よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

人生の階段を、登る

 

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 人には、家庭のこと、友人のこと、健康のこと、趣味のこと、仕事のことなど日々関わることが多数あります。そして、それぞれの時々に、気にする出来事がいくつもあります。

 

 これらの関わりのなかで、気になることを解決するために、心配したり、一定の行動をとったりします。そのため、人はそれぞれの階段をつくり、登り始めます。

 

 仕事でいえば、やらなければならないことが常に複数あり、やりたいことも複数あり、期日が決まっているものも、そうではないものについて階段の数を決め(段取りともいいます)、それを一つひとつクリヤーするために、あれこれ気遣い、行動を起こします。

 

 日々複数の階段を、ある時には軽快に、またあるときには慎重に登りながら階段のてっぺんを目指しているのです。

 

 つくった階段の数によるのか傾斜によるのかは、その時々ですが、登り切ったときは爽快ですよね。そこには、やり切った感・達成感があります。

 

 他の関係する、家庭のこと、友人のこと、健康のこと、趣味のことも同じように、関わる出来事がうまく解決すると嬉しいし、満足で満たされます。

 

 こうして考えると、人は様々な出来事や、その解決のためのいくつもの階段をもち生きています。そこでいくつもの階段をつくり、登りきり達成感を得たり、登り切れず挫折したりし、を繰り返し成長しながら前に進んでいます。

 

 いったい幾つの階段をもち、それらの階段を一つ上がり続けてきたことか。過去に登りきった階段、途中で登るのを止めて捨てた階段は数えきれないほどあります。もちろん、存在したこそすら思い出せない階段もきっとたくさんありますね。

 

 過去そうであったように、これからも、幾つもの階段づくりに直面し、また挑戦し、それらを常に登り続け、うまくいかず挫折をたくさんしながらも、多くの達成感を得続けることが、充実した人生を送れるポイントだと思います。

 

 さて、ここでいう階段は、自分の置かれた、あるいは自ら望んで得た「環境の階段」です。「環境の階段」は自分で自由に選択できる階段が多く含まれています。

 

 しかし、絶対自分では段数を変えられない、自由に途中で捨てることができない階段があります。それは「人生の階段」です。

 

 人が生きられるのは平均80年余り。一段が一年とすると80数段しかないことになります。こうして考えると階段の数はとても少ないですね。

 それだととても悲しいので、一段を一日とすると×365日ほど。

 

 いきなり、階段の数は29,200以上、30,000近くになります。こうしてみると、結構数が多い感じになりますね。これが、生まれてから最期まで登り続けることが許された階段です。

 

 はじめは残りの階段をあまり意識せず、日々を過ごすことが通常ですが、この階段は誰でも今何段目にあるか確認できるため、おおよそですが、登ってきた数よりも残りが少なくなる時期を予測できるようになります。

 

 この辺りから過去をときどき振り返り、計画を立てる人も出てきます(もちろん、ずっと計画的に生きている人もいて、羨ましい‥)。

 

 この階段は、たくさんの「環境の階段」と並列にありますが、何かを成し遂げたときも、挫折したときも、毎日登り続けなければならない階段です。

 

 登れる段数も運命で決まっているなか(このテーマには議論がありますので、別項で取り上げます)、ある階数に瞬間たりとも留まることはできません。

 

 こうして考えると、これからの自分がなすべきことを計画的に運ぶ必要から、「環境の階段」と「人生の階段」を常に振り返り総括したうえで、「人生の階段」を俯瞰した「環境の階段」を意識しなければならないことに気付きます。

 

 ここでは、人生の階段が半分を大きく割り残り少なくなったから、守りに入ろうということを言いたいのではありません。

 

 逆に、「環境の階段」で得た達成感は、「人生の階段」を登り続けて得た達成感そのものであることを再認識し、さらにできるだけ多くの達成感を得て人生の階段を昇っていくことを視点としています。 

 

 どのようなものであれ、積み上げた多くの経験を再度凝視し、どこに自分の価値があるのかを再確認し、どの時点からでも新たな活動を都度始めることに意義があるのです。

 

 人それぞれの「環境の階段」と、誰もが通る「人生の階段」を意識して自分なりの価値を生み出すために、さらにアクセルを踏み込んでいきたいと考えています。