他人を守ること。その気持ちが多くの人にあれば、暖かい日本ができると思う。そうしてみると空港には、人を守るたくさんの道具があることがわかる。
こうした道具は、あるときは気づきにより、あるときには法律により、そしてあるときには他からの要請により、つくりあげられるものだ。
ただ、心がこもっていなければ、それは単なる道具にしかすぎない。心がこもる、とは相手の立場にたつことだ。それを使う人が、それをどのように使うのか、そしてそれを何の役に立てるのか、がわからなければうまく道具はつくれないし、使えるものにならない。
ありとあらゆるものはそれをつくりあげた人の心により、生命を与えられる。生命をながらえるものはそれなりの人に誠心誠意丹精をこめてつくりあげられたものだと思う。
太陽の塔は、羽田空港にくる多くの人の道しるべになるだけではなく、たくさんの人の出会いや喜びを演出するモニュメントである。太陽が辺りを照らすように、太陽の塔があるだけで、人々は安心し、約束を守ることができる。
信頼し、出会いを楽しむことができる。たった太陽の塔があるだけで、人々が人生を豊かにする機会を与えられるのだ。これをつくりあげた人たちの思いが社会に伝播し、感動をつくりだしたことに感謝したい。
私たち人間は、どんな人でも、どのような生活をしていようと、どのような人生を歩んでいようと、全員が太陽の塔であることを忘れてはならない。
心を込めて太陽の塔をつくりあげる一生でなければならないと、私はいま、思う。