし、本人は、適当にやっているつもりでも成果が挙がってしまう人もいます。

 もちろん、後者の人が懸命に仕事をすれば更に高い成果を挙げられるのは言うまでもありません。

 

 適当にやっているように見える人は、成果の挙がる方法を自然に身に着けていることが多いように思います。

 

 一般的に、成果を挙げるためには、具体化と計画性、そして成果を挙げるための方法が必要なのです。

 

(1)具体化

 目標を明確にするとともに、それはどのようにすれば達成できるのかを考え、具体的な行動に分解することが必要です。時間や資金の制約を乗り越えて、ベストプラクティス(最高の行動)を見つけることが求められています。

 

(2)計画性

 ものごとは計画がなければ始まりません。上記の具体化は計画の一部です。

 

 何のために、どこで、誰が、何を、いつまでに、どのように、そしていくらで行なっていくのかを決めて、計画表に落とし込みます。計画表があってはじめてすべてが始まります。

 

(3)適切な姿勢や態度、行動

 成果を挙げるためには計画表にしたがった行動を管理する必要があります。経験や知見のない人は、計画表に記載されていることを本当に理解して行動できないことがあります。

 

 自分の仕事の姿勢や態度をあるべきものとすることは言うに及ばず、相手から評価されたり、成果の挙がるよう、どう行動するのかを熟考する必要があります。

 

 なお、組織には日々の具体的な動きについて、指示書を作成したり口頭で指示しながら現場をコントロールする仕組みが必要です。

 

 上記を行うための制度構築を行うとともに、マネジメント能力の高い人を採用することや、リーダー自らが積極的に行動するのかを考え、行動するプロセスを整備することはいうまでもありません。

 

 今、私たちは、見えない不安と闘うために自己変革を開始しなければなりません。ただ一生懸命行動するのではなく、期日内に求める成果が挙がるよう行動していきたいものです。

 

 そのための方法をしっかりと考え行動することが求められています。

目標管理とBSCの違いって何?

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目標管理制度(MBO=Management by Objectives 以下M)は、戦略に基づき毎年提示される経営方針を目標化し、各部署そして各個人に具体的な目標を設定し、目標を達成できるよう、組織をあげて対応する制度をいいます。

 

また、バランスト・スコアカード(BSC=Balanced Scorecard 以下B)は、キャプランとノートンが、財務的指標だけではなく、非財務指標(財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で設定し、それらを組織に展開して、組織が決めた戦略を達成するよう行動させる戦略的経営システムをいいます。

 

両方を数多く実践してみると、BSCの方がフレームワークがしっかりしているので使いやすいというケースと目標設定枠が4つの視点に限定されるので、含めづらい目標があったときに難儀するという経験があります。

 

なお、ここで、バランストとは、財務指標と非財務指標がバランスしているという意味合いがあります。確か記憶では、日本の目標管理を模したという説もあります。

 

簡単に 両者を比較すると次のことが判ります。

 

Ⅰ共通点

(1)組織管理を行う手法であること

 

(2)ビジョンを具体化した戦略を経営方針(目標)化し、組織に落とし込むこと

 

(3)組織全体を巻き込んで行うこと

 

Ⅱ相違点

(1)Mは個人迄目標を組織に落とし込み、個人別に管理することを目指すが、Bにはからずしも個人がターゲットになっていない

 

(2)Mは、組織目標を柔軟に設定できるが、Bは財務と非財務3つの計4つの視点に分類して設定するため、実際に行うと少し不自由なところがある

 

(3)(環境が厳しい時代の)Mは、どちらかというとトップダウンに近い(但し方針決定前には現場状況を把握するため現場の意見が反映され る)が、Bは、指標設定プロセスにおいて具体的行動を職員に任せる感覚がある

 

一時期流行った、ボトムアップのMは目標に統一性がなく、ばらばらで失敗したと理解しています。

 

