よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

毎日が医療介護

 今日は、第三四半期の会計監査業務を行ったのち、東京に戻り、ホテル西洋で明正会近藤理事長と上海から来日したハンさんと、上海の病院の横にあるレジデンスの設計会議を行いました。
 
 400床の上海国際医療センターの横につくられるレジデンスは当初、単なる富裕層のマンションでしたが、医療介護一体化というコンセプトを日本側から出したところ、結局老人向けのシルバーマンションとなり、地下には特浴までつくることになりました。
 
 上海で介護事業といえば、結局有料老人ホーム、デイサービスといったことになっていますが、今回は、どちらかというと訪問介護サービスといったたぐいのものになります。
 
 病院を退院した患者や、病院のヘルスクラブ(年会費300万円でフルスペックの検診から治療までをもカバーした会員制度=東大のモデルを模したもの)の会員(数千人規模での募集)家族のための治療を継続するため、あるいは介護を受けるための施設になりそうです。
 
 しかし、この病院では日本の永遠幸グループによる不妊治療の施設や産婦人科をもつことから、産後のケアを行う利用者または患者のための社会復帰のためのケアを行う場でもあり、高齢者ばかりではないことから完全に老人のためのシルバーマンションというものではありません。
 
 病院付随の富裕層向けのレジデンスであるが、高齢者の介護サービスもメニューに含まれているということができます。訪問介護だけではなく訪問リハも含めて実施しますが、実際には富裕層向けなので、例えばヘアケアビューティー系やアンチエイジング、さらにはフェイシャル等までも含んだサービスを提供することになります。
 従来の日本の介護とリハ、さらに富裕層がまるでサーバントをたくさんもつことができるような環境をつくりあげていくことになっています。
 
 そもそもこの病院は、2014年に国立病院の富裕層向けサービスが禁止されることに伴い、富裕層の自由診療を基礎として行う上海初のプライベート病院であり、いわゆる実験的な要素をもっていることは否めません。ただすでに中国人医師1200人の応募のなかかから300人の医師を採用し、さらに交通大学医学部教授がサポートに入ることから、かたちはできあがっており、1000人の看護師やコメディカルの募集もすでに開始されているという状況ですから、いわゆる中国によくある箱だけつくって倒産するといった病院でないことは明らかです。
 
 建設事務所の設計チームは20人態勢で設計をしており、実際に今回のようなオーダーがどんどんでてきているし、設計し直しの議論のあと、多くの設計があっという間に変わるという状況を目の当たりにすると、病院が0からできるというのはこういうことだということがよく理解できます。コンサルティングに入っているパークウェイうグループは三井物産が30%1000億円弱出資をしている会社ですが、さすがにしっかりとしたスタッフを派遣し、建設までの差配をしている状況です。
 
 彼らの判断はアジアでいくつもの病院を運営している自信からか、的確に行われているようです。ただ、日本センターやリハ、さらには上記であげた不妊治療や産婦人科といった領域については、彼の管理の埒外にあり、こちら側(中国出資者とわれわれ日本サイドの出資者)でイニシアティブををとることができる状況になっています。
 
 いずれにしてもいま上海で医療介護に関与するなか、日本の医療法人や医師や介護施設との連携も数多く行われることになっており、病院や施設がどうのこうのというよりも、日本が中国に進出してうまくいかないことが多いなか、今度こそはという思いのなかで実行される企画であることは間違いがありません。基本的には3年は芽が出ないのではないかと考えています。長いスパンではありますが、スタートしなければ何も始まらないということがるとすれば、いまスタートしなければならないという結論で動いている経緯があります。
 
 今後、医療、介護、リハのみならず、看護について、また病院経営についての日本から中国へのながれをつくるきっかけになることを念じつつ、成果をあげていくことになります。結局は何から何まで中国から5名、日本から3名程度のプロジェクトになります。地道にかつ着実に活動を行っていきたいと思っています。