よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

営業はクリエィティビティ

 30日は午前中に2つ東京事務所で来客を受けたのち、びゅーと福岡へ。福岡は、大雨で空港や地下鉄が冠水し大変なことになっていたところです。どんなに大変なことになっているのだろうという思いで到着しましたが、以外とフツーの状態で安心しました。

 ただ、雨がしとしと、という感じで、福岡の爽やかななつ~ぅというわけにはいきませんでした。

 おじゃました建設業関連(工事請負、人材派遣)のO社の役員ともお話しましたが、大変な大雨だったということでもあり、日本はいったいど~なっているのか、ということになりました。
 当日は、営業スタッフのための研修と、本部組織の確立、そして顧客に対する顧客満足アンケートをどのように出すのかといったテーマで3時間レクチャーをしてとんぼ返りをしました。

 福岡のとんぼ返りは、往復4時間、滞在3時間ということで、本当に移動がながくなります。移動の時間は移動でいろいろな時間に使えるため、ある意味落ち着いて仕事ができたり、本が読めたりします。というか、電話やメールもないですし、本当に有意義な時間です。

 さて、内容についてですが、のちほど、ここに開示することにします(もうすぐタクシーがクライアントの診療所に着きそうなので…)。

ということで、いまは電車で帰宅中です。それでは、先ほどの続きを説明しましょう。

 私は学校を出てからリクルートのA職でしたが、そのときに、営業の仕方を超勉強しました。テレアポをして営業するのですが、人と話すが嫌いではなく、バリバリ楽しい営業をしました。池袋営業所の開設時の営業をしたのですが、当時は確かT所長をベースにUさんや、その他Fさんプラス2~3名の小さなチームでした。

 T所長に目標達成ののちご褒美に温泉旅行につれていってもらったり、またご自宅にお伺いしてごはんをごちそうになったり、すごく前のことですが、本当に社会人としてはじめて仕事の楽しさを知った時期でした。比較資料を使ったり、統計資料を使ったり、営業の仕方を先輩に教わり(池袋の前は新宿支社でちょっとだけ鍛えられました)、営業の基礎が身に着いた時期でした。科学的な管理の仕方は当時のリクルートであってもとても、今参考になることが多くあります。当時を回想していまでも、そのときの手法を営業指導に使ったりしています。

 さて、それでは営業はクリエィティビティである、ということについて少し触れることにしましょう。
使った資料の一部です。

企画営業についてです。

1.はじめに
 営業成果は、人間力×商品力×(価格力×)相手のニーズ(シーズ)×パフォーマンス力
によって決定されます。

 いくら営業のスキルが高い営業マンが対応しても、売るべき商品の質が低かったり、またべらぼうに高かったり、そもそもニーズがなければ販売することができません。

 提案営業がとても重要です。提案営業は、自社の能力を対外的に示すことでもあり、また商品力そのものを高めていくことでもあります。
提案営業に至るまでの対応を説明します。優れた営業の段階を説明すると次のようになります。
なお、今回は、人間力とパフォーマンス力については詳細に触れません。

2.優れた営業プロセス
 (1)初訪
 はじめてその会社を訪問するときのこと。この段階では、メラビアンの法則の徹底を行うことが必要。

 「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」において「メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った」場合、「メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する」という事を言っている。

 拡大解釈すれば、見た目が大事ということである。実際、礼儀をも含めて相手はどのような場合であっても、身なりをみることは明らか。身なりを大事にする必要がある。そして内容より、表情や言葉をさらに重視するため、この部分についても注意が求められる。
    
 この段階では、もし実権者に会えなければ細かい説明をすることは、あまり意味がない。したがって、印象を明確にしたうえで、パンフレットや名刺を置いてくることが適当。説明ができれば(2)を置いてくることもあるし、プレゼンを行うこともある。

 なお、パンフレットには、当社のメリット。寮生が多く、教育が常に行われていることや、人数を集めることができること、職人の手配が可能であること、内部監査により付加価値を提供できることなどが書かれているとよい。

