よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPCと高専賃(1)

 先日、ある金融機関で高専賃を説明したときの資料の一部です。DPC病院に高専賃が不可欠になってきそうな気配です。とりわけDRGとなれば、より一層、高回転のベッド活用が必要となり、メディカルホームとしての高専賃が脚光を浴びることになるでしょう。

(1)高専賃の定義
 高専賃は、いわゆる高齢者のための住宅という大きな定義があります。適合高専賃国交省が定めた定義であり、25平米と必要な設備が揃っていることを条件にその名称を利用することを許可します。

 しかし、東京ではワンルームマンション規制等あり、結局は寄宿舎として適合高専賃の基準を満たしながら届出を行わないということが一般的でした。

 しかし、19年の4月に医療法人の附帯事業として有料老人ホームの運営が行われたことに続けて19年5月に同様に適合高専賃が認められてから急に厚労省が適合高専賃を病床数削減の救世主として検討しはじめたことがわかります。

 すなわち2011年までの介護療養病床の廃止と医療療養病床の削減に向けた対応として、そしてDPC病院の在院日数短縮に向けた対応として適合高専賃を視野に入れたのです。われわれは前者が地域高専賃であり、後者は門前高専賃と定義しています。

(2)門前高専賃
 米国ではナーシングホームやホテルが病院の近隣にあり、在院日数短縮に一役買っていることは周知の事実です。代替として厚労省はメディカルホームと定義づけ、ケアハウスや老健グループホームといった介護系のながれではなく、医療依存度が高い、あるいは急性期病院の対象となるべき患者を利用者として収容する施設を検討しはじめているといわれています。

 DPC門前においては、例えば中央病院グループが老健を利用して在院日数短縮を行っているなど、病院はベッドを高回転するための試みを行うことがテーマとなっています。

 ○○会は高専賃を門前につくることでのプロジェクトを進めていますが、そのながれです。メディカルホームはすでにココチケアといった医療依存度の高い患者を利用者として入居させている実績のあるところに厚労省がヒヤリングを重ねていることや、視察を繰り返していること、裏の話ではすでにある医療法人が厚労省の意向を受けて高専賃を建設していることからもわかります。


 すでに脳外病院が高専賃を門前に建設して11月からの開業に備えていることや、在院日数を短縮するため包括・包括外患者(180日越えのベジ、難病、ターミナル患者さん)を門前高専賃に出すという企画を立案して実行に移そうとしています。勿論、高専賃は個室であり、病室の個室よりも広く、今まで以上に医療や看護の質を落とさず対応することができます。

 ある急性期病院はレジデントが高専賃への訪問診療に当たりますが、今以上にケアが行える体制をつくることが一般病床を急性期の患者さんに活用することの条件となります。医療の質を落としてまで、高専賃を活用することは意味がないからです(続く)。


「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」