よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

変革の時代に生きる

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全ての組織が発展するかどうかは人に依存します。リーダーは言うに及ばす、各部署に人材がいるかどうかで目的が果たせるかどうかが決まるのです。もちろん目立たなくても、決めた役割を果たしている人はすべて大切です。設備産業においても労働集約的産業においても人は重要な経営資源だからです。

 

組織が、ビジョン達成のための戦略を立て、各人が、役割を規律と責任をもって果たし、協調しながら積極的に行動できるかどうか、そのための仕組みをつくれるかが肝になります。

 

しかし、現実にはリーダーが組織をどこに誘導すべきなのかをわからない、社員の間でも議論できていない組織が数多くあります。日々の仕事が慌しく、漠然とどのようなことをしたいと思いがあっても、明確な戦略を行動計画レベルにまで昇華し、これからの組織のため社員の役割を決め、その計画を地道に進めていくことができていないのです。

 

結果、目の前の目標や仕事をこなすだけに懸命な人々の日々が廻っています。「忙しくて、計画的行動に基づく仕組みづくりや評価・教育に割く時間がない」ことが免罪符になります。

 

時代が代わり、今まで以上に組織的運営の巧拙や社員の意識改革が成果に結び付くことに気がつき行動する組織と、そうではない組織の差がつくことは明らかです。

 

勢いのある上場企業のトップが、「今を維持するだけではダメだ。当社のビジョンを基に常に次の時代が望む事業への取り組みを直ちに行っていこう」と話しましたが、一代で1,000億円の売り上げを直前にしたトップが、寸分たりとも現状に満足してはいけないと檄を飛ばす姿に勇気づけられました

 

結局何かが進まないのは人の不作為です。不作為は、自ら進んで積極的な行為をしないことをいいます。何度も何度も話をしても、「何かを自分で成し遂げていこう」という人が少ないことを哀しく思います。私も含めて、何かをしなければならないときに、そのことから逃げては何も変わらないことに気付かなければなりません。

 

人口が減り高齢化が進む日本では、当然に就業人口の減少も進みます。GDPは増加せず税収も増えないなか、社会保障費や所得税、そしていずれは消費税も引き上げられます。可処分所得は30年前を下回っておりデフレの解消は行われず、日本だけが先進国から取り残されています。

 

さらにコロナを克服しつつある海外各国の消費拡大による経済回復で円安が進み輸入品の価格高騰(コストプッシュインフレ)により私たちは益々貧しくなっていきます。

 

企業は高生産性を目指す必要があります。今こそ組織マネジメントを見直し、行うべきことを行える人づくりや組織改革が行われる必要があるのです。

 

世の中はノーカーボンやグリーン、デジタル化による企業成長を進めます。しかし、生産性を高める根底にあるものは組織の積極的な変革活動だけではなく、個人の改善意識や変革行動であることは間違いありません。

 

日本の丁寧な仕事や保守的なリスク回避のための活動が得られるはずの利益を圧縮しているきらいはありますが、そうした日本の仕事の品質を担保しつつ無駄をなくす日々の個人の改善行動があってはじめて規制改革や技術革新による経済成長が議論されなければならないと考えています。

 

一部の混乱を除き、世界の潮流はよりよい文化・文明をつくりあげていこうという方向に進んでいます。私たちも、大切な人生、悔いのない自分をつくりあげるためにも、希望を拠り所に胸を張り、後ろめたいことのない誠実な時間を過ごしていきたいものです。

持続性のある取引の7つの要件

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いま環境問題を語るとき「持続可能性」(sustainability)が大きなテーマになっています。持続可能性は生物的なシステムがその多様性と生産性を期限なく継続できる能力をいい、そのために新しい技術を用いた、カーボンニュートラルなどの人間的な活動を将来にわたって持続できることが期待されています。

 

もともとはシステムやプロセスが持続できることを意味しており、持続可能な発展を目指す経済の分野でも必要な概念ですよね。ということで今回は取引の持続可能性です。

 

