よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

建設的なお話

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 先日、銀座のバーで建築家のA先生といつもの建設会社、今井産業の今井大造さんと飲みました。

 私が広島から銀座に22時前に到着したときには、彼らは近くの割烹で食事をしていたあとで、少し頬を赤くしていました。

 Aさんは、かなりアクティビティの高い建築家であり、シュートボクシングの帰りということでワイルドな格好をしていました。大造さんは東京でのミーティングのため広島からでてきたのだそうです。

 建築の話や芸術、宇宙、政治、教育の話をしました。
 
 印象に残ったのは、祈るということです。

「日本ではお米をお百姓さんがつくったのだから大切にしようというが、米国では食事ができるのは神の恵みであると教える。ここに祈りのない国民か、祈りがある国民か別れる。

 祈りがあれば、何かを乗り越えて行こうという勢いや一体感が生まれるが、思想のない宗教のない日本では、何かをしていこうという祈りによる勢いがでてこない」という話です。

 なるほど、思想や宗教も多様で、またどちらかというと付け焼刃、そして日本を一定の方向に誘導する政治家やリーダーもいないことが、いまの日本をつくりあげていることは間違いがありません。若者は萎え、過度な活動を忌避し、無難に無駄なく生きて行こうという風潮です。

 国が破綻するかもしれないなかで、倹約したうえで地道に生きて行こうという生き方の国民がどんどん増えていく。それ自体はもちろん悪いことではないものの、新しい事業をリスクを冒してやっていこう、頑張って何かを成し遂げていこう、という勢いもった人がどんどん少なくなってくるのはいかがなものか。

 男性不妊治療の先生も、勢いのない男子がすくなるのと比例するように、精子の減り方は半端ではなく、このままいけば日本民族は絶滅するだろうと話されます。

 意欲は何から喚起されるのか、やはり信じたものや達成しなければならないことをもち、それを達成したいという思いがある。なんとかしたい、なんとかしていきたいという祈りはそこから数多く生まれてくるのではないかと思います。

 Aさんは橋の話もしてくれました。日本の建築では橋をつくるとき、まず柱をバーンと立てる。そこから上に橋を乗せていく。実際には計画されている工法ではありますが、そこから橋をかけて行くというながれで工事は進む。しかし、ヨーロッパでは着実に石を一つ一つ積み上げながら、橋全体を創り続けて行くのだそうです。

 日本には、バーンと何かを打ち出しはするが、それからどうしようどうしようと慌てて何かをしていく文化があると彼はいいます。ヨーロッパは落ち着きをもって着実に積み上げ目的を達成しようとする傾向があるという説明です。

 日本には、落ち着きや強い方向感と思想、思いがない、だから組織も力を発揮できない。他の国は違う。少し極端な話ではありますが、建築家として建築から得る感性のようなものが彼の意見をつくりあげているのでしょう。

 結局、なんとかしなければ日本はやばい、という文脈が延々と続きました。


 いずれにしても、カクテルを2つ飲み、北海道余市のニッカ工場に行ってマスターが購入してきた原酒をロックで飲んでしまった私は、かなり酩酊して、Aさんの話を感動をもってお聞きしたのでした。

 話を聞き、一時間あまり議論をしているともう電車がなくなる時間でした。

 「俺達も頑張ろうぜ、これからはブルーオーシャン(=競争のない新規の事業)だ、オーッ!」という感じで、かるく会をお開きにしました。

 結局、感動したわりに、とても薄っぺらな結論で終わったのでした‥。