よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

パーパスを軸とした組織運営6つの視点

なぜ私たちは組織マネジメントを学ばなければならないのか、その意味を考えてみました。

 

経営学、経済学は組織マネジメントに大きく影響を与えます。なので多くのトップマネジメントやミドルマネジメント、場合によればスタッフが組織マネジメントを学習してきました。

 

さまざまなスタディがあり、どんな組織がどのようなマネジメントを行い成果を挙げているのか、成功しているのかを学者や実業家がこぞって調査し、理論やフレームワークをつくってきたのです。しかし、ある時点で優れたマネジメントを行っているとして紹介された企業が、しばらくすると業績を落としたり、業界から消えていることも稀ではありません。これは何を意味しているのでしょうか。

 

極端な言い方ですが、企業は利益や(キャッシュフローマネジメントができていることを前提として)営業キャッシュフローを出していれば存続できます。「収益が上がり続ける」とか、「規模が拡大」していればよりよい状況ですが、キャッシュフローが回っていれば最低限うまく運営できているといえるのです。

 

結局、業績がよいか維持できているかどうかが企業評価になります。そのためには企業の商製品サービスについて価格や品質、利便性やブランド、社会性などさまざまな訴求ポイントへの優位性をもつ戦略やシステムが、時代や環境に合ったかたちで確立されていなければなりませんが、ある意味、業績さえよければどのようなマネジメントをしても構わないという結論です。

 

しかし持続性はどうなのかという評価になり、本当に長く続けられるのかとなると、ただ利益が出ていれば良いという訳ではありません。事業には価格や品質、利便性やブランド、社会性などさまざまな訴求ポイントはあるとしても、組織を維持拡大するためには一定の顧客数が必要です。

 

ある時点まで優れた戦略があり、システムが確立していても時代が変わり競合が生まれ、競争に勝てない可能性が高いとき、自社の経営資源をうまく使えなければ必要とされる顧客数を維持し続ける、つまり業績を維持することは困難となります。

 

いくら優れたマネジメントを行い人材を揃えたとして研究対象となった企業でも、結局は戦略やシステムが総合的にみて時代遅れや環境に合致しなければ利益や営業キャッシュフローを確保できず存続できません。柔軟に環境適合し、残り、変化し続けていくためには社員の質が問われます。マネジメントサイドに優秀なリーダーがいるだけではなく、各ステージにある社員が自立し能動的に最適行動を行えることが、企業が提供する商製品サービスへの訴求力を担保し事業維持拡大に貢献する重要なファクターとなるからです。

 

人材がマネジメントサイドにいれば戦略やシステムが環境適合し続け、事業は維持拡大するのは間違いありません。しかし成熟した大企業で人材が豊富ではないかぎり、常に企業を成功に導く各階層のリーダーが生まれ続ける組織を求めるのは難しいことです。

 

自社の戦略やシステムを変化させ続けられないといったマネジメントに問題があるときに、現場から優れた人材をピックアップし、企業の持続性を担保し続けられる企業は稀だと考えているのです。業種や規模にもよりますがマネジメントサイドの意識が変わり続ける、人材も豊富だ、という企業は日本に数千社あるかどうかではないでしょうか。

 

当たり前ではありますが、一時期うまくいっていた企業が凋落するのは、初期の戦略やシステムが環境適合できない、それを変えるトップや現場に人材がいなかった(場合によれば外部からも調達できなかった)ことの帰結です。

 

企業が継続企業でいるためには、マネジメントを理解したトップマナジメントが、自社の使命を明確にした上で、戦略やシステムを常に最適なものとする活動を行う。そして経営資源をうまく活用できる人材育成を行うための仕組みづくりのためのマネジメントに注力することが必要です。短期中期的には外部からの登用も意識したマネジメントを行うとしても、長期では内部から人材を登用するながれが見えてきます。

 

もちろん業種により仕組みで動きやすい事業と、仕組みはあるものの現場スタッフの力量に依存する割合が比較的大きな事業がありますが、事業維持拡大のためには、顧客や社員に対し企業の社会的使命やパーパスを明らかにするとともに、その実現のための戦略やシステムの確立とブラッシュアップを怠らない、また自立した社員を育成するためのマネジメントにより経営資源の最適化を図ることが求められています。

                  

整理すると、

  1. パーパス
  2. 戦略
  3. システム
  4. 経営資源の最適化
  5. 組織文化
  6. フリーキャッシュフロー

が取り組むべきポイントとわかります。

 

まず、パーパスです。ミッションやビジョン、バリューは内部のスタッフの意識や行動の統一性を喚起するコンセプトでしたが、パーパスは「組織を外からみつめ事業が人々の生活にもたらすものすべて」をいいます。事業の輪郭や進むべき方向を具体化したパーパスを示すことで、自社が何をすべきかを明らかにします。そのことで社内には仕事の意味(やりがい)を提供し、そして外には自社のファンづくりを行います。