(4)Mは定性化されたものも含まれているし、定量化された目標指標に論理性が欠けていることが多い。

 

BはKPI(キーパフォーマンスインディケータ=成功の鍵となる指標)を設定することが必須だし、目標から成功要因、そのための行動、そして行動指標であるKPIというように、その決定プロセスが合理的である(KGI→KFS→PD→KPI)。

 

このKPIについては重要なので、どのように設定されるのかは別の記事で明らかにしますね。

 

(5)Mは業績評価として賞与の評価基準となることが多いが、Bはそうした発想が予め整備されていない

 

上記から理解できるように、多少の相違点はありますが、組織は成果をあげるために、病院と部署及び個人の進む方向を一体化する、部署や個人の年間の目標を設定することで、個人への動機喚起を行うことは同じです。

 

業績評価の結果を、教育の拠り所の一つとすることを視野にいれるとすれば、各医療機関は、上記、どちらかの手法でも、また、それらをミックスした管理手法を導入することが有益です。

 

事例を挙げます。

売上=数量×単価ですが、予算実績管理を行うときに、数量の発生する要因、単価の発生する要因を指標化しておくと、後になぜ予算通りにいかなかったのか、予算通りに行ったのかが分析できます。

 

外来診療であれば、新患やリピート率の患者数により数が決まり、来院経路別の分析により、さらに詳細に区分されます。単価は検査や撮影、診療科、与薬の有無により影響を受けます。これらを指標(KPI)として設定し、予算を作っておけば実績との比較が容易になります。目標管理も精度を上げられます。やはり、定量目標の設定が大事だということができます。

 

ただ、課題が解っても解決策が脆弱で、定量目標を設定しても、適切行動を伴わないため、分析は完全だけど結局は成果が挙がらない的な病院が多いですよね。

 

BSCは重要なので、また説明します。

 

先行き不透明な時代、何かを決め、それを達成するために、両者の特徴をうまくつかいながら、良いところをピックアップして(私はBが好きですが…)マネジメントに活用することが望まれます。

 

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リーダーシップの本来の在り方

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 世の中にはリーダーと呼ばれる人がたくさんいます。しかし、リーダーだから、皆がリーダーシップをあるべきかたちで発揮しているかどうかというと、そうではないケースがあります。

 

 以下、リーダーとリーダーシップについて考えます。

 

 (任されるという意味で)権限と責任をもって、決めた目標を達成する役割を担う人をリーダーといいます。

 

 リーダーシップとは、リーダーが目標達成のため、他の人々に対して影響力を行使されるプロセスをいいます。

 

 リーダーシップは、目標達成のために計画や手順を明確にしたうえで、与えられた経営資源を最大活用するように発揮されなければなりません。

 

 リーダーは、リーダーシップを発揮し、他の人々に影響を与えられる人である必要があります。

 

 ここに、リーダーシップは初めからリーダーに帰属しているのではなく、リーダーと他人のやり取りのなかから、帰属されていくものと考えられます。

 

 「私には、地位や職位もあるので、私はリーダーだ」と言う者に、自動的にリーダーシップが帰属するものではありません。

 

 皆がどう思うか、どう感じるか次第である、ということになります。

 

「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」とドラッカーがいっていますが、それは広い意味のリーダ―シップです。

 

 最終的には、この人は尊敬できる、私のリーダーだ。だから彼の指示を聴く、という姿勢があり初めてリーダーシップは発揮されるし、成果があがると私は考えているのです。

 

 リーダーは、肩書や役職があるからリーダーだという誤解を持たず、部下(フォロアー)から受容されてはじめてリーダーとしての役割が成立することを知らなければなりません。

 

 真のリーダーではない者がリーダーシップを発揮しようとしても、他人はいうことを聴きません。

 

 表では従ったように見せるけれどもお腹のなかでは抗う、面従腹背が組織に横行すれば、成果をあげることは困難です。

 

