よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

個人カルテによる教育について(3)

4.バックグラウンドへの対応
(1)考え方
 人は「あなたが必要である」というサインによってバックグランドをつくりあげていくと考えます。常にあなたが必要であるというサインをどのように提示していくのかといったことを模索するなかで、過去枠組みがつくりあげられてきたとすることが適当です。

 まずは、すべてのスタッフに、自らをも含め、あなたが必要であるというサインを組織として送り続けるための仕組みをつくりあげていくことが相当です。あたなが必要である、ということは、信頼であり依頼でもあります。
ただ、組織はその程度によって仕事の重要度や緊急性における役割分担が行われるわけですから、信頼の度合いや依頼の度合いが個人別に異なることは当然です。
   
 これらを理解したうえで、仕事は一人ではなく、組織で行うものであり、組織構成員全員は、あなたが必要であるという意識をもってもらうための新しい枠組みをつくりあげるための行動を行うことが必要です。

(2)具体的活動
①伝統的に必要であるといわれてきた枠組みの検証を行う
②それらを継続的にあるべきかたちに整備する
③単なる意識改革ではなく、具体的な仕事の進め方を中心とした中間管理者教育を継続的に行う
④チーム医療、コミュニケーション強化のための具体的取り組みをあらゆる機会を通じて誘導する
⑤人事考課制度の見直しだけではなく、継続的意識調査などの継続的評価のための手法を導入する
⑥看護部におけるラダーシステムと類似の教育が各部署で導入され、各部署なりの個人バックグラウンドづくりを推進できるよう誘導する
⑦新たにバックグラウンドづくりのための手法を開発する 
といったことが考えられます。

5.まとめ
これらについては、個人カルテを展開するプロセスにおいて並列に検討し、実施し
ていくべきものです。範囲が広いため、政策の一つとして捉え、教育制度の枠の中で議論すべきことであるので、今回説明をさせていただいたことをご理解下さい。
 
個人カルテの考え方についてスタッフ全員に周知することとともに、いわゆるバックグラウンドについての考え方についてもなんらかのかたちで説明をしていく必要があります。病院幹部は今後のテーマとして再度認識をしていただくことが適当です。



「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」