よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

謙虚さと好奇心をもって生きる

人は、自分がこうありたいと願い、やらなければならないことや、やりたいことをするために生きています。

 

そこには常に「できること」と「できないこと」があり、どこかで折り合いをつけながらも、何とかやりたいことができるように生きたいと思う生き物だと考えています。できないことをできるようにしていくためには努力が必要ですが、試行錯誤し自分を鼓舞しながら前に進みたいと願います。

 

行動するときに一つ重要なことは良心に従い行動すること。良心とは、善悪を判断し正しく行動しようとする心をいいます。何が善で何が悪なのかを知るかは、自分がどのような価値観を持っているのかに影響されます。

 

常に自分の人間性を客観視し、利己的になっていないか、ルールや常識からかけ離れていないかどうかを確認し行動しなければなりません。

 

しかし、思いや信念の弱さや健康問題から必要な知識や技術、人間力を身に着けられず、ときどき挫折することがあります。何のためにやるのかという思いを持ち続けなければ立ち上がることはできません。心のどこかに執念とまではいかないまでも、諦められない気持ちがなければならないと考えています。

 

アドラーもいうように「人間は一人では生きられない」のであり、他者に支援され、助けられ、努力しても多くは与えられないと知りつつ他者に与えて、共感しつつ共生していくのが人だと考えています。

 

始めは小さくとも良い、心の片隅に忘れてはならない塊として残しておく、生きているかぎり、どのような選択であれ、何とか他者の役に立ちたい、立たなければならないという人としての想いが自分を奮い立たせる誘因になるのかもしれません。

 

そのためには他者と自分を認識して、他者に依存しない自分が自分である一貫性や統一感、その前提となる価値観をもつことが必要です。すなわち主体性(Identity)をもつ自分づくりを行わなければなりません。

 

そのうえで、「やらなければならないこと」のなかから「やりたいことを発見すること」もあるし、「心の底から湧き出るやりたいこと」を見つけることもありますが、自分の本当にやりたいことを以って行動することが理想だと思います。

 

ここで考えなければならないことがあります。文化が発展し、社会の価値観が大きく変化している今、自分の価値観もその都度変化していかなければならない、ということです。

 

覇権主義や国家内外の紛争が絶えないなかで、ネットによる情報共有化やイノベーション、AIやDX化、カーボンニュートラルやSDGsの活動が進展し生活に浸透してきています。その背景には、もっともっと便利で住みやすい世界をつくろう、かつ安全に、人間らしく生きようという想いがあります。日本人の食文化、アニメーションや優しさや丁寧さが海外から再評価され共感を得ていますが、環境の変化が多くの人々の意識や価値観を変えてきているのだと思います。

 

もちろん良心に従い主体的に行動するときに、社会があるべき方向に進んでいるという思いがあれば価値観を修正することはありません。ただ良心をよりよいレベルに高めるために(専門分野の知識も脆弱ななかで教養を語れませんが)、教養を身に着け続けることが必要だと気付きます。

 

教養とは何か、どう自分に活かしていくのかというグロービスでのセッションがありましたが、結局は、教養は、幅広い知識や必要とされる経験や体験を通して得られる心の豊かさ、他者への配慮、物事への理解力、判断力、創造力ということになりそうです。

 

謙虚になり自分の考えや知識、行動が正しいのかどうかを常に反芻し、好奇心をもって学び続けるもの、そしてそれは自分が主体的に生きるために必要不可欠といった理解をしました。どう学ぶのかは人それぞれですが、ワクワクしながら型にはまらず、という感じでモデレーターがまとめていました。

 

主体性をもち他者と対話を重ね共感を得て、楽しく学びながら成長して、自分のやらなければならないことやりたいことをやれる人生を送りながら相利共生できたら、こんなに幸せなことはないと考えています。