 

パーパスにより打ち出された戦略やその実現のためにつくられた仕組みは、経営資源の最適化ミッションから常に見直され変化し、時々に合致した最適な比較優位にある商製品サービスを提供し続けることができます。パーパスが明確で、自社が提供する商製品サービスに一貫性があれば、何をしたいのかが伝わり、顧客が例え明確なパーパスを知らなくても顧客は自社を理解してくれます。ただ、パーパスを提示したのち、コンセプトにそぐわないマネジメントを行えば、顧客や社員は離反するので留意が必要です。顧客にとり優位性があっても社員に報いない場合も同様です。

 

したがって、パーパスの達成のため経営資源とりわけ、時間、情報、ヒトに着目した制度や仕組み(システム)づくりへの取組みを行います。

 

それは同時にリーダーシップはどうあるべきか、そこからつくり出される組織運営に適した組織文化はどうあるべきか、どのような制度や業務プロセスがあればよいのかに着目したマネジメントが行われるベースになることが理解できます。

 

最終的には、他の利害関係者を害さないように経常利益や営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを増減)を期待値まで上げなければならないことは間違いありません。

 

その理解をしたうえで、さまざまな理論やフレームワークを使い、マネジメント全体をコントロールすることが必要、と整理できました。今回のテーマは重要なので今後掘り下げていきたいと思います。

 

さて、私たちもいままで

  • ASCS(行動誘導)
  • ISM(自立度評価)
  • ISME(成果獲得)
  • CRISK(タイムマネジメント)
  • コミットメントシステム(動機の喚起)
  • マーシーレベル(自己評価)

のフレームワークや、

  • ガバナンス(目標達成)
  • ナレッジマネジメント(知識継承)
  • コンフリクトマネジメント(衝突解消)
  • 改善提案(体系化)
  • 部門別損益計算(課題発見)
  • 患者疾病別原価計算(ABC)
  • 業務マニュアル(可視化)
  • 教育カルテ(OJT)
  • リスクマネジメント(効果測定)
  • 上司評価(360°評価)

のツール化、

  • CIM(意思決定手法)
  • サクセスキューブ(成功要因)
  • CAN(個人評価基準)
  • SEO(思考基準)

のコンセプトをつくってきました。

 

今回のタイトルに資することが出来るよう、いままでの成果を再度見直しブラッシュアップして、次のステップに進みたいと考えています。

香港での蹉跌とBSC

コンサルティング先のアパレル会社の社長と上海の企画会社を訪問したのち、衣服の仕入れ先の一つである香港の九龍(カオルーン)の 深水埗(シャムスイポー)を訪れました。東京でいえば御徒町のような小売店が無数に並んでいました。多くのトラックや台車が行き来し黒いビニール袋に入った山積みの衣類が頻繁に運びこまれていて、そのいくつかの店から社長は衣類を買い付けていました。

 

独特の臭いがする街は埃だらけで雑然としていてこれこそアジアという趣でしたが、行き交う人々に活気がありこちらまで元気になった記憶があります。それが初めての英国領の香港でした。

 

その後、当時懇意にしていたVCからの出向で香港の新規ビジネスへの投資を行っていたMさんのアテンドで、香港島(アイランド)の当時JUSCO(現AEON)のスーパーがあり日本人も多く住む住宅街かつオフィス街の太古(タイクー)に行きました。彼の仕事ぶりも魅力的であり彼と話していると日本では感じたことのない高揚感がありました。

 

そうこうしている内に香港が大好きになり当時、MTRの深水埗の隣の駅、問屋街の茘枝角(ライチーコック)にオフィスがあった日本人の香港進出支援の仕事をしている、Iさんのサポートを受けビジネスを行うため香港に行き始めました。Iさんのオフィスは、いまは彌敦道(ネイザンロード)から九龍公園を曲がり、商店街を左に見ながらしばらく行った尖沙咀(チムサーチョイ)廣東道にありますが、何度となく通いました。

 

九龍の雑然とした、しかし活力のある商店街や、とてつもなく大きなビルで埋め尽くされた香港島で脇にファイルを抱えた外国人が往来する金融街の活気にワクワクし、決まって日曜日にはアイランドシャングリラホテルのロビーでお茶を飲みながら何人かで未来を語ったことを思い出します。

 

ほどなく1997年6月30日に湾仔(ワンチャイ)にある香港コンベンションセンターで行われた英国から中国への返還式のTV放送を、尖沙咀(チムサーチョイ)のペニンシュラ裏のカオルーンホテルの狭い一室で偶然に見ていました。歴史的な転換の始まりです。香港機上(空港)の開業は1998年のことで、それまでは啓徳空港を使い、香港の治安の悪さを象徴する九龍城のギリギリうえを通って下りていました。隔世の感があります。

