よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

見えることへの憧れ

先ほどソファーに座り、携帯を使おうと思い回りを見渡しましたが、携帯は見つかりませんでした。ここで使っていたのにと背中を廻してみても携帯はありません。よいしょと立ち上がり振り返ってみるとソファーの隙間に埋まる携帯の端が見えたので安心しました。気付かないものですね。

 

しかし、ふと考えると「ここにある筈と思い見てもみえなかったことが、視点を変えると見えるようになった」ということは仕事でも頻繁に起こりえる筈と思うと冷や汗がでました。果たして自分は物事を正しく見ているのだろうかと不安になったのです。

 

物事を物理的に見ていないことや、意識や経験、知識がないために見えていないことは沢山あります。また、見えていないことをあたかも見えているかのように誤解して行動することがあるとすれば、とても危険です。見えていない=知らないことを意識的に知っているふりをすることは論外としても、知らないことに気付かず行動してしまうことのリスクについて留意しなければなりません。知らないことを知っていると勘違いしているとしたら、自分では歯止めがきかない状況です。

 

全知全能の神ではないので、物事をすべて知ることは不可能ですし、その必要もありませんが、少なくとも

  1. 自分の仕事に関わることや
  2. 一般的に知っていなければならない事項
  3. 知ることにより自分の成長を促す物事

については、少しずつそれらをより知れる(より理解を深められる)よう努力しなければなりません。

 

自分には

  1. 知っていることがある
  2. 知らないことがある(知らないことのほうが多い)
  3. 知らないのに知っていると勘違いしていることがある

ことを常に意識して行動すべきだと認識しなければなりません。

 

ここで、見えていないことについて考えると、

  1. 視点を変えてみてみる
  2. 情報を収集する
  3. 現場に行って確かめる

などの行動をとることで物事は見えるようになると分かります。自分では目に入らない、知らないことも適切な人間関係やネットワークをつくり情報を得られるように取組めば一次的には満足できるし、視点を変えたり自分の足で現場に行けば情報の精度を高めることができます。

 

前述のように怖いのは知らないことを知っていると勘違いし疑問を持たずに判断したり行動することです。歯止めが効かないため、大きな間違いを起こす可能性が高くなります。

 

知らないことがあるという前提に立ち、常に自分の思いや知識が誤りではないことや理解できているかどうかを確かめる癖をつけなければなりません。

 

そのなかで知らないのに知っていると誤解している部分を絞り込んでいくためには、

  1. 知っていることについて学習し直す
  2. 知らないことは何かを常に捜す
  3. 好奇心をもって何毎にもチャレンジし経験を積む
  4. 物事が起こる要因や結果を推測しつつ行動する
  5. 信頼できる第三者から評価、指摘してもらう

といったことに取り組むことが必要です。

 

知っている(と思っている)ことをブラッシュアップし確認し続けることや、その時点での知らないことを捜し体験をすること、物事を深く考え慎重に行動する、辛辣な意見を言ってもらう、などがポイントになると考えています。

 

古い話ですが、クルートで営業をしていたとき、何としても目標を達成したいという強い思いをもち毎日目を皿のようにして電柱の求人募集の張り紙や電車の広告をみて採用情報を得ていたことがありました。しかし仕事が変わると当たり前ですが、それらに目を向けることは全くなくなりました。

 

自分には何が不足しているのか、何をしなければならないのかといった強い意思を持つことにより、得られる情報は変化します。一面しかとらえていない事例ですが、知らないことは何か、を常に捜す、まさにいま生きている仕事をしている自分には何が不足しているのかをいつも考え、気付き、行動することが求められていると分かります。

 

自分なりにはキャリアを積んできたものの、結局は中途半端だという思いがあり悩んでいます。やらなければならないことやりたいこともあり「自分には何が不足しているのか」「見えていないものは何か」という思いを以て、今更ではありますが、見えることへの憧れを忘れないよう再度活動していこうと考えています。