よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

営業戦略は病院も一緒かな

福岡では、一般の企業の役員会にでたのち、営業担当役員と営業戦略についてミーティングしていました。
人材派遣会社の営業でしたが、派遣先で現場の責任者からクレームがでて、上位20%のクライアントのうち20%が毎年はげおちているということ。実際にパレート法則では20%の客で全体の80%の売上げを確保していますから、そのうち20%ということは16%の客が剥げ落ちているということで、かるくやばい…。したがって、これを阻止したいというのが我々に対する依頼でした。

基本的には剥げ落ちる理由を明確にすること、それに手を打つことが必要です。
クレームの内容、先方がデメリットであることを抽出。さらには役に立つことを列挙し、それらについて徹底的な道具づくり及び教育をしようということになりました。

役にたつと思われるから採用される、役に立たないと思われれば採用されない。
役に立たないと思われても、他に代替的な先、すなわち競合がなければ採用され続けることもある。しかし、これを勘違いしてはいけない。積極的に役に立たないことを排除し、役に立つことを探索するといったことを提案しました。

実際にはかなりディテールでの議論になりましたが、何れにしてもその会社の結論は、新規の先をとらない。なぜなら新規に既存先から腕の良い担当者を廻すことによって、既存先にクレームがでるということがわかったから。
そして、既存先の深堀をしよう。深堀のためには、個々の客先をひとつづつ見極め、ニーズを明確にしていこうという当たり前のことになりました。しかし、情報提供なのか、クオリティーなのか、価格なのか、スピードなのか、コミュニケーションなのか、営業斡旋なのか…っていう感じで取引先一つ一つについてはさまざまなニーズがあるので、実は結構センシティブでもあります。

これを病院に置き換えてみたときにどうなのか。患者が少なくなるっていうことの背景には、患者さんひとりひとりについて、きちっと対応していないということが見えてくることがあるのではないかと考えます。結局、事業が成立つのは、顧客(患者さん)から評価され、役にたつから。役に立たない病院は評価されず患者さんを目に見えないかたちで減少させることになります。

本当に患者さんの役にたっているのか…。考えてみる必要がありますよね。