 

それから香港には50回以上渡航しました(それ以上は数えていません)。MTR(鉄道路線システム)もどんどん拡張されバス便も多く、タクシーも安いため、大げさですが香港の隅から隅まで行きました。

 

ジェトロのお世話にもなり日本人で活躍されている方々をご紹介いただき、ネットワークやイベントにも参加し、さまざな取り組みもしました。朝8時の便で日本を出て尖沙咀で午後3時から仕事をし、夜会食をして泊まらず夜中の1時の便で日本に戻る、ということも何度かありました。日本で仕事に疲れたときアイランドのピーク山に登り香港の夜景を眺めたり、九龍(カオルーン)側から香港島(アイランド)の光輝くビル群を見たり、リパルスベイのカフェヴェランダで太平洋の風に吹かれるのも好きでした。

 

しかし、深圳(シンセン)やベトナムへの展開も含めて手を広げすぎたこともあり、会社を2社設立しながら香港でのビジネスはうまく進みませんでした。

 

その本質的理由は、

  1. 日本での仕事を離れられなかったこと
  2. 海外で働きたいという思いが弱かったこと
  3. 戦略が不明瞭で中途半端だったこと
  4. 日本のパートナーの思いも同様のレベルだったこと

等が挙げられます。

 

結局は、言うは易く行うは難しであり、普段自分が考えていたことが実行できていなかったことに原因があります。憧れ=思いであったものの、何かをやることの信念にまでには思いを昇華できなかったことが分かります。ここ最近の数年はベトナムでのクリニックへの関与やASEANの医療のマーケティングに没頭していたし、またコロナだったので香港からは足が遠ざかっていました。

 

そうこうしている間に2022年を迎え、7月1日に習近平国家主席が出席し香港コンベンションセンターで香港が中国に返還されて25周年の祈念式典が行われました。活力が削がれ魅力を失いつつあった香港の息の根が止まった瞬間を見た気がしました。

 

時を同じくして私が体調を崩したこともあり、Iさんにお願いして7月に香港の銀行口座を閉鎖しました。進出もできていなかった香港からの完全撤退です。もう25年も経ったのだなぁと感慨深いものがあります。

 

振り返れば、中国の一国二制度の形骸化政策やコロナもあり、日本企業や投資家が香港から離れていることを考えると香港でのビジネスはうまくいかなかった可能性もあります。

 

ただ、ある時期に一つのことが成し遂げられなかったという蹉跌はあり腑に落ちていないことも事実です。何れにしても、この経験で分かった「自分はあれこれ気が散り集中できない性格」であるとの反省を胸に、次に活かすしかないと思い直しています。

 

信念をもって明確な戦略を立て、自分をコントロールしながら最後までやり通すことの重要性を考えるとき、BSCで得た、KGI→KFS→PD→KPIのフレームワークを再度自分のものにする必要があります。

 

バランスト・スコアカード(BSC=Balanced Scorecard )は、キャプランとノートンが、財務的指標だけではなく、非財務指標(顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で設定し、それらを組織に展開して、組織が決めた戦略を達成するよう行動させる戦略的経営システムです。

 

KGI(Key Goal Indicator)でゴールを決め、そのための成功要因KFS(Key Success Factor)を検討する。そして、KFSを実行するための具体的な行動PD(Performance driver)を考え、KPI(Key Performance Indicator)でその行動を指標化する、というながれをつくります。

 

財務については予算化のうえ損益とCFを管理するし、顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点という非財務の3つの区分を着眼として、それぞれの行動を目標化しKPIで、PDCA管理します。

 

こうしてBSCを考えてみると、そもそも「香港で日経企業をターゲットにする会計も含めたコンサルティングファームを運営する」(同時期に進出した日本の会計士はあっというまに100人規模の会社をつくりあげでいました)というKGIが不明瞭で、日本人のアテンドや医療系のコンサルティングを始めようとしたところから間違えていたので、ブレイクダウンしたことがすべてちぐはぐになるのは自明の理でした。

 

今更ではありますが、同じ轍を踏まないために、また物事を熟考するためにも、何かを始めるときにはしっかりしたガバナンスのもとで上記のBSCのフレームワークを必ずつくりあげていこうと、再度思いを強くしたのでした。リベンジしたいと思います。

自立して成長する!

