よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPC準備委員会と従来委員会活動のリンク

 DPC準備を進めている病院が数多くあります。しかし、実質的な準備ではなく、医事だけですべてを終わらせている病院が大半です。DPCは医療原点回帰のためのきっかけであるといわれていおり、高密度で質の高い合理的な医療を行うための道具だという理解をしなければなりません。

 であれば、今何をすればよいのかという観点から、再度従来活動を見直してみる必要がある、という議論が、訪問している病院の経営改革委員会でありました。
 その資料の一部を開示します。

DPC準備委員会を医事に設置することは必須です。いままでの委員会活動をDPCの準備に併せて再活性化することが必要です。過去実施してきたことがいまDPCを導入する準備を始めたことでうまく機能しはじめることになると考えています。

 各委員会は、DPCを理解し、自分達が何をしていけば円滑にDPCが導入運営できるのかについて再確認しなければなりません。

 ①マニュアル委員会→すべての業務をマニュアル化し、その内容を検証し、無駄や不合理がないかどうかについての確認をする。結果として業務の見直しを行いマニュアルを改訂する

 ②パス委員会→必要なパスが作成されていないということはないかどうかについての検証を行い、不足するものがあれば作成する。またDPCAB期間とパス日の乖離をチェックし、何日短縮すればよいのかについての目処をパス別にとりまとめる

 ③指標委員会→DPCで設定しているAB期間でマネジメントを行なっていくためには何を改革していけばよいのかを指標から探る必要があります。現状の指標が適当かどうか、分析が正しく行われているかどうかについて議論し、不足するところを徹底して実行する必要がある(入退院経路を把握。弱いところへの注力を行なう)

 ④地域連携委員会→増患のために何をするのか、また入院比率を上げるためには何をすればよいのかについての総合的な活動を実施する

 ⑤リスクマネジメント委員会→医療の質をあげることに注力する。レベル2以上は在院日数の増加やコストアップにつながることを職員全員が理解できるよう対応すること

 ⑥部門別損益計算→現在、タイムリーに数字を出す作業と診療科別への転換が行なわれているが、患者別疾病別原価計算の取組みができるよう現場へ説明を行うこと。DPC毎に少しづつデータをとり、全体の原価率を管理するとともに、治療のポートフォリオマネジメントを行なえる体制をつくりあげる(この症例や治療は年間何例以上実施といった目標値を設定し、紹介や外来での増患対策とリンクさせる)
といったことが実施されなければなりません』

 当病院は、DPC対応の準備を始めたばかりであり、DPC準備病院となってもいませんが、ながれのなかで、平均在院日数も16日になり、かつ利用率も85%程度を維持しています。ただ、上記のながれがないなかでの対応であり、従来ののりしろ(≒無駄な部分)が整理されている段階であると考えることができます。
 次に、医療の質をあげて、DPC期間や条件をクリヤーするという段階が到来することになるでしょう。そのときに上記の議論は避けて通れない最低限の項目であることを理解しなければなりません。

 第二DPCの調査が始まったという情報もあり、今後DPCの改定が行われることになるでしょう。
第一、第二の区分のなかで、病院の機能が峻別されてくることになります。自院の特性やできることできないことを正しく判断し、戦略的に活動することが望まれます。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」