社会は個人、組織の相違なく、取引により成立しています。ここで取引とは、「話し合って働きかけを成立させること、合意の上一定条件の元で商製品、サービスの提供を行うこと」をいいます。

 

家庭も組織とすれば、家庭間においても取引が行われています。

「朝ごはん何食べる?」とか、「今日どこに行く?」「子供の進学のことなんだけど」「お小遣い上げてもらえるかな」というのは二者間において取引を行うための投げかけの会話です。

 

ある領域において「提案者や被提案者、売り手と買い手、サービス提供者も受ける側」(参加者)も方向性が同一でなければ取引は成立しないし持続しません。先ほどの朝ごはん何にするも被提案者がごはんいらない、となれば取引は成立しませんよね。

  • タイミング
  • 両者の思い
  • 相互の信頼関係

の三点が必要になります。

 

他にもさまざまな要因がありますが、これらにより取引は成立します。商製品、サービスを対象とする取引もすべて同じです。

 

両者には、タイミングを合わせたうえで、

  • 「こうしてあげたい」「こうしてもらいたい」、
  • 「もっとうまくできるようになりたい」「良いもの(サービスも含む)が欲しい」、

という思いがあるし、

 

相互には、

  • 「提供するものには自信がある・誰にも負けない」「確かに良いものだ」、
  • 「経済合理性がある」「確かに」、
  • 「いかがですか?」「欲しいです」、

といった信頼関係がなければなりません。

 

その他、調達の利便性、身近、親しい、希少性、義理など多様な要因がありますが、「持続可能」というキーワードが入ると、やはり上記の三つが基本となり、取引が行われるのだと考えています。

 

まず、提案者、売り手、サービス提供者(出し手)が、自分のやりたいことをやるために、思いをもち、信念に変え、技術を身に着け(設備を用意し)、商製品・サービスを提供する。そこでは常に被提案者、買い手、サービスを受ける側(受け手)を意識し、誠意をもち、相手の立場に立ち行動することが必要です。

 

これらのなかは、受け手のシーズやニーズから始まるものも当然にあり、出し手は常に他の状況を理解し、取引から得た情報により受け手の期待に応えていく、という意識をもたなければならないのは言うまでもありません。

 

整理すると結論として、

  1. 方向性の一致
  2. 思い(場合により信念)
  3. 誠意ある行動
  4. ニーズに応えられる質
  5. 価格合理性
  6. 相互利益への意識
  7. 取引からの創造

が持続的取引のための要件であるとわかります。

 

なお、「思い」においては受け手に対し、

  1. 羞恥心を与えない
  2. 恐怖心を与えない
  3. 痛みを与えない
  4. 納得してもらう
  5. 不便を与えない
  6. 不快な思いを与えない
  7. 不利益を与えない

という7つの切り口が必要です。この7つは我々がコンサルチングにおいて設定している、(組織内取引を含む)商製品サービスの質を担保する留意事項ではありますが、ここで議論している取引の最低ラインでもあります。

 

逆にいえば、出し手は、取引を行うことにより受け手に対し、

  1. 自尊心をもってもらう
  2. 安心感をもってもらう
  3. 心地よさを感じてもらう
  4. 誇りをもってもらう
  5. 便利を提供する
  6. 良い気分になってもらう
  7. 利益を提供する

ことができるよう、行動しなければ取引を持続できない、という結論です。

 

もちろん、結果として受け手にはもちろん、組織であれば出し手の一人ひとりにも

  • 「なんて幸せなんだろう」
  • 「この取引ができてよかった」
  • 「やればできるね」
  • 「この仕事をしていて本当によかった」

などと感動してもらう、感謝してもらうことが理想です。

 

これら一つひとつのアイテムの奥は深く、ここで詳細な説明は割愛しますが、ものごとの重要な行動規範です。当たり前のことのように思えますができていないことが多くあります。

 

