組織における成果とは目的に至るための目標を達成し続けることをいいます。目標のない組織はありません。目標はある方向に向けて頑張るということだけではなく、計画的に設定され、達成への進捗が管理されていることが必要です。さらに目標達成には、そのための環境が整備されていなければなりません。
環境は、
- 仕事の仕組み、
- 従業員の技術技能向上、
- 従業員のやる気
から構成されます。
今回は、「仕事の仕組み」、「従業員の技術技能向上」、「やる気」について考えます。
仕事の仕組みには戦略構築、制度、階層、職務分掌や規程、ルール、業務フロー、業務改善等があります。組織には、業種毎、組織としての仕事のやり方があり、不文律も含め決まりがあります。そこで目標達成のためのルーチンをこなすとともに、随時発生する課題を明確にして、解決のための活動が行われ、組織は目標を達成し成果を挙げていきます。
さらに、それぞれの職種に求められる技術技能を高めるためには、教育、リーダーシップ、職務基準、マニュアル、併せて行われる業務改善が有効です。
ここでいくらスキルの高いメンバーが多くてもベクトルが違ったり、この職場では自分の力を発揮しようと思わなければ成果は挙がらないため、彼らの「やる気」を引き出すフローが必要になります。
やる気になってもらうためにはまずは、理念、ビジョン、戦略、中期経営計画、事業計画、目標管理、文化・風土、コミュニケーション、評価、役割付与、コミットメント(約束)、達成支援の適切な管理が求められます。
組織運営に筋を通すためには、仕事の楽しさだけではなく、彼らが自律的に決めたことを満足を得つつ成し遂げ達成感を得ることが必要だからです。
「日常からの適切な評価、one on oneミーティンングにより本人の期待を引き出し、それらを斟酌したうえでの適性に合致した役割付与、コミットメント(約束)、達成支援」がとりわけ重要です(コミットメントサイクルと呼びます)。
メンバーへ方向を示し、体制を整備したうえで、コミットメントメントサイクルの活用により、一人ひとりの力を引き出し達成感を得てもらえるのかを考え行動することがマネジメントの要諦です。
ここで大切なのはリーダーシップです。
リーダーのあり方について、経営理論はいくつかの変遷を経て、コンティンジェンシー(contingency=偶然性、偶発性)理論にたどり着いています。「いついかなる状況でも高い成果を発揮する唯一最善なリーダーシップは存在せず、外部環境の変化に応じて望ましいリーダーシップのスタイルも変化すべきだ」という考え方です。リーダーシップは資質の要素が大きいといわれていましたが、状況に応じて役割を変えるべきものだという考え方に変わってきたのです。
しかし、私はそう思いません。
どのような状況であってもリーダーの資質には特性があり、部下から支持されて初めて物事は進むとすれば、やはり資質や行動様式に一定のベースが必要だと考えているのです。もちろん、状況により判断を変え、行動や指示の出し方を変えることはあるとしても、組織の在り方を長期のスパンでみれば、魅力的でネットワークをもち尊敬できるリーダーの存在が目標達成に向けた対応への原則だ、との意見に賛成しています。
- 思いや使命感がある(悔いなく生きるために最後までやり切るという強い思いがある)
- 技術がある(ある分野の業務に精通している)
- 目的が受容できる(組織目的を自分のこととして捉えることができる)
- 目標達成意欲がある(目標を達成しないと気持ちが悪い)
- 計画性がある(計画を立てて行動できる)
- 行動力がある(決めたことは必ず実行する)
- コミュニケーション力がある(聞く力、伝える力)
- 状況把握能力がある(情報収集能力が高い)
- 包容力がある(思いやりをもって他に接することができるか)
- 責任感がある(責任を果たす気持ちがなければ何事も成就せず)
といった特性・資質が必要だと考えます。
そのうえで、リーダーは
- 組織改革を自分の問題として捉える
- やりたいことを仕事を通じて達成していくことが人生であると考えれば、設定された目標、設定した目標をクリヤーすることはやりがいがある
- 苦しいことを乗り越えることで、やりたいことができれば後に達成感を得ることを知っている
- 思い、信念、技術、人間力、コミュニケーション力を鍛える
といった状況を生み出す必要があります。
- どういう自分になりたいのか
- 不足するところは何か
- それを解消するためには何をすればよいのか
- いつまでに解消するのか
- 具体的な方法は何か
を理解し、
- 目の前にある問題を整理する
- 優先順位をつける
- 解決のための手順を考える
- 誰と一緒にそれを行うかを決める
- 相手に受容してもらう
- 範を示す(リーダーシップをとる)
- 期日を決める
- できるまで行動する
という姿勢をもち活動しなければなりません。
組織目標を達成し成果を挙げるためには、
- 仕事の仕組み、
- 従業員の技術技能向上、
- 従業員のやる気、そして
- 資質ある者による柔軟なリーダーシップ
の4つの視点が必要であるという結論です。
ありきたりの話ではありますが、大事なので振り返りのために整理してみました。なんとなくマネジメントが行われるだけでも、外部環境や組織に勢いがあれば事業は伸びます。
しかし、事業の本質は的確な戦略、スキル、その実効性を担保する従業員のやる気であることは明白です。時代を見据え自社の在り方を考え、プロフェッションとして、またリーダーとしてどう生きればよいのか、常に考え行動する組織や人が成果を挙げています。どこまで作り上げるのかは別としてマネジメントを蔑ろにせず、できることから整備していきたいものです