組織マネジメントを行うときには、組織と社員の関係づくりや、社員がどうすれば情熱をもち仕事に取り組みできるのか、といった視点を欠かすことはできません。

 

社員が自立し自らの仕事に対し主体性をもち行動することで、彼等の挙げる成果は大きく異なります。また、社員も自立することで自らを大きく成長させることができます。「自立」がキーワードです。

 

自立して主体性をもち行動するためのきっかけがどこにあるのかは、生れ育った時代や個別環境、友社員、働いた組織、職場の上司、仕事の経験、顧客、経済状況等々さまざまですが、結局は人が自立するためには

  1. 何かをしたい成し遂げたいという思い
  2. 信念をもち、
  3. 特定分野で自分のスキル
  4. 人間力
  5. コミュニケーション力

を高め、どの組織にいても、また独立しても、「どこでも通用する社員」になれるよう行動することが有益です。

 

同業種、同規模であっても、他の社員の質やマネジメントのクオリティや取引先など実際には全く同じ条件や環境の組織はあり得ないので、完璧な比較はできないものの、同じ仕事を行った結果、ある組織のなかでは認められ(通用し)他の組織では認められない(通用しない)というのでは、当該社員の実力には客観性があるとはいえません。

 

なお、経験上どこかで何かを成し遂げて認められた人は、多くの場合他の組織でも同じように成果を挙げることができます。場合によれば何かで高い評価を得た人は、違う何かをしてもいつも高い評価を得ることがあります。

 

そうした「違う何かをしても高い評価を得る」自立した人は、個々の仕事の成果の背景にある「仕事をうまくやるコツ」を掴んでいる人だと思います。

  1. 仕事の全体や連関する事項を俯瞰し、
  2. プレイヤーを掌握
  3. 手順を理解し
  4. 段取りをとり計画し、
  5. 実行し、
  6. 他人の支援を得ながら

目標達成まで行動できる人たちです。

 

独立するとか起業するのではなく、「どの組織でも通用する」スキルや人間性、能力をもてれば組織に従属せず、依存せず常に力を発揮できます。

 

この人は成果を挙げられる、信用できる、というブランドをつくることが有効です。少なくとも「どの組織でも通用する」という自立の段階を目指し自らを鍛錬することは社会人の心得ではないかと思います。

 

小さなことでもよい、前述したように、自分の仕事にどのような思いがあるのか(何をやりたいのか)、どのような信念があるのか、スキルを高めるために何をしているのか、どのように自分の人間性を高めていくのか、どのように他者とコミュニケーションをとり関係していくのか、を一つ一つ振り返り、自分が「どの組織でも通用する」社員に近づくための成果を挙げているのかについて振り返る機会を多くつくる必要があります。

 

ただ、いま自分にはやりたいことがない、思いがないという人が多いのも事実です。何をやりたいかが明確でなければ、まずは目前の仕事に精通するところから始めます。

 

ただ言われたことを「知る」だけで闇雲に行うのではなく、内容を「理解」し、『あ、これは私がやる仕事だ』『自分の仕事だ』として「受容」し(受容れ)て、手を抜かずに場面場面で懸命に行うことが適当です。

仕事の概要、業務フロー、自分のパートの手順、ノウハウ、関係する人々とのやり取り等の掌握を行い、個々に熟達したうえで課題を発見、解決を行うとともに仕事の迅速性や正確性、求められている質の担保を行います。

 

それがうまくできるようになれば、経験や客観的評価を積み上げて次々にステージの高い仕事への誘導が行われます。そのなかから自分の得意な分野、興味のある領域への思いを見つけ、自立を見据えた次のステップに進むというアプローチです。

 

主観的、客観的に自分の立ち位置をみるために生まれたスケールがISM(Independence Stage Management)です。

 

ISM(Independence Stage Management)では、社員の自立の状況を4つのステージに区分し、それぞれのステージにいる社員に適切なマネジメントを行うことで、できるだけ多くの社員に自立を促す方法です。社員から見ても自分を振り返り自立のためには何を行えば良いのかを気付かせてくれるスケールになります。

 

自立した社員は、社内外の連携を通じたより一層の高い成果を挙げていけるようになります。

 

ISMは、次のプロセスで実施します。

  1. 自分のステージ評価
  2. 課題抽出
  3. コミットメントによる課題解決目標化
  4. 解決支援
  5. 課題解決によるステージ移動

まずは、「全社員のステージ評価」は次の4つのステージで表現します。

ステージは自立度を会社への依存度と独立度の組み合わせで構成します。会社に依存している程度を評価し、併せて会社から独立している程度を評価することで自立の状況を焙りだそうとするものです。             

 

社員の自立を期待して、会社は適切な社員材配置と仕組みにより組織目標を達成していきます。会社ミッション達成のためには社員の貢献が不可欠です。社員の貢献があることで会社は所期の目標を達成できます。しかしISMでは貢献度を評価基準にしていません。「貢献」は自立した社員が連携し成果を挙げて初めて到達する領域であり、自立の状況を直接判断する基準ではなく帰結であるとしています。