ところで、いま衆院選真っ盛りです。政府は成長と分配をスローガンとして、さまざまな(とりわけデジタルやグリーン分野に焦点を当て)改革による成長を促すと表明しています。

 

日本が失われた30年の呪縛から脱却するために、日々の生活や社会活動においてすべての個人や組織がここでいう7つの思いをもち信念に変え、人としての喜びを取り戻し取引の持続性を担保する行動をとれば、国民の生活はあらゆる面で豊かになり、日本は大きく発展すると私は考えます。

 

まずは原点に戻り、生物としての人間が心を失わず生き残り続けられるよう、我々一人ひとりの意識や行動改革による取引の見直しを行うことが、疲弊した日本再生の切り口の一つだと理解しているからです。

 

これらの活動が点から線にそして面展開できる日に思いを馳せ、変革可能性の高い自分の行動を見直すところから始めてみたいと思っています。

人事考課制度の本当の意味

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さまざまな組織からの依頼で人事考課制度導入を行うケースが増加してきています。以下は最近の医療機関のレクチャーで使った資料です。

 

「評価は賞与の評価と人事考課に区分できます。前者は業績評価であり、後者は情意考課、能力考課、業績考課、日常活動、勤怠管理をいいます。これらは本来、処遇のために行うべきものではありますが、同時に教育の基礎でもあります。

 

とりわけ教育の基礎としての評価を導入することで、今後体系整備を行っていくことになります。なお、何れは処遇への反映を行わなければ、教育に対する動機も喚起されないことは明らかですし、それ以前にモチベーションを下げる人もでてくることが経験的に理解されています。

 

賞与や昇給昇格昇進にどのように評価を反映させるのかについてのビジョンをもつことも視野にいれておく必要があります。

 

別紙に示したものが評価制度及び考課制度の体系です。今後、整備しなければならない評価制度及び人事考課制度にはどのようなものがあるのか、また、それらはどのようなものであるのかについて議論する必要があります。

 

目標管理制度の評価をどのように行い、部署と個人の業績をどのように教育、そして賞与に反映するのかについての議論を行う必要があります。賞与総額のどの割合を変動させるのか、結果として総額に対しどれだけの差をつけていくのかといったことについても、段階的にこれを導入することなどを検討し、スケジュールを立案し、それらにしたがった対応をしていく必要があります。

 

人事考課制度には、以下の種類があります。

  1. 情意考課
  2. 能力考課
  3. 業績考課
  4. 日常活動
  5. 勤怠管理

 

仕事に対する姿勢や態度、身だしなみや責任感や協調性、部下をもっているレベルであれば教育、患部であれば経営に対する意見具申などが情意考課の対象となります。能力考課は職務基準、そしてその背景にあるマニュアル等により技術技能を考課するものです。この場合には、発揮能力を以てこれを考課することになります。業績考課は年間を通しての賞与2回分の成果を評価します。賞与支給時には業績評価といいますが、人事考課においては業績考課となります。さらに委員会活動や外部講師、学会での発表、論文投稿といったものを基礎として、日常における活動をすべて加点で考課します。プラス要素として捉えており、積極的な成果を期待するものです。

 

勤怠管理は、遅刻や早退、公休や有休を超えた休暇などについての評価を行います。上記5つをもって人事考課とし、職位のカテゴリーにより割合を異なるかたちで評価することになります。

 

まずは賞与の評価制度を確立しなければなりません。

  1. 目標管理制度における「評価」の質的向上
  2. そのための評価者訓練の継続的実施
  3. 発見事項に対する恒常的な教育体制の整備
  4. 賞与のどれほどの割合を評価の対象とするのかの決定(例:80%は固定、20%について差をつける)
  5. 目標管理制度による評価を活用した賞与支給

といった活動が必要です。

 