 常に精進し、リーダーとして相応しい人格やその業務における知識や経験(ノウハウ)を身に着け、リーダーの行動により、

(1)接した人々が盛り上がり組織が活性化する、

(2)相対的に仕事ができる、

(3)人間的にも素晴らしい、だからこの人についていく、

といった影響を他人に与えることができるよう研鑽しなければなりません。

 

 リーダーとして本来のリーダーシップを発揮するのは、とても大変であることが判ります。

 

 リーダーシップに関わる、どのような理論を採用するかは別として、コロナとともに過ごす先行き不透明な時代、組織が一体となり、成果を挙げられるリーダーが多数出現することを期待しています。

時間をうまく使うためのコツって何?

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 時間をうまく使うコツは、2つあります。といいますか、たった2つしかありません。

 

 一つは自分が計画的かつ効率的に動くこと、もう一つは自分の周りが自分のために効率的に自分を支援してくれる環境をつくることです。当たり前じゃん、と思った人、そのとおりです。しかし、できているかというとなかなかできていません。

 

 私は、シッカリ分かっているのに、思ったほどできていません(情けないことに…)。

 

まず、計画なく行動してしまったり、自分の生産性(時間当たりの成果)が低ければ、時間をうまく使えません。

 

計画通りに行動するためには、行なうべきことの重要度やそれを行うために要する時間を測定してムリのない計画を立案しなければなりません。

 

そして計画通りに行動できるよう、自分の能力を十分なレベルに引き上げる知識の習得や経験を積むことに貪欲になる必要があります。

 

ちなみに私は計画を立てるのは好きですが、気付くといつもスケジュール通りに進んでいません…。おい!という毎日です。

 

最大限成果をあげられる能力を身につけることに努力を怠ってはなりませんですよね!)。

 

で、実はこの記事を書いて思うのですが、心身の健康が一番大事かもしれませんね。

 

健康がうまく管理できていないと、思いがあっても、またそれをこなす能力があったとしても、先に進めないことは明らかです。

 

なお、健康管理のなかには、生活習慣のコントロールも含まれます。前日に、夕食を食べすぎたり、お酒をたくさん飲んでしまったり、遊び疲れてしまっては、翌日にやるべきことができないですよね。 

 

ストイックになる必要はないですが、何かをしようと思えば、ある程度の克己は必要と思います(で、私は意志が弱いので負けることが多いですが…)。

 

 また、仕事でいえば、仕組みがうまくできていない、他の部署のスタッフや上司、そして部下までもが自分の時間を阻害する、突発的な出来事がよく起る、というのであれば、いくら計画通りに動こうとしてもうまくいく筈はありません。

 

日ごろから業務改善を行い、合理的な仕事をできる環境をつくったり、他部署や上司、部下を「味方につけておく」ことが必要です。

そのことにより自分の仕事が邪魔されることを排除します。

 

また、場合によれば取引先やお付き合いする人全ての人を仲間にすると何をするにも良い結果を生むと思います。

 

とはいうものの、これがまた難しい。人間力を養う、常にウィンウィンの関係をつくることや、相手の立場に立ち仕事や生活をしていくことを心掛けること、そしてギブギブの意識が必要かもしれません。

ズブズブではなくギブギブです。

 

ここで、人間力を養うということは、信念をもち行動することや、心を常に透明にして素直に物事を受容れ、解決できる力をつけることと同義です。

 

 人生はながいようで、とても短く、健康寿命を考えると、せいぜい80年くらいしか思い通りに生きられません。

 

 お正月が80回くれば自由に動ける自分から見捨てられます。

 

 終わりがある。だからこそ、日々の時間を大切に、やりたいこと、やらなければならないことをやり遂げ満足して達成感のある人生を生きられるよう行動しなければなりません。

 

であれば、大した事はできないのですが、悔いのないよう、達成感を求め、一瞬たりとも時間を無駄にはできないですね。

 