 

さまざまな理由により環境が短期間で目まぐるしく変化する現状では、社員が予め設定された活動目標や行動様式を受容れ順応するだけでは、会社は柔軟な環境適合ができません。従来のやり方である時点での組織目標を達成しようと活動することも必要ですが、指示通りに仕事をすれば事足りる時代ではありません。ほぼ同じことを続ける日々から抜け出せない度合いを依存度と言っています。「確実に同じことができる」高い依存度を持つことも重視しつつ、それだけでは不十分な領域を独立度で評価します。

 

ここに、依存度においては、組織目標達成のために規律を持ち協調して行動しているか、また自らの役割に対し、責任をもち積極的に行動しているか、結果として目標を達成し実績を挙げているかが評価されます。規律、協調、責任、積極の4項目は、仕事に対する姿勢や態度をみる情意考課の項目でありとても身近です。実績については業績考課の対象でもあり、評価する会社において現状の評価制度と親和性が高いと考えています。

 

そして独立度です。仕事ぶりが従順で実績が挙がったとしても、言われた通りに行動し低い生産性を以て成果を挙げているのでは会社は変わることができません。独立度は、社員一社員ひとりが、これをやりたい、こうなりたい、こうしたいという思いを信念に変え、自分の進むべき道をはっきりさせて、それぞれの得意分野でプロとして独立している度合いをいいます。

 

独立度の高い社員は、将来を見通したうえで目標を持ち粘り強く取り組むことで周りを巻き込み成果を挙げます。置かれた現状を改革し組織を変えていける社員です。独立度が高ければ、会社文化や風土や計画、仕事の方法に順応しても依存せず、自らが率先して価値を生むことができるのです。

 

常に向上心をもち、技術を身に着け、他者から求められる社員になるよう取り組むとともに社員としての気遣いや思いやりをもち他者の力を引き出すなか、ともに改善や改革を進め生産性向上や価値創造を行なっているかどうか社員に求められている自立の要素です。

 

独立度として、向上心、技術力、社員間力、コミュニケーション力、改革力の程度が評価されます。

 

上記より、

会社への依存度は、

1規律

2協調

3責任

4積極

5実績

により評価するし、

そして、会社からの独立度は、

1向上心

2技術力

3人間力

4コミュニケーション力

5改革力

により評価することが分かります。

 

上記で説明した依存度を縦軸に、独立度を横軸にとります。依存度は下から上に、また独立度は左から右に値が高くなります。そこに生まれた空間を4つのステージに区分します。

 

左下 低依存度・低独立度 

左上 高依存度・低独立度 

右下 低依存度・高独立度 

右上 高依存度・高依存度 

がそれらです。

 

それぞれにはステージの特性を表現する名称を付しています。

 

低依存度・低独立度 ハンモック 

高依存度・低独立度 ベッド 

低依存度・高独立度 チェアー 

高依存度・高独立度 スタンディング

がそれらです。

 

ハンモックのステージにいる社員は「リゾート社員」です。ハンモックは南国のイメージ、休暇のときの時間をゆっくり過ごすときにリラックス効果を得ることができます。自立度でいえば、面従腹背してやらない、言われたこともできない、向上心もない、現状を気にしないという気楽な状況です。

 

ベッドのステージにいる社員は「ぬくぬく社員」です。組織目標達成のために、それなりの姿勢や態度をもって行動し、一定の成果を挙げている社員です。しかし、結局は指示通りに仕事をして、同じことを続けることから抜け出せていません。「なんとなく一生懸命にやっているのでいいだろう」という安心感や心地よさをどこかに感じながらも変われない自分に気づいていません。

 

チェアーのステージにいる社員は「腰かけ社員」といわれます。ここにいる社員は、独立度を評価すると高いポイントを付けられるけれど、どこか組織のベクトルと合っていない社員ですが、これをやりたいという信念をもち、将来を見通した目標を持ち自分の進むべき道をはっきりさせています。ある分野で高い能力もあり行動しますが、この組織のためには働きたくないと考えています。

 

スタンディングのステージは文字通り「自立した社員(An independent person)」です。企業に依存しても一方で独立心を持ち、率先して自ら価値を生むことができる社員です。常に使命感や向上心をもち、プロフェッションとして求められる技術を身に着け、人から求められる社員です。人としての気遣いや思いやりをもち常に進歩しています。また、改革を進め高い生産性向上や価値創造を行ない進化しながら組織貢献し結果を出し達成感を得続けていく社員です。自分はどの位置にいるのかを確認し、自立に向けて行動する必要があります。

 