次に、人事考課ですが、少なくとも、

  1. 職務基準の作成
  2. 職務基準の説明のためのマニュアル作成
  3. 能力考課
  4. 教育制度への展開
  5. 各考課の内容検討及び構築
  6. 人事考課における各考課の比率確定
  7. 職能等級制度の導入
  8. 資格要件決定
  9. モデル賃金と資格要件とのリンケージ
  10. 考課者訓練の実施
  11. 人事考課の実施(テストラン)
  12. 処遇への反映

 といったながれをつくりあげることが必要です。

 

上記をいつまでにどのように実行するのかを議論する必要があります。明確な目標を持ちスケジュール立案を行い、上記導入のおおよその期日を決定しなければ、なかなかうまく導入が進みません。早急に最終期日を決定のうえ、どのようにプロセスでのスケジュールを作成するのかについて検討することが必要です。

 

なお、それぞれのプロセスにおいて必要な資料を提供しますので、院内でWG(ワーキンググループ)を組成するなどの活動が必要となります。早急に全体像を把握し、どのように作業を行っていくのかについてのスケジュール管理を行わなければなりません。

 

ということですが、間違いなくいえることは、人は評価されて動くということです。無関心のなかでは人は動かないし成長できない。逆に積極的に動いている人が、無関心という環境のなかでやる気を削がれているということに気が付く必要があります。

 

無関心は、やる気のない人の格好の餌食であり、やる気のある人の墓場のようなものです。人を多面的に評価し、成長機会を提供することこそが組織の役割であり上司の機能だということを忘れてはなりません。そうであるとすれば、組織的に評価の多角度的な実施を行う必要があり、そのための人事考課であり賞与の評価だ、と理解することが適当です。

 

多面的な評価を行える組織が、多面的に人を育成し、成果をあげる組織であると私は思っています。とりわけ病院は労働集約的知的産業であり、であるとすれば人が医療の質を左右することは明らかです。医療崩壊が叫ばれる大変な時代であるからこそ、人材育成を図らなければなりません。

 

厳しい医療環境を迎えて、まずトップマネジメントが考え実践しなければならないことは、こうした多様な評価制度をつくり課題を発見し、教育につなげていくことであることを強く認識する必要があります。」

教育と学習というもの

 

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社員一人ひとりは縁があり組織で働きます。

 

言うまでもなく事業の盛衰は人の力量に依存しているので、組織が目的を達成し発展するためには、彼らを含めた組織構成員全員が成長することが期待されています。なので、他社と比較し自社の社員は、どこの会社や施設よりも高い質をもたなければならないのは自明の理です。

 

比較優位性を持つためには、魅力ある事業モデルや適切な採用を前提とした、一人ひとりに光を当てる教育が必要です。また、文化風土による影響やリーダーが範を示すなかで自然に実施される教育だけではなく、確実なOne on oneでの教育のために自社の基準と比較した評価による教育がなければなりません。

 

評価は公平公正な処遇以前に、平等な教育の着眼を明確にするために行うことを理解しなければならないのです。

 

多様な視点からのチェックを行い、教育の課題を発見することが評価の基本です。評価は自社における採用から配置、日々の業務の振り返りを行う機会でもありますが、社員も自ら進んで学ぶ姿勢をもたなければ成立しない事項であることは間違いありません。いくら環境が整っても社員の能動的な取り組みがなければ成果は挙がらないからです。

 

社員の側からみて仕事のなかで「学ぶ」ということは次の意味を持ちます。

 

  1. 人生は学びの連続。年齢は無関係
  2. 積極的に学ばない人の成長は遅い
  3. 厳しい環境を迎え、仕事に対して前向きに学ばず成長できない者は、成長する者とさまざまな面で大きく差が付く
  4. 会社の進む方向を受け入れ、組織のなかで協力して成果を挙げ続ける社員が必要とされることを認識する
  5. 評価により処遇に差がでることを受け入れる
  6. 主体的に学べない責任は自分が負う
  7. 組織で「やりたいこと」(好きで得意な、かつ客観的価値のあること)を見つけ、組織目標と擦り合わせるとともに、そのために何を学び実践すればよいのかを明らかにする
  8. その行動は自分の人生を変える