 すなわち、他社との差別化がここで行われることになる。他社にはありません、ということを徹底して捜し、それをパンフレットに記載する。これも実は提案の一つとなる。ここまで内容が充実してくると、パンフレットを提案書として定義してもよいケースもでてくる。
 
 なお、検収風景や、寮の外観、寮で研修を受けているところなど、また内部監査をして監督と話しているところを写真にとり、パンフレットに掲載する、HPに掲載することで相手に対する訴求力は大きく増すことになる。
   

(2)提案書提出
 次の段階は、 提案書を置いてくる段階である。

 ここにおいては、他社とは異なる価格を出すことについて、これを提案する。提案する場合には、事前に会社の判断を得ておくことや、交渉のなかで出面数と単価のリストをもち、そのリストにより判断をしていくことなどが必要となる。

 多くの他業種の会社では数量と単価のマトリックスシートをもち、そこで相手のニーズにどこまで応えていけるのかを判断して営業をしているところも多い。当社においても、そうした管理資料をもつことが有効であると考える。

 ここでの提案は、判る範囲での相手メリットに対しての情報提供ということになる。他社事例を記載することによりどのように喜ばれているのかについてみせていくことも一つの方法である。

(3)契約
 契約を行うということは、相手の懐のなかに入り込むということである。したがって、相手のことをできるだけ知るようにすることが営業の基本。

 ①相手のことをできるだけ知るために初期の仕事をとること

 ②また熟練していない営業マンが仕事を徹底してなれるためにも仕事をとること

 ③ある意味テストケースとして、ある仕事をしあげることで次の仕事に向かうためのノウハウを身につけること

 契約から発生する重要な事項である。

まず、契約をとる。そのことから多くのことを得ることができるようになる。

(4)継続取引
 相手のことを知るために取引を継続するということが必要。どのような工程でどのような仕事があり、どこの段階で当社の仕事が成り立っているのか、雑工なのか、人夫なのか、職人さんなのかにより仕事の内容が異なる。

 それぞれの仕事について、相手の立場に立てばどのようなことがしたいのかが明確になる。

 ①仕事の質を高めたい(やりなおし、くりかえし、ダメだしの抑止)
  
 ②仕事がスケジュール通りに終了する

 ③少ない人員で終了する

 ④安く終了する
 
 といったことが相手のニーズである。ニーズと思っていなければシーズである。これらにどのように応えてくのか。応えていけるのかについて社内で十分に議論するし、相手とも議論をすることになる。

(例)質を高めるために当社はどのようなことをすればよいのか
 ①個人のスキルを向上させ、うまく・はやく・やすく、できるように訓練する

 ②規律を高める

 ③仕事のやり方について提案できるようにする

 ④相手とのコミュニケーションを円滑にして指示に的確に応える

 ⑤リーダーの質をあげる

 ⑥リーダーやスタッフと営業とのコミュニケーションをよくして何かあれば直ちに対応する

 ⑦営業と監督のコミュニケーションを円滑にして直ちに対応できるようにする
 等々があるが、これ以外にも多くのことがある。これらについて徹底して議論し、その手法を明確に確立し、それを提案することで、商品力が向上する…。

 と、まだまだ続きますが、これから以降は建設業の専門的な話になるので、ここらでやめておきます。
 いずれにしても、医療にも営業が必要な時代になりました。営業といっても、医療においては事実を事実として知らしめることからはじまると思います。パフォーマンスや誇大広告をしても、必ずみすかされるというか、事実は事実として伝わってしまいます。自分たちがどのような医療サービスを提供できるのか、どのような価値をもっているのかを地域に知らしめることが営業の基本的事項であると思います。

 そして、当然に高い質を求める活動を別途継続し、またより一層強化していくことが並行して行われなければならない。それがみえれば、増患は間違いないものとなると理解しています。

 どのような業種においても、営業は創造力が求められる、とても素晴らしい仕事であると思います。