詳しくは別項で説明しているのでご覧ください。

 

常に会社側がISMを理解し実際に依存度と独立度の評価基準をポイント化し調査を行います。自社の現状を分析して、「当社にはハンモック社員が多い、どこに出しても恥ずかしくないスタンディング社員は少数だ」、とか「やばい、腰かけ社員だらけじゃないか」とかの、結果を享受したうえで課題を抽出し、一定数のスタンディング社員育成を行うための対応を行います。

 

また、社員が自分はどこのステージにいるのかを確認し、そこからどのように自立への道を辿ればよいのかを考えてもらう機会にしていくことがこれからを生き抜くために必須です。

 

主観的評価と客観的評価により、自分の立ち位置を判断します。まずは、主観的な評価は自分のなかでできているかの確認を行い、そのうえで他者からの評価を得て自己評価を修正していくことになります。別の機会に詳しく説明します。これからを生き抜くためどう自立していくのか大きなテーマだと思います。

 

 

業務改善・業務改革と内部監査の関係性

世界や日本経済がどのような状況にあろうとも、また自分がどのような環境に立っていようと、人は自らの行動を変えることを止めてはいけません。どのような生活や趣味でも、仕事や事業でも考え方は全て同じです。自分が触れるものを常により良く変え続けていくことが人として生きる証だからです。

 

今の環境を所与として、もっとうまく、もっとはやく、もっと合理的に(安く)行動できないか、もっと良い方法はないか、を考え続けることが求められています。

 

現状を他律的に捉え何もしなくても、日々合目的的に行動しても、時間は同じように経過します。振り返ると大きな差になり、自らが思考できない、経験を積めない、成長できないことの結果に対する責任を負わなければなりません

 

例えば医療制度についても国が変えなければならないことは沢山あるでしょう。しかし社会資源である医療を存続させるために、国民がもっと努力しなければならないこともあります。例えば、

 

  1. 日頃の健康管理を怠らず医療機関に全面的に依存することを止める
  2. 自らの治癒力を強く意識する
  3. 医療資源を大事に上手く活用する
  4. 懸命に生きることのなかで、しっかりとした自分なりの死生観をもつ

等がそれらです。

 

また、多くの医療従事者(や介護従事者)がそうしているように職員一人ひとりが高い使命感を持ち、その瞬間瞬間を「なんとかしたい」、患者を「なんとかしたい」、自分を「なんとかしたい」という気持をいま以上により具体的な形にしていかなければなりません。自らの技術技能や人間力を高めていくなかで、仕事の仕組みを見直し、成果を挙げていくことに自分の成長があります。

 

卑近な例でいえば、組織のリーダーや職員は日々の仕事の仕組みの見直しを行なうにあたり、どうすればもっとうまく、はやく、安く(合理的に)業務を変えていけるのかを考え行動していかなければなりません。

 

業務改善が行われるためには、いくつかの条件が整う必要があります。例えば、

  1. 思想がある
  2. 意識をもつ
  3. 着眼する
  4. 目にみえるようにする
  5. 方法を常に考える
  6. 組織を動かす

といったについて理解し、それらを一つひとつつくりあげていく試みが有益です。

 

なお、業務改善に似た概念に業務改革があります。業務改革はBPR(Business Process Re-engineering)をいいます。BPRは、業務プロセス全体を見直し再構築することをいいます。つまり仕事の前提にまで踏み込んだ見直しを行います。

 

今の仕組みを所与としてよりよくするのではなく、仕組みや環境自体を変えていくのです。

 

業務改善は、業務プロセス全体には大きな変更を加えず、

・標準化(ルール、フォーム化、マニュアル、チェックシート等)や、

・簡素化(無駄な統制、コピー・転記の排除、導線の短縮化等)

・代替(方法の変更、段取り強化による後工程の削減等)

・移管(他場所・他者への集中等)

・外注化や内製化、

・廃止(止める)等

により、業務の一部のムダをなくし、生産性を高める(仕事の質を高める)ことを目指しています。

 

しかし多くの事例を見ていると業務改善の中にBPR的な取り組みを行うことまで含めて考えるケースも散見されます。業務そのものを変える、無くす、システム化する等、業務改善を行う間にBPRまでをも視野にいれた活動に昇華することもあると考えることが適当です。

 

まずは業務改善を行い、その中での着眼により業務改革を行なうといったいった流れをつくるのが自然なのでしょう。常に業務改革の視点でも業務フローを俯瞰し、必要があれば、マネジメントサイドを巻き込み即刻BPRを行なう姿勢を忘れないことは言うまでもありません。

 