 

会社は社員の学習意欲の醸成や維持拡大を支援しなければならないし、社員はそれを活用しなければならないことが分かります。組織は学ぶ姿勢をもつ社員を大切に、平等に育成していかなければ、ここから先成長することができないと知らなければなりません。

 

会社は一人ひとりの社員に適切な教育を行うため、「こうなって欲しい、こうあるべき」という到達点を設定し具体化します。そのうえで現状を多面的に評価し、社員毎に「うまくいかなかったこと」を見つけ到達点と現状にどれだけ差があるのか乖離を把握します。これが評価です。差を埋めるために教育や学習を行うことについて会社も社員も容易に理解できます。

 

多面的評価は、縦の目標、横の目標により行われます。前者は毎年変わりうる組織の業績目標を達成するための目標管理、後者はある程度安定した情意目標、能力目標をいいます。

 

業績目標は例えばBSCにより設定します。BSC(Balanced Scorecard=バランストスコアカード)では財務の目標、非財務の目標(業務フローの視点、顧客の視点、学習と成長の視点)が到達点になり、KPIの設定及びその管理が行われます。

 

また、情意目標は、規律、協調、積極性、責任性が目標として、能力目標は職務基準やマニュアルにより到達されるべき基準として設定されます。

 

組織がうまく機能するために、どのような課題があるのかを常に把握し、問題提起することで上記の多面的目標を修正し、より現実的なものとして進化させていくことがリーダーの重要な役割の一つとなります。

 

組織のこうなって欲しいという要求を目標として設定し、そこに到達する社員をできるだけ多くつくるために、組織も社員も教育や学ぶことの意味や場を共有し、仕組みをつくり、環境をつくり、リーダーシップを発揮しなければならない時代であることを、常識としていくことが求められています。

 

なお、ずいぶん前に著名な経営者から「会社は学校ではない。遊園地でもない。自ら求めて成長するための戦場である」という趣旨の話を聞きました。イメージとして教育<学習の関係があり、リーダーも含めた組織構成員の覚悟が必要なことは言うまでもありません。

4つの成果を挙げる視点

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組織における成果とは目的に至るための目標を達成し続けることをいいます。目標のない組織はありません。目標はある方向に向けて頑張るということだけではなく、計画的に設定され、達成への進捗が管理されていることが必要です。さらに目標達成には、そのための環境が整備されていなければなりません。

環境は、

  1. 仕事の仕組み、
  2. 従業員の技術技能向上、
  3. 従業員のやる気

から構成されます。

 

今回は、「仕事の仕組み」、「従業員の技術技能向上」、「やる気」について考えます。

 

仕事の仕組みには戦略構築、制度、階層、職務分掌や規程、ルール、業務フロー、業務改善等があります。組織には、業種毎、組織としての仕事のやり方があり、不文律も含め決まりがあります。そこで目標達成のためのルーチンをこなすとともに、随時発生する課題を明確にして、解決のための活動が行われ、組織は目標を達成し成果を挙げていきます。

 

さらに、それぞれの職種に求められる技術技能を高めるためには、教育、リーダーシップ、職務基準、マニュアル、併せて行われる業務改善が有効です。

 

ここでいくらスキルの高いメンバーが多くてもベクトルが違ったり、この職場では自分の力を発揮しようと思わなければ成果は挙がらないため、彼らの「やる気」を引き出すフローが必要になります。

 

やる気になってもらうためにはまずは、理念、ビジョン、戦略、中期経営計画、事業計画、目標管理、文化・風土、コミュニケーション、評価、役割付与、コミットメント(約束)、達成支援の適切な管理が求められます。

 

組織運営に筋を通すためには、仕事の楽しさだけではなく、彼らが自律的に決めたことを満足を得つつ成し遂げ達成感を得ることが必要だからです。

「日常からの適切な評価、one on oneミーティンングにより本人の期待を引き出し、それらを斟酌したうえでの適性に合致した役割付与、コミットメント(約束)、達成支援」がとりわけ重要です(コミットメントサイクルと呼びます)。

