クリティカルパスの意味がいまほど重要になったことはありません。DPCが導入されるということがアメリカでDRGが導入されたときのような騒ぎを誘発するかどうかはわかりませんが、試行段階から実質すべて急性期はDPCです、といわれたときにはさらに骨身に沁みてクリティカルパスの必要性が議論されることでしょう。
多くのパスを導入している病院は、それでも本格的にパスを利用しているとはいえないところが多いようです。今は、病院でオールインワンパスの巧拙について、パス委員会で説明した帰りです。
少しだけその内容に触れることにしましょう。
(1)三測表の必要性
パスフォームにおいて三測表(温度板)が必要であるか(少なくとも熱型をみるため以外は必要がないため、検査パス系や入院パス系でも不必要なものが多い。それは別のフォームが良いのではないでしょうか。なお、数検するものであっても、グラフにする必要があるのかどうかについての議論はあります。
なお、これが下にあるパスは、高さが制約され、記載するべきことがうまく入らない可能性もあります。ただ、どうしても利用するのであれば、横だしするなどの対応が必要となります。多くのパスは異常値をチェックすることが必要として、温度板を記載していないパスが多いように感じました。
看護記録化するためのものであるのであれば、SOAPとしての形式を整えるし、フォーカスチャーティングであるとすれば、それなりの記録ができるフォームとすることが必要ではないでしょうか。但し、この考えはオールインワンパスを排除するものではなくフォームが問題であるとの議論です。
(2)パスにおける一日の欄の幅
パスのフォーマットを決めることは重要です。複数のパスを使うときに、項目が整理されていれば、またフォームが同じであれば理解がし易いと考えるからです。
しかし、1日の単位まできれいにそろえてしまうと書きたいことが書けなくなり、明らかにパスに記載すべきことが記載されずに、漏れることや、書き方が箇条書きになる、あるいは、うまく伝えられないといったことがでてしまいます。
したがって横幅を制限しないほうが作成が容易になると考えます。しかし、温度板があるとどうしても横のながさがきれいな定型幅になっていなければ比較がしづらく、グラフの幅により同じ単位でもグラフの形が変わってしまうため、格好の問題だけではなく判断も誤る可能性があります。
温度板を下部に記載するかぎり、パスの1日の欄の幅は同じにならざるを得ないということになるのです。この観点からも温度板を記載するかどうかについての検討が必要です。
記載するとしても記載場所や書き方がこれで良いのかどうかについても議論して下さい…(略)
って、これらは今日の論点のほんの一部です。パスを作成するためにパスを作成するのはやめたいと思っています。実質的に業務が標準化される、業務改革の視点がみえる、仕事がやり易くなる、理解できるやりがいがある…そんなことをいつも考えながら、パスをつくりたい、いやパスづくりや運用だけではなく、多くのツールについて現場での指導を行っています。
よい病院は、よい医師、よいスタッフがいる病院です。医師や職員がよい仕事をできるよう工夫していく、そんな病院がいま国民にとっても、とても必要な事態になっていることを医療従事者は理解し、主体者として行動することを受容する必要があります(続く)。
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