常に社会人として、人としてどのような自分や、環境をつくればよいのかを考え行動する必要があります。

 

もちろん、仕事を辞める時期がきたとしても、残された自分の時間をできるだけ有効に使うために同じ考え方で生活することが大切です。

 

仕事以外のやりたいこと、やらなければならないことは、数多くあるからです(疲れ果てれたとき、たまには時の流れに身を任せ、流浪する時間も必要かもしれませんが…)。

 

時間をうまくつかうためのコツをつかみ、悔いのない豊かな人生を手に入れましょう(自分に言い聞かせるためのブログのような気になってきました…)。

 

 

業務改善を定着させるために

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 組織のなかで何かをうまく実行していくためには、導入→定着→機能→進化というプロセスを経なければなりません。「導入」しただけではなく「定着」させることが物事をうまく進めるポイントです。

 

ここで定着とは、どのような意識であるかは別として皆がそのことを認識し取り組みを継続することをいいます。定着すれば、次のステップすなわち「機能」に比較的容易に進みます。

 

まずは定着までもっていくために何をするのかを考えていかなければなりません。

 

業務改善は、文字通り業務の改善を行い、従来よりも、もっとうまく、もっとはやく、もっと合理的に業務を行うことをいいます。改善提案制度は、すべての職員が参加し、組織一体となり創造的活動を行うための道具であるといっても過言ではありません。

 

業務改善は、思い付きで行うのではなく制度として、すなわち体系的、継続的に行うことが重要です。組織に改善提案制度を定着するためには、

 

(1)なぜ改善提案をおこなわなければならないのかについての目的を明確にしたうえで、

 

(2)どのように改善を行うのかの教育を行い、そして

 

(3)改善提案があったときに、しっかりと評価し

 

(4)フィードバックすること

が必須です。

 

このプロセスがなければ、改善提案は制度として定着することはありません。

ただ提案箱を用意して、何か気が付いたことがあれば提案して欲しい。しかし、提案しても、うんともすんとも言わない。なしのつぶてでは二度と誰も提案をすることはないからです。

 

社会保障費が抑制される厳しい医療環境において、自院が地域に残り、良い医療を継続していくためには、より強い組織をつくる必要があります。

 

常に現状を否定し、より上位の質を求める活動を行うことのなかに解があることを職員に伝え、職員の力を引き出すことが必要です。

 

 なお、忘れてはならないのは褒賞です。褒賞を提供することは単なるお金を渡すということではありません。

 

 マズローのいう尊厳の欲求、すなわち職員の、組織から評価されたいという欲求を満たし、次のステージの欲求、自己実現の欲求へ誘導することを意味しています。

 

創造的活動の機会を提供することで、職員一人ひとりのやる気を喚起し活性化します。業務改善提案制度を進化させ続け、組織一体となって改革を行なうことで、地域貢献を行うことが期待されます。

 

 

集合教育よりも大切な、職場内教育

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 病院において、教育というと、どこかの研修に行くとか、セミナーを聞きに行く、資格をとる、と考える向きがあります。

 

 本当にそうでしょうか。教育をどのように行うのかを考えなければなりません。

 

 教育には職場内教育、集合教育、そして自己啓発の3つの柱があります。

 

 職場内教育はいうまでもなく、職場で行われる教育です。

 どのような仕事でも、その組織においてつくられてきた、仕事のうまいやり方やルールがあり、それらを遵守すれば成果をあげることができます。

 

 仕事のナレッジ(知識=ノウハウをも含む)を正しく伝え、深めていくことが職場内教育の役割です。

 

 職場内教育で学びきれないナレッジがあれば、組織内部でそれらに長けている人から学ぶ、あるいは組織外部で学習機会を得ます。

 