 

メンバーへ方向を示し、体制を整備したうえで、コミットメントメントサイクルの活用により、一人ひとりの力を引き出し達成感を得てもらえるのかを考え行動することがマネジメントの要諦です。

 

ここで大切なのはリーダーシップです。

 

リーダーのあり方について、経営理論はいくつかの変遷を経て、コンティンジェンシー(contingency=偶然性、偶発性)理論にたどり着いています。「いついかなる状況でも高い成果を発揮する唯一最善なリーダーシップは存在せず、外部環境の変化に応じて望ましいリーダーシップのスタイルも変化すべきだ」という考え方です。リーダーシップは資質の要素が大きいといわれていましたが、状況に応じて役割を変えるべきものだという考え方に変わってきたのです。

 

しかし、私はそう思いません。

 

どのような状況であってもリーダーの資質には特性があり、部下から支持されて初めて物事は進むとすれば、やはり資質や行動様式に一定のベースが必要だと考えているのです。もちろん、状況により判断を変え、行動や指示の出し方を変えることはあるとしても、組織の在り方を長期のスパンでみれば、魅力的でネットワークをもち尊敬できるリーダーの存在が目標達成に向けた対応への原則だ、との意見に賛成しています。

 

  • 思いや使命感がある(悔いなく生きるために最後までやり切るという強い思いがある)
  • 技術がある(ある分野の業務に精通している)
  • 目的が受容できる(組織目的を自分のこととして捉えることができる)
  • 目標達成意欲がある(目標を達成しないと気持ちが悪い)
  • 計画性がある(計画を立てて行動できる)
  • 行動力がある(決めたことは必ず実行する)
  • コミュニケーション力がある(聞く力、伝える力)
  • 状況把握能力がある(情報収集能力が高い)
  • 包容力がある(思いやりをもって他に接することができるか)
  • 責任感がある(責任を果たす気持ちがなければ何事も成就せず)

といった特性・資質が必要だと考えます。

 

そのうえで、リーダーは

  • 組織改革を自分の問題として捉える
  • やりたいことを仕事を通じて達成していくことが人生であると考えれば、設定された目標、設定した目標をクリヤーすることはやりがいがある
  • 苦しいことを乗り越えることで、やりたいことができれば後に達成感を得ることを知っている
  • 思い、信念、技術、人間力、コミュニケーション力を鍛える

といった状況を生み出す必要があります。

 

  • どういう自分になりたいのか
  • 不足するところは何か
  • それを解消するためには何をすればよいのか
  • いつまでに解消するのか
  • 具体的な方法は何か

を理解し、

  • 目の前にある問題を整理する
  • 優先順位をつける
  • 解決のための手順を考える
  • 誰と一緒にそれを行うかを決める
  • 相手に受容してもらう
  • 範を示す(リーダーシップをとる)
  • 期日を決める
  • できるまで行動する

という姿勢をもち活動しなければなりません。

 

組織目標を達成し成果を挙げるためには、

  1. 仕事の仕組み、
  2. 従業員の技術技能向上、
  3. 従業員のやる気、そして
  4. 資質ある者による柔軟なリーダーシップ

の4つの視点が必要であるという結論です。

 

ありきたりの話ではありますが、大事なので振り返りのために整理してみました。なんとなくマネジメントが行われるだけでも、外部環境や組織に勢いがあれば事業は伸びます。

 

しかし、事業の本質は的確な戦略、スキル、その実効性を担保する従業員のやる気であることは明白です。時代を見据え自社の在り方を考え、プロフェッションとして、またリーダーとしてどう生きればよいのか、常に考え行動する組織や人が成果を挙げています。どこまで作り上げるのかは別としてマネジメントを蔑ろにせず、できることから整備していきたいものです

