よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

クリティカルパスの本当の意味

カレンザンダーさんが1980年代に創出したクリティカルパスは、もっとも早くうまくプロジェクトを成功させるための重要な経路という意味ですが、その本質はどこにあるのかを理解しなければなりません。


コスト削減や、標準化や、患者別疾病別原価計算の基礎、医療の質の担保や、在院日数の短縮といった目的をもつツールであるとともに、そのプロセスにおいては
(1)PDCAツールである
(2)問題発見ツールである
(3)自分の行動を振り返るツールである
といったことが追加的に考慮される必要があります。

DPC時代において、DPC病院は高密度で質の高い合理的な医療を行う必要があるといわれています。
急性期病院のあり方として、たくさんの患者さんに来院していただき、早期に退院していただく、といったキーワードがみえてきます。

結局は、患者さんが多く、手術が多く、早く退院していくといったシステムをもって、ある治療を他に比較してよりよい成績で行うことができるという要請があります。

そこでは、スタッフやそして医師が、常に生産性を高める努力をしなければなりません。そもそも医療はそうしたニーズに基づき、成果をあげるためにさまざまな研究が行われ、治療の方法や投薬の内容が変化してきているわけですが、マネジメントについても同様です。

パスは、まずマネジメントの要請から、仕事の質をあげることが求めれ、業務改革を行うためのきっかけをつくる。
次のステップとしてそのプロセスで質を落とさない。短期間で治療できるということを目指していく間に質をあげていく。といったながれで医療に貢献するのだと理解しています。

PDCAを実施する。そしてそにおいて、何を発見するのか。発見したものをどのように改革していくのか。それらを行うためにまず自分の仕事の広い意味での振り返りを行うことができる。といったことに注目しなければなりません。

パスどおりに行動する。バリアンスをチェック。問題の発見。改革の実施。パスの改定。そしてよりよい
パスを作成することで、合わせた行動を行う。さらに、問題を発見といったPDCAそのものを廻す。そ全体を俯瞰して当該治療を総括することになります。

なお、地域連携パスにしても、外来パスにしても、結局は同じロジックです。

なので、ただパスを指示書として、DO事項としてのみ利用しているだけの病院は、進化がないことに気がつきます。またバリアンス(標準と実績の乖離=逸脱)をとっているものの、徹底して乖離をなくしていこうという意志や、考えがない病院は、いくらバリアンスをとっても、使えきれない、いい加減に扱う、ということでは、まったく意味がありません。

質をあげる、生産性を向上する、コストを下げるという目的をもって、パスを利用するという気概がなければパスの機能を最大限引き出すことはできません。パスは奥が深いとよく考えます。
医師もスタッフも、この部分について十分に留意して、楽であるから、とか目安として、とか、いうった気持ちを払拭する必要があります。



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