 ただ、職場内に教える人がいないなどの事情により、教育における不足事項を補足する意味合いでの職場内での集合教育には意味があります。職場内教育→職場内集合教育→職場内教育→外部集合教育…とレベルを上げていくこともできます。

 

 いずれなしても、集合教育は、組織において知識が不足するとき、あるいは新しいナレッジを収集するために実施する教育と捉えることが必要です。

 

 職場のうまい仕事のやり方の基本は各職場固有に存在するのであり、はじめから職場の外に青い鳥を追い求めることは的外れだということが分かります。

 

 職場内教育で使う道具は、職務基準とマニュアル(患者にカルテがあり、治療を行うのに、職員の課題解決カルテがないのはおかしいと気付き開発された)教育カルテです。

 

 職務基準は職場にあるすべての職務を網羅した表であり、等級や職位に応じて行うべき職務を規定しています。

 

 ある仕事を「支援すればできる」、「独りでできる」、「完全にできる」、「教えることができる」というレベルで本人の仕事のレベルを評価します。

 

 又マニュアルに記載されている手順、留意点、必要な知識などの項目をも実施できるよう、職員一人ひとりの教育カルテに育成課題を記載し、一つ一つ指導を徹底、一定の期間内にすべてできるように仕上げていきます。

 

 例えば、看護部ではプリセプティング、卒後研修、ラダーといった道具によりさらに多角度から教育が行われますが、他の部署においても、まず職場内教育の仕組みを確立し、職場における一人ひとりの職員の技術技能の課題を修正し、技術を向上させることが最優先されなければなりません。

 

 なお、自己啓発は、職場内教育や集合教育で得た知識をさらに深めていくときに目標を決めて自分自身で学習する教育です。組織として何等かのかたちで支援する必要のある領域です。

 

 まずは職場内教育が最も優先し、それを充足するために他の教育を行うながれを忘れないようにしたいものです。

正しい意思決定を行うことの意味

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人は毎日、起きてから、なにかしらの達成感を抱いて布団に入るまで「こうしよう、いや、ああしよう」と、さまざまな意思決定(なんらかの目標を達成するため、いくつかの選択可能な代替的手段の中から最適なものを選ぶこと)をしながら生活をしています。

 

なかには習慣となっている行為もあり、朝、何も考えずに顔を洗い歯を磨き、トイレに行き朝をスタートすることはあります。

 

しかし、何を食べるのかとか、どんな服を着るのかについては、小さな意思決定を行います。そして、自宅を出て歩き、電車に乗り、勤務先に到着して一日のスケジュールを確認し仕事を始めると、意思決定の回数がどんどん増えてきます。

 

処理の手順を間違えたり、報告のタイミングを遅らせることが後に重大なロスになることもあり、大げさに言えば全知全能を以て決定しなければならないことがたくさんあります。

 

ミスをした部下の指導、予想できなかったことの対処、上司への報告、新しい業務への対応、決定会議での発言など、意思決定を繰り返しながら仕事が進みます。

 

ここで本人が管理職であれば、さらに病院の設備投資や予算達成、突発的に発生するリスクへの対応など、的確な決定ができなければ、組織運営を誤る可能性があります。

 

意思決定を行うにあたっての考え方や、方法について、あるべき基準をもたなければならない理由がここにあります。

 

目標の確認、状況把握(情報収集)、代替案列挙、それぞれの代替案の優劣(メリット、デメリット)、意思決定を行った結果、収益やコスト、周囲にどのような影響があるのか推測し、最適な結果(最適解と言います)を得るためにどのように決定を行うのか判断しなければなりません。

 

無目的に、到達点も不明ななか、感情で判断したり、熟考せず何かを決めてしまうことは、個人としても組織人としても、とても危険です。

 

とても難しいことではありますが、人として、組織人として何かを決めるとき「どうすれば正しい意思決定を行うことができるのか」を常に念頭に置いて冷静沈着に行動したいと考えています。でも、出来ていないことが多く、頭が痛いですね…。