軽んじてはいけないマニュアルの効用

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先日、セミナーを行いました。マニュアルがいかに大切であるのかについての説明を行いましたが、以下のチェックシートがあることを思いだしました。

 

チェックシートを使い、マニュアルの作成及び運営の状況について自社の現状を調査してみる必要があります。

1マニュアル委員会など業務を常にウォッチする組織はありますか
2それらは、目的をもって運営されていますか
3マニュアルが必要であることについて全社のコンセンサスはありますか
4マニュアルは、(暗黙知→形式知、個人知→組織知を示す)ナレッジマネジメントのツールであることを理解していますか
5マニュアルを利用して仕事をするという教育が行われていますか
6マニュアルを利用して仕事をすることが文化となっていますか
7現在マニュアルの整備率はどの程度ですか
8各部署のマニュアル件数を把握していますか
9それは何件ですか
10マニュアルの対象となる項目がすべて一覧表になっていますか
11いつまでにどのマニュアルを作成するといったことについて計画がありますか
12計画が円滑に達成できるよう定期的な評価が行われていますか
13マニュアルのフォームは統一されていますか
14複数部署をまたがる業務のマニュアルは、複数部署で作成しているか
15各部署のマニュアル関連する業務について首尾一貫性をもって作成されていますか
16マニュアルを作成するものの権限は明確ですか
17マニュアルは一定の承認をうけてから現場で利用されていますか
18マニュアルの改訂が頻繁に実施されていますか
19マニュアルの改訂のための改善提案制度など整備されていますか
20マニュアル改定の履歴は管理していますか
21改定されたマニュアルは直ちに開示されるようになっていますか
22マニュアルは手順、留意点、必要な知識能力、そして接遇欄に区分されていますか
23それらは、横に並べられて作成されていますか
24手順は簡潔に作成されていますか
25留意点は、手順を補足するかたちで、すべての手順について書かれていますか
26留意点には、うまいやり方、コツといったものが書かれていますか
27留意点には、失敗したことについても記述がありますか
28留意点には、インシデントが起こったことについて特に記述がありますか
29留意点には、アクシデントが起こったことについて特に記述がありますか
30必要な知識・能力には、関連する知識を記載していますか
31必要な知識・能力には、関連する能力を記載していますか
32必要な知識・能力には、関連するマニュアルNOが記載されていますか
33接遇欄には本来の接遇が記載されていますか
34マニュアルから職務基準を作成していますか
35個人のスキルを職務基準によって評価していますか
36職務基準はすべてマニュアル等によってすべて説明できるようになっていますか
37職場内教育は職務基準によって行われていますか
38職務基準は常に改定されていますか
39マニュアルによって業務改革を行う体制になっていますか
40クリティカルパスの各項目はマニュアルによって説明されていますか
41リスクマネジメントの対策はマニュアルに反映されていますか

これらをチェックして、不足するところがあれば修正していくことが求められています。マニュアルの作成・運用により多くの成果を得られます。マニュアルは奥が深いですね。

医療を護り、国民が健康で豊な生活を送るために

 
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結局日本の医療は変われず、過去と同じ状況が続いています。東アジアやASEANで行われている医療にも各国の事情により多くの課題がありますが、日本の仕組みが微動だにしないことに危機感を感じます。
 
超高齢化が進みGDPが伸びず、経済成長が望めない日本において、今後、社会保障費の抑制は行政の願いとしても、現実的に国民の負担をこれ以上極端に増やすわけにもいかず(とはいっても毎年の負担は増えており)、八方ふさがりの様相を呈しています。
 
国民の行動を変えるだけでは、働き手も足りない、老朽化した病院の建替え資金もないといった課題を解決することはできません。人口が減少するなかで経済を回し医療を護る抜本的な制度改革も望まれます。withコロナの新しい時代を迎えた今、再度2014年の記事を読み直し、これからの日本の医療を考える一助にしたいと思います。
 