なお業務フローは内部統制(組織目的や目標達成のため組織として行うべきことを、確実に実施できるようにするための内部的なシステム=組織、権限と責任等規程、ルール、業務フロー、システム等)により管理されます。そして内部統制は大まかに内部牽制と内部監査により構成されます。内部監査は現場が業務改善やBPRを行い成果を挙げる支援を行なうための制度です。

 

内部牽制により業務が目的に合致して行われるシステムをつくり、内部監査が常にチェックを行い、内部統制が組織目的を達成できるよう監査を通じて課題を発見し、指摘することで現場に情報提供を通じてサポートするのです。内部統制はある時点で機能するだけではなく、マネジメントや現場の活動を通じ時代や環境に適合し柔軟に変化していかなければなりません。

 

ある意味、内部監査は現場のスタッフに代わり業務改善や改革を促す仕組であるとも言えます。個人や現場からのトライアルと、マネジメントサイドにある内部監査によるトライアルにより業務改善とBPRは行われることを理解し常に意識して行動することを心掛けると良いでしょう。

 

なお、内部監査は、業務改善やBPR、すなわち業務の有効性や効率性への対応以外に、コンプラ、資産の保全、財務の信頼性についてもその活動の対象としています。

 

現場スタッフは内部監査を受けることで、自らのマインドを醸成し成長の機会を得て仕事のし易さを担保するとともに、内部監査のメンバーはマネジメントサイドとのコミュニケーションを活発に行いつつ、ヒト、時間、情報、モノ、カネの経営資源の最適化のため、ここでいう

  1. 業務の有効性や効率性、
  2. コンプラ、
  3. 資産の保全、
  4. 財務の信頼性

の4つの対象を視野に入れ強い目的意識や使命感を持ち現場支援を行うことが適当です。

 

いずれにしても、どのような仕事でも、また立場にあろうとも今をより良いものに変える試みを継続し、日々成長したいものです。

手仕舞いの過程

当たり前ですが、人には個人差はあるものの誰にも寿命があり最期があることを意識して生きてきたつもりでした。しかし、振り返るとそれはかなり感覚的だったのではないかと反省しています。

 

本来から言えば、働いている自分が、

1.どのように仕事から離れ、

2.自分と向き合いながら生活し、

3.寿命となり最期を迎えるのか、

を意識し計画的に行動することが必要でした。

 

これら手仕舞いのプロセスを考えず日々の仕事を黙々と続けていくことの次に最期があるという認識だったと思います。

 

単純な話ですが、いつかはいわゆるリタイアをして、あるいはリタイアに向けて今の活動をどのように減らす。そして自分の好きな、できなかった事をしながら自分と向き合い過去を慈しみ、残された少しの時間を愉しみながらゆったりと過ごす。満足した時間を経て遂に最期の時期を迎える、という段階を考えず、ある意味で無謀な日々を過ごしていました。

 

目を細めて子供達の小さい頃の写真と今を見比べ、みごとに成長している姿に感心しながらも、一方で時のながれる速さを思いしらされることがありました。しかし、自分がこんなにも疲弊し、肉体的に老いていたことにはなぜか実感が湧かなかったのです。時のながれは早く、振り返れば人生は短い。

 

何年か前から様々な疾患により入退院を繰り返していながら、あるときには友人の突然の訃報に悲しみ、さらに周りの経営者の重篤な病名を心配しながらも、自分は相変わらず思いついた事を信じ、後先を考えずに遮二無二生きていました。

 

こうして身体が言うことを聞かず、診断結果を突きつけつけられ、ほとんどの仕事から手を引くことになり、はじめて自分が人生の何処の位置にいなければならなかったのかが理解できました。

 

自分がこれからどう生きていくのか整理できておらず、また目処はたっていませんが、一日一日を自分なりに懸命に生きていこうと思います。

 

思いがけず人生の総仕上げの時期を迎えてしまい、いままでの自分に少し後悔はありますが、これからも自分の生き様から感じた何かをお伝えできる機会を持てれば、と願っています。

 

                   2022年7月

 

 

 

空からみる自分の存在

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人生が残り少なくなってくるとどうしても自分の生き方や過去を反芻する機会が増えます。わき目もふらず自分の力を過信し結果として自分のことだけを考え前に進んでいたことがあったことを思いだします。

 

飛行機で移動ができない可能性が高くなってしまったいま、この記事に書いたことをもっと早く行動の基軸に据えた生き方ができていればと後悔しています。

 

「人は、この世に生を受け、しばらくすると自我が芽生え、学生のうちは自分の意思をもちつつ一定のながれにのり、社会人になるときからほぼ完全に自分の意思で生きていくようになります。

 

なので、自分が一人の人間として意識や思いを持ち活動するとき、どうしても自分を中心に置いてしまうのはいた仕方ないことです。

 