「クアラルンプールでも、マニラ(写真はマニラ、マカティのセントルーカス病院)でも、ジャカルタでもファンドと病院管理会社が共同で経営をしている病院を数多く見ました。
 
保険もプライベートのものや政府の職員向けのものがあったり、社会保険制度があったりと多様ななかでの医療が行われています。
 
マニラで見たように、24時間体制で普通にいつでも病院が開いているという運営や、プライベート病院では医師が病院の正職員ではなく、デパートなように場所を借り医師が診療をしていることも驚きではありますが、バンコクや香港でも同じようなことがあったので、これが当たり前なのだと理解しています。
 
病院が医師を直接雇用する日本と同じシステムは北京や上海、香港、ホーチミンやハノイ、さらに他国の公的病院に見られました。

ただ、これらの国々では徐々にプライベート病院が増加し、良い医師を集め、スタッフを教育し、きめの細かい医療を行うにいたり、彼らが国民から高い評価を得てきていることは間違いありません。
 
日本は財政問題から国民皆保険制度をいまの形では維持できなくなるとして、海外のような多様性をもった医療システムへの転換を図るのだろうと考えています。
 
日本にも株式会社の病院は幾つかありますが、国交省が意図するヘルスケアリートの仕組みも徐々に出来上がり、病院をサポートする時期もくるでしょうし、同時期に本格的な病院管理会社や私募ファンドが運営する病院数が増加していくことも予想されています。
 
誤解している人が多くいると思いますが、海外では、プライベート病院を多数展開する営利企業の医療の質が低いという一元的な認識はありません。
 
海外のプライベート病院で受診した経験のある人であれば、逆にプライベート病院のクオリティの高さに目を見張ることでしょう。
 
それらは、競争原理のなかで質の向上にしのぎを削っており、とどまるところを知らない多くの著名企業があります。営利と非営利の違いは、配当をするかしないかの違いで、非営利は利益を出しては行けない、ということではありません。
 
それどころか、患者の評価の証である利益が出なければ、日本の民間病院は経営を継続できないし、公的病院ですら税収が減れば資金が枯渇することは明らかです。
 
勿論、私は高い診療報酬をテーマにしているのではありません。問題は低所得者や弱者の救済や保護の仕組みです。日本のように一部間違った支援を行うのではなく、海外では、そうした国民に対し様々な支援の方法を以て対応しています。
 
香港でも優秀な医師が、篤志家により資金を提供されている公的病院で、一般市民や弱者に献身的に高い質の医療を行っていますし、マニラでも、質の高い公的病院が、貧しい国民に比較的優良な医療を提供しています。
 
私が見たどの国でも、それなりの支援の仕組みがしっかりと構築され、日本のように「ちぐはぐしたこと」にはなっていません。
 
ここにすなわち、非営利や営利といった病院形態や建前や本音、自由診療や混合診療が問題ではなく、全ての国民がもつ様々な価値観や望む形で医療を受診できる仕組みがあるかどうかが問題になるのだと、アジアの医療システムを見て考えます。
 
各国はそれぞれ様々な問題を抱えていることは事実ですが、日本においては国民皆保険制度を護るためにも、多様な価値を受け入れ、新しい時代の医療構造を造り上げていく必要があると考えています。
 
公的病院の、民間の経営方式を取り入れるための様々な取り組みも、実は前述した流れの一部であると私は解釈しています。
 
理事長の資格、配当問題、海外の医療機関支援の為の投資活動、持ち株会社などは、医療制度のあり方を模索するからこその改定であり、次の時代の医療を護るための布石です。
 
医療や人の生き方は、センシティブな問題であり、この場で全ての課題を明らかにすることは出来ません。しかし、海外で働く多くの医師が口を揃えて言うように、日本人(我々国民全員)は井の中の蛙にならず、これからの新しい日本を俯瞰して、最も望ましい医療介護のあり方、そして死生感や生き方について、良心を以て真剣に考える時が来ていると私は思います。」