しかし、人は他者からの影響や支援を受けず一人では生きていけません。社会のなかで、基本的に自分が与える影響は軽微であり小さいことに気付かなければなりません。

 

たとえ、巨大な組織や国政の長であったとしても、日々の国民の生活のなかで、例外はあるものの個人のできることは限られています。

 

役割や権限により彼らを支える組織や機能が有効に機能して、その意思を反映した活動を実行するのは、他の多くの人々であり、組織力や政治力において彼らを含む総体の役割が行使されて、初めて成果が得られるのだと思います。

 

強い権限や組織力がなければなおさらです。短い人生、他人の業績を気にする必要もないし、社会に与える影響も軽微と考えれば、大事なのは「自分が充実した人生を生きられたかどうか」なのだと分かります。

 

自分が〇〇をする、という強い思いをもち、自らを鼓舞しながら達成感を得る人生を積み重ねることは、例えどのような生まれ方をしたとしても大切なことだと思います。

 

そのうえで、自分一人だけでは生きられないことを知り、利他の思いをもち行動するとともに、自分の思いを伝えつつ、多くの人々に支えられて、自分は生かされている、と考え行動する必要があります。

 

飛行機に乗り景色に触れると、いかに自分が小さな存在なのかが理解できます。芥子粒のような自分は、何をするために生かされているのか、何を役割として負うことができるのかと改めて考えるのです。

 

享楽的に生きるのも人生でしょう。利己的に生きてしまうのも人間の性であり、その人の価値観かもしれません。

 

しかし、自分は何等かの役割をもち生かされているとしたら、社会における自分が提供できる価値や機能について考えざるを得ません。

 

後悔をしないために、自分が与えられた意識をもって心に決めた、やらなければならないことを人の助けを得ながらやり続けること、また他人を支援し彼等のやりたいことの支援を行うこと。微々たるものかもしれないけれど、自分にも他人にとっても自分のやるべきことを軸として生きていくことが人生なのではないかと思うのです。

 

ここで、「生かされている」ことについてです。

 

経験や知識や他者からの影響など、さまざまな要素により、自分がやりたい、やろうと決めたことは自然に自分の心に芽生えたように思えますが、実は生まれたときから、既にそう思うように仕組まれていたものではないかと感じることがあります。

 

決して自分に枠をはめるつもりはありませんが、宇宙があることも、銀河系があることも、地球が浮いていることも、人間が存在することも、すべて人知の及ぶところではなく、自分がなぜここにいるのかもわからない今、「生かされている」というのはそうしたことではないかと考えているのです。

 

その考えが正しいかどうかは神のみぞ知る、ということなのでしょうが、今回は、自分や自分の存在を問い直す機会をもてました。

 

地上に降りた後、ホテルで自分がどうあるべきか、熟考してみることにしようと思います」。

 

中国のさそりの針がさそりました

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私は蠍座座の生まれです。15年前のこんな記事が出てきました。時間の経つのは早いものです。

北京の医療機関や介護施設の視察の後、繁華街王府井(おうふせい)の中華飯店で、関係者や北京衛星局の方々との会食の機会がありました。会食の始めに出てきたのは、さそり。

見るからにさそりで、よくみると超グロテスクです。なぜ、さそりを食べなければならないのか、合理的な理由がありません。
①おいしい、香りがよい
②栄養価が高い
③気持が昂揚する 
④癒される
といった食事から得られる効用が一切ない、と私は主張しました。

なのに、提携したい高級有料老人ホームの社長が、自らそれを箸でつまみ、ムシャムシャと食し、君も食べなさい、喰わなければ友人として認めない…とまではいっていないと思いますが、ほれ、男なら喰えよ、ムシャムシャ、勇気ないね~という雰囲気でした。
で、とりわけ尾の立った、まさに針を刺す瞬間にいます、みたいなものをセレクトしていただいたわけです。それが写真にあるやつで、きれいなピンクの揚げ煎餅にのっているからって、別におしゃれでもないし、困りますっ、みたいな思いでした。

さそりの針が口腔内にさそり(ささり)、針刺し事故になった場合、医療事故のレベルで言うと、レベル3(治療を要す)にはならないんだよね~とか、レベル4(後遺症が残る)や5(死亡)はないだろうな~とか思いながら、万が一毒が残存していたら…、とかいろいろな思いが錯綜しながら、でも結局、食べました。

焦げた魚か、うなぎの骨を食べているような感じで、まがりなりにもうま~ぁいっ!というものではなく、やっぱりね~と思ったものです。ただ、口の中にほんとうに針がさそり(しつこい)、痛かったのも事実です。

どちらにしても結果として、
⑤会話がもりあがる
⑥笑ってもらえる

⑦取り敢えず親しくなれる
といった宴会での食事の効用を得